AIコーディングエージェントに複雑なタスクを任せると、途中で止まるたびに手動で再指示する必要がありました。OpenAIのCodex CLIが0.128.0で追加した/goal機能は、ゴールを設定するだけでエージェントが自律的にループし続ける仕組みです。

この記事でわかること

  • /goal機能の仕組みと使い方
  • 権限プロファイルによるセキュリティ設定の変更点
  • TUIキーマップやプラグイン周りの改善内容
  • --full-auto廃止の背景と移行方法

/goalでエージェントが止まらなくなる

https://github.com/openai/codex/releases/tag/rust-v0.128.0

従来のCodex CLIは1ターンごとにエージェントが停止し、次の指示を待つ動作でした。小さな修正なら問題ありませんが、リファクタリングやテスト追加のように工程が多いタスクでは、何度も同じ文脈を伝え直す手間が発生します。

0.128.0で導入された/goalは、この問題を解決します。ターミナルで/goal <目標>と入力すると、Codex CLIはその目標が達成されるまで自動的にターンを継続します。内部では各ターン終了時に「目標は達成されたか」を評価するプロンプトが自動注入され、未達成ならそのまま次のアクションへ進みます。

操作は4つのサブコマンドで制御します。

  • /goal <目標> — 目標を設定して作業開始
  • /goal pause — 作業を一時停止
  • /goal resume — 停止した作業を再開
  • /goal clear — 目標を破棄

目標の状態は「pursuing(作業中)」「paused(一時停止)」「achieved(達成)」「unmet(未達成)」「budget-limited(予算上限)」の5つで管理されます。設定したトークン予算を超えた場合は自動的に停止するため、意図しないコスト増加を防げます。

完了判定は監査プロセスを経る

/goalの完了判定には厳格な監査が組み込まれています。目標を「達成した」と判定する前に、エージェントは以下の手順を踏みます。

目標を具体的な成果物や成功基準に分解し、それぞれの要件に対して実際のファイル変更・テスト結果・コマンド出力などの証拠を確認します。テストが通っているだけでは完了とみなさず、目標のすべての要件をカバーしているかまで検証します。不確実な要件が残っていれば、完了にせず作業を継続します。

この設計により、「それっぽく見えるが実は不完全」な成果物を出力するリスクを抑えています。

権限プロファイルで–full-autoを置き換え

これまでCodex CLIでは--full-autoフラグを使ってファイル操作やコマンド実行の許可を一括で与えていました。0.128.0ではこのフラグが非推奨になり、代わりに権限プロファイル(Permission Profiles)が導入されています。

権限プロファイルは、ファイルの読み書き範囲、実行可能なコマンド、ネットワークアクセスの可否などを細かく制御する仕組みです。ビルトインのデフォルトプロファイルが用意されているほか、サンドボックスで使用するCLIの種類も選択できます。作業ディレクトリの制御や、アクティブなプロファイルのメタデータをクライアント側で参照する機能も追加されました。

--full-autoからの移行は、明示的な権限プロファイルの指定に切り替えるだけです。OpenAIは段階的な廃止を進めており、将来のバージョンで完全に削除される見込みです。

TUIの操作性が改善

ターミナルUI(TUI)にもいくつかの改善が入りました。キーマップの設定が可能になり、デフォルトのキーバインドを自分好みに変更できます。ターミナルのリサイズ時にスクロールバックが正しく再描画されるようになったほか、スラッシュコマンドのポップアップのレイアウト崩れも修正されています。

また、codex updateコマンドが追加され、CLI自体のアップデートをワンコマンドで実行できるようになりました。作業中のターンでは/statusline/titleを編集でき、アクションが必要な場面ではターミナルのタイトルバーが自動更新されます。

プラグインのインストールがマーケットプレイス対応に

プラグイン周りでは、マーケットプレイスからの直接インストール、リモートバンドルのキャッシュ、リモートでのアンインストールが可能になりました。プラグインにバンドルされたフックの実行や、フックの有効・無効の状態管理、外部エージェントの設定インポートにも対応しています。

マルチエージェント構成の制御が明確に

MultiAgentV2の設定が整理され、スレッド数の上限、待機時間の制御、ルート・サブエージェントの明示的な区別、V2固有の探索深度の管理が追加されました。複数エージェントを並列実行する際の挙動が予測しやすくなっています。

まとめに代えて

/goal機能はCodex CLIを「指示を待つアシスタント」から「目標に向かって自走するエージェント」へ一歩進めるアップデートです。権限プロファイルの導入でセキュリティ設計も明確になり、長時間の自律実行がより現実的になりました。インストール済みの環境ならcodex updateで即座にアップデートできます。