AIコーディングツールが普及した今、個人開発のコスト構造が大きく変わっています。
月20ドルのClaude契約1本を起点に、ドメイン代(年12ドル)以外はほぼ無料で本番稼働するSaaSスタックが、ソロ開発者やスタートアップの間で広まっています。この記事でわかること:
- Claudeを中心に据えた個人開発スタック10種の役割と料金
- 無料枠のみで本番稼働できる理由と限界
- ClerkとSupabase Authなど選択肢がある部分の判断基準
Claude — AIコーディングの中核(月20ドル)
スタックの唯一の固定費がClaude(claude.ai Proプラン)です。Next.jsのコンポーネント生成、データベーススキーマの設計、バグ修正まで、コーディング作業の大半をClaudeに任せる構成になっています。
Stack Overflow Developer Survey 2025によると、84%の開発者がすでにAIコーディングツールを使っています(参考)。このスタックはAIを「補助」ではなく「主戦力」として設計した点が特徴です。
Supabase — バックエンド全体を無料でまとめる
Supabaseは、データベース・認証・ファイルストレージ・リアルタイム通信・エッジ関数を一体化したバックエンドプラットフォームです。PostgreSQL(Stack Overflow 2025での採用率55.6%で第1位)をベースにしており、使い慣れたSQLで直接操作できます(参考)。
無料枠の内訳は、データベース500MB・月間アクティブユーザー50,000人(認証)・ストレージ1GBです。初回収益が入るまではこの範囲で十分動きます。
Vercel — GitHubにpushするだけで自動デプロイ
VercelはNext.jsを作ったチームが運営しているホスティングサービスです。GitHubにpushするだけで自動デプロイが走り、エッジ関数・プレビュー環境・独自ドメインのSSL証明書が無料枠に含まれています。月間帯域幅が100GBを超えるとProプラン(月20ドル)に移行が必要になりますが、初期段階では気にする必要はありません。
GitHub — バージョン管理(無料)
コードの管理・チーム共有・CI/CDのトリガーに使います。パブリック・プライベートを問わず無料です。VercelのデプロイはGitHubへのpushで自動起動するため、CI/CDパイプラインを別途構築しなくて済みます。
Stripe — 売上が発生して初めて課金される決済
月額固定費なし、売上に対して2.9%+0.30ドルの手数料のみです。サブスクリプション・一括購入・従量課金など主要な料金モデルに対応しています。初回収益が入るまでコストゼロで使えるため、個人開発の決済には事実上の標準になっています。
Clerk — ソーシャルログインをすぐ使える状態で提供
月間アクティブユーザー10,000人まで無料のフルマネージド認証サービスです。GoogleログインやGitHubログインなどのソーシャル認証、サインインUIコンポーネント、ユーザー管理ダッシュボードがすぐに使える状態で提供されます。
Supabaseにも認証機能(Supabase Auth)があります。PostgreSQLのRow Level Securityと深く統合されているため、追加ベンダーを増やしたくない場合はSupabase Authで完結させる選択肢もあります。
Resend — TypeScriptで書けるトランザクションメール
パスワードリセット・ウェルカムメール・決済通知など、アプリが送るトランザクションメールをNext.jsと同じTypeScriptで書けるサービスです。月3,000件まで無料で、それ以上は月20ドル(100,000件)から利用できます。Reactコンポーネントでメールのレイアウトを組めるReact Emailとの組み合わせが定番です。
Cloudflare — DNS・CDN・DDoS対策が無料
ドメインのDNS管理と基本的なDDoS対策・CDNが無料で使えます。Namecheapで購入したドメインのネームサーバーをCloudflareに向けるだけで設定完了です。SSL証明書の自動更新も含まれています。
Namecheap — スタック唯一の年払い(年12ドル前後)
スタック内で唯一の年払いコストです。.comドメインが年10〜15ドル程度。Cloudflareでも直接ドメインを購入でき、更新手数料が実費のみという利点がありますが、新規取得のUIはNamecheapの方が使いやすい傾向があります。
PostHog — ページビューからファネルまで月100万件無料
ページビュー・ファネル分析・セッションレコーディング・A/Bテストを一体化したオープンソースのプロダクト分析プラットフォームです。Google Analyticsと異なりユーザー単位のイベントトラッキングが得意で、どの機能が使われているかを把握するのに向いています。月100万イベントまで無料で、それを超えてもイベント単価は非常に安価です。
スタック全体のコストまとめ
月間固定費はClaude Proの20ドル(約3,000円)のみです。ドメイン更新を月割り換算すると年12ドル÷12=約1ドル。Stripeは売上があって初めて課金が発生します。ゼロ収益の段階では月約21ドル(約3,200円)で本番環境が動きます。
初回収益が入った後は、Vercelの帯域超過やSupabaseのストレージ増加に応じて段階的にコストが上がります。いずれも従量課金のため、急激な費用増になりにくい設計です。
このスタックが成立する理由
無料枠の充実だけがこのスタックの強みではありません。TypeScriptで統一されたコードベース、Claudeが得意とするパターン(Next.js・PostgreSQL・Stripe)が重なっている点が大きく、AIへの指示の精度が上がりやすい構成になっています。
個人開発でSaaSを作り始める際、このスタックからの差分が少ないほど初期の立ち上げに集中できます。
