Google Play Storeに突然現れ、数時間で消えたアプリがあります。名前は「COSMO」。Gemini Nanoをデバイスに内蔵し、ユーザーの行動に合わせて先回りで動く実験的AIアシスタントです。

この記事でわかること

  • COSMOとは何か、既存のGeminiアプリと何が違うのか
  • 14種類の「スキル」で何ができるか
  • オンデバイスAI処理の3つの実行モード
  • Google I/O 2026との関係と今後の見通し

COSMOの正体はGoogle Research発のAIエージェント

COSMOは2026年5月1日にGoogle Play Storeへ公開されたAndroid向けアプリです。パッケージ名はcom.google.research.air.cosmoで、Google Researchチームが開発しています。公式の説明文には「デバイス上に直接AIの力を届ける実験的アシスタント」とあります。

公開から数時間後、Googleはストアのリスティングを削除しました。すでにインストールしたアカウントからは閲覧可能ですが、新規インストールはできません。5月後半に控えるGoogle I/O 2026の前に、誤って公開されたと見られています。

既存のGeminiアプリとの決定的な違い

COSMOの最大の特徴は、1.13GBのアプリ内にGemini Nanoモデルを丸ごと搭載している点です。現行のGeminiアプリはクラウド処理に大きく依存していますが、COSMOはデバイス上で直接AIを動かせます。

設定画面には「Fulfillment Model」という項目があり、3つのモードを切り替えられます。

  • Hybrid: オンライン時はサーバー側の「PI」モデル、オフライン時はGemini Nanoを使用
  • PI Only: サーバー側のPIモデルのみを使用
  • Nano Only: ローカルのGemini Nanoのみを使用

「PI」が何の略称かは現時点で不明です。ただしNano Onlyモードを選べば、完全にオフラインでAIアシスタントが機能します。通信環境に左右されず、データがデバイスの外に出ない点は、プライバシーの観点でも大きな意味を持ちます。

14種類のスキルが先回りで動く

COSMOを従来のAIアシスタントと分けるもう一つの特徴は「スキル」の設計です。ユーザーが指示を出す前に、会話の文脈や行動から必要な操作を推測して提案します。

主要なスキルは以下のとおりです。

日常タスクの自動化

  • Calendar Event Suggester: 誰かと予定を決める会話の中で時間が確定すると、カレンダーへの登録を提案する
  • Add Timer: 時間制限のあるタスクに言及すると、時計アプリでタイマーの作成を提案する
  • List Tracker: 会話の内容からリストの作成を自動提案する

情報の検索と整理

  • Deep Research: 複数ソースが必要な複雑な調査に対して、レポート形式でまとめる
  • Google it: 簡単な質問にはWeb検索で即座に回答を取得する
  • Quick Photo Lookup: 共有したい写真に言及すると、ギャラリーから該当画像を探し出す
  • Recall: 思い出そうとしている情報を表示する

文脈の理解と補助

  • Document Writer: 書類作成や要約の必要性を検知し、ドキュメントの下書きを提案する
  • Conversation Summary: タスクを切り替えた際に、直前の会話の要約を表示する
  • Jargon Definitions: 専門用語や略語に遭遇すると意味を説明する
  • People Understanding: 会話に登場する人物の文脈情報を提供する
  • Event Understanding: イベントの文脈情報を提供する
  • Provide Insight: 情報収集中に関連する知見やアイデアを提示する

ブラウザ操作

  • Browser Agent: Marinerを使ったWebタスクの自動化を提案する

Browser Agentが内部で参照している「Mariner」は、Googleが開発中のブラウザ操作AIエージェントです。COSMOを通じて、ブラウザ上の操作を自然言語で指示できる仕組みが統合されています。

画面アクセスと音声認証にも対応

COSMOはAndroidのAccessibilityService APIを利用して画面の内容を読み取ります。ユーザーが何を見ているかをAIが把握し、文脈に合ったスキルを発動させるための仕組みです。9to5Googleの報道によると、この機能はまだ完全には動作していない段階です。

Voice Match(声紋認証)にも対応しており、端末の所有者を声で識別できます。複数人が同じ端末を使う場面で、ユーザーごとにパーソナライズされた応答を返す用途が想定されます。

Google I/O 2026で正式発表か

COSMOのインターフェースは極めて簡素で、スクリーンショットのアスペクト比が崩れたまま掲載されるなど、ストアのリスティング自体が未完成でした。Android Authorityは「まだ一般公開の段階ではない」と評価しています。

公開のタイミングから、5月後半のGoogle I/O 2026に向けた開発途中のビルドが誤ってリリースされた可能性が高いです。COSMOそのものが製品として登場するか、それともCOSMOで検証中の機能群が既存のGeminiアプリに統合されるかは、現時点では不明です。

いずれにしても、COSMOが示している方向性は明確です。AIがクラウドからデバイスへ降りてきて、ユーザーの行動を読みながら先回りして動く。Androidの次の姿が、この実験的アプリに凝縮されています。