調達業務のデータを、AIアシスタントから直接引き出せるようになった。
調達・購買管理プラットフォームのOmneaは2026年4月30日、MCPサーバーを公開した。Claude、ChatGPT、Microsoft Copilot、Cohere North、Cursorから直接、調達データを照会できる。調達系SaaSとして初のMCP対応事例となる。
この記事でわかること:
- MCPとは何か、なぜ業務SaaSの対応が広がっているか
- OmneaのMCPサーバーで何ができるか
- 実際にどんな質問が可能か
- 今後予定されている機能
MCPとは何か
MCP(Model Context Protocol)は、AIモデルと外部のデータソース・ツールを接続するためのオープン標準だ。Anthropicが開発し、2025年12月にLinux Foundation傘下のAgentic AI Foundation(AAIF)へ移管された。現在はAnthropic・OpenAI・Googleなどが共同で維持している。
MCPが普及する前は、AIツールごとに個別の連携開発が必要だった。MCPを使うと、1つのサーバーを実装するだけで、MCPに対応したAIツール全体からデータにアクセスできる。2026年時点で公開MCPサーバーは1万件を超え、SDKのダウンロードは月間9700万回に達している。
調達業務が抱えていた課題
調達チームは日常的に、AIアシスタントとデータが別の場所にある問題に直面していた。サプライヤーの情報を確認するには調達システムを開き、レポートを作るには数字を手動でコピーし、AIへの質問はデータなしで行うしかなかった。
OmneaのCEO兼創業者のBen Freemanは「調達チームがAIツールを使うか、正確なサプライヤーデータを持つか、どちらかを選ばなければならない状況を変えたかった」と述べている。MCPサーバーはこのデータの分断を解消することを目的に開発された。
OmneaのMCPサーバーでできること
OmneaのMCPサーバーを設定すると、ClaudeやChatGPTなどのAIツールから自然言語で調達データを照会できる。たとえば、以下のような質問が可能だ。
- 「特定のサプライヤーの担当者は誰か」
- 「未払いの注文書(PO)があるサプライヤーはどれか」
- 「ベンダー別の支出ランキングを出して」
これらの質問に対し、Omneaが保有するデータを参照して数秒で回答が得られる。さらに財務・法務・オペレーション系の別システムと組み合わせると、複数システムをまたいだ複合的な分析も会話の中で実行できる。
Adeccoグループの調達戦略VP、Alexander Pilslは「あらゆるB2BツールがAIを謳っているが、Omneaは自分たちがすでに使っているAIツールに実際につながった最初のツールだ」と語っている。
セキュリティとガバナンス
MCPサーバーは全カスタマーに提供され、Omneaが既存のエンタープライズ向けセキュリティコントロールとガバナンスポリシーをそのまま適用している。調達データはサプライヤー情報や契約内容を含む機密性の高い情報で、セキュリティ要件が厳しい。既存のアクセス制御をそのまま引き継ぐ形にしたのはそのためだ。
今後の展開:AIから直接タスクを実行へ
現時点では照会(読み取り)が主な用途だが、Omneaはすでに書き込み系の機能を開発中と発表している。AIツールの中からサプライヤー情報の更新やリクエスト管理を直接実行できる機能が追加される予定で、これが実現すると調達システムを直接操作せずにAIとの会話だけで業務フローを完結させる「自律的な調達処理」が可能になる。
SaaS各社のMCP対応は加速しており、同じ週にはOptivianやZyloなど複数の業務ツールも相次いでMCPサーバーの公開を発表している。AIアシスタントが業務の入り口になり、各SaaSへのデータアクセスはMCPが橋渡しをする構図が、エンタープライズ領域で定着しつつある。
料金
Omneaはエンタープライズ向けSaaSのため料金は非公開。公式サイトからデモのリクエストで問い合わせる形になっている。MCPサーバーは既存の全カスタマーに追加料金なく提供される。