チャットに指示するだけで、プロジェクト管理ツールが動く。
プロジェクト管理プラットフォーム「Wrike」がMCP(Model Context Protocol)サーバーをOpenAIのGPT Storeに公開した。2026年4月28日の発表で、ChatGPTからWrikeのプロジェクトやタスクを直接操作できるようになった。
この記事でわかること:
- WrikeのMCP ServerがGPT Storeに登場した背景と解決する課題
- ChatGPTからできる具体的な操作(タスク作成・ステータス確認・会議メモ変換)
- OAuth 2.0による認証の仕組みと企業セキュリティへの対応
- 管理者・ユーザーそれぞれのセットアップ手順
- 既存のClaude・Microsoft Copilot連携との位置づけ
企業AIが抱える「成果物がチャットで消える」問題
ChatGPTやCopilotが社内に普及しても、生成されたアウトプットはチャット画面の中で完結することが多い。実際の業務は別のプロジェクト管理ツールで動いており、AIが出した提案は実行に結びつかないまま消えていく。
Wrikeはこの課題に対し、MCP Serverという仕組みで対応している。AIアシスタントがWrikeのデータに直接アクセスし、読み書きできる接続レイヤーだ。今回の発表でその対応範囲がChatGPTに広がった。
Wrikeとは何か、Work Intelligence Graphの役割
Wrikeは世界20,000以上の組織が利用する企業向けプロジェクト管理・ワークフロー自動化プラットフォームだ。同社が独自に持つ「Work Intelligence Graph」は、プロジェクト・タスク・ユーザー・承認・依存関係・リスクなどの情報を構造化して管理するデータ層で、AIアシスタントが組織のワーク状況をリアルタイムに把握するための土台として機能する。
これまでに5,000億以上の過去データポイントと年間50億イベントを処理した実績を持ち、AIアシスタントに対して企業ワーク管理の文脈を高精度で提供できる。
GPT Storeへの掲載で何が変わるか
Wrike MCP Serverはすでに2025年に提供を開始しており、Microsoft Copilot・Claude・Perplexityとの連携が動いていた。今回のGPT Store掲載で、ChatGPTユーザーが専用アプリや開発工数なしで接続できるようになった。
GPT Storeから「Wrike」コネクターを探してOAuth認証を済ませるだけで、以下の操作がChatGPTから可能になる。
- プロジェクト・タスクのステータス確認・更新
- 自然言語によるタスク検索・作成
- 会議メモのアクションアイテムを即座にWrikeタスクへ変換
- 優先度・期限に基づく作業一覧の整理
- フォルダ・プロジェクト構造のナビゲーション
WrikeのCEO Thomas Scott氏は今回の発表について「Wrike MCP Serverは、すでに使い慣れたAIツールをガバナンス層の中で活用し、実際に業務が動くWork Intelligence Graphに直接つなぐ手段を企業に提供する」と説明している(参考)。
OAuth 2.0と監査機能によるセキュリティ設計
エンタープライズ導入で問われるのがセキュリティと統制だ。Wrike MCP ServerはOAuth 2.0認証を採用しており、永続的なAPIキーではなくユーザースコープ付きの短命トークンで接続する。
トークンが漏えいしても影響範囲はそのユーザーの権限範囲に限定される。各AIアシスタントにはユーザーの既存Wrike権限が自動適用され、通常の利用と同じアクセス制御が働く。すべての操作はログに記録され、管理者はいつでも特定コネクターの権限を取り消せる。
管理者とユーザーのセットアップ手順
セットアップは管理者側の初期設定とユーザー側の認証の2段階で完結する。
管理者側(1回のみ)
Wrikeの「Apps & Integrations」画面でAPIアプリを作成し、ChatGPTのリダイレクトURL(https://chatgpt.com/connector_platform_oauth_redirect)を登録する。発行されたOAuth Client IDとClient SecretをChatGPTの管理設定に入力し、コネクターを組織内に公開する。
ひとつのWrikeアプリに複数のリダイレクトURLを登録できるため、Claude(https://claude.ai/api/mcp/auth_callback)やMicrosoft Copilotと同じアプリで管理可能だ。
ユーザー側
ChatGPTのSettings → ConnectorsからWrikeコネクターを探し、ワンクリックでOAuth認証する。以降はチャット内で自然言語によるWrike操作が使えるようになる。
対象プランと料金
Wrike MCP Serverは対象プランの顧客に追加費用なしで提供される。対象プランの詳細は上記の公式ページで確認できる。AI Elite Mastery Certificationと呼ばれる認定プログラムも同時に公開されており、組織内でのAI活用推進を支援する内容になっている。
AIを「ブラックボックス」から「業務の参加者」へ
WrikeのCPO Alexey Korotich氏は「ChatGPTがWrikeのWork Intelligence Graphにつながった瞬間、AIは消えていくデータを生成するブラックボックスではなく、ガバナンスと説明責任が確保された協調ワークフローの参加者になる」と述べている。
AIツールの出力を実際の業務システムに接続する動きは各社で広がっており、MCP対応の有無が企業ツール選定の条件になりつつある。Wrikeの今回の対応は、ChatGPT利用組織にとってプロジェクト管理の起点をAIアシスタントに移す具体的な選択肢を提示している。