「母の日のプレゼント、予算1万円で庭好きな母に何を贈ればいい?」——この問いにそのまま答えてくれるショッピング体験が、ChatGPTの中に登場した。

Etsyは2026年5月5日、ChatGPT内のネイティブアプリを公開した。1億件超の商品ラインナップに対して自然言語でアクセスでき、プロンプトに @Etsy とタグ付けするだけで呼び出せる。

この記事でわかること:

  • EtsyのChatGPTアプリの仕組みと使い方
  • 以前の「Instant Checkout」との違いと廃止の経緯
  • Etsyが進める3つのAI施策の全体像
  • ChatGPTアプリエコシステムの現状と対応企業

https://techcrunch.com/2026/05/05/etsy-launches-its-app-within-chatgpt-as-it-continues-its-ai-push/

何が変わったのか

これまでEtsyでの商品検索は、サイト内の検索バーにキーワードを入れて結果を絞り込む方式が中心だった。「ハンドメイド・木製・コーヒーテーブル」のように属性を組み合わせる手間があり、贈り物探しのような曖昧な要望には向いていなかった。

ChatGPTアプリは、そのギャップを埋める設計になっている。「100ドル以下で、ガーデニング好きのお母さんへの母の日ギフトを探して」のような自然文を送ると、EtsyアプリがChatGPT内で関連商品を一覧表示する。商品を比較してEtsyのページに飛び、購入まで進める。現在はベータ版として提供中だ。

使い方

ChatGPTの入力欄で @Etsy と書いてアプリを呼び出す。するとChatGPTがEtsyのカタログから関連リスティングを返してくる。初回接続時には、どのデータをEtsyアプリと共有するかの確認画面が表示される。

利用できるプランはFree・Plus・Proなど有料・無料を問わずすべてのプランに対応している(EEA・スイス・英国は対象外)。

Instant Checkoutとの違い

Etsyとの連携はこれが初めてではない。2025年9月、EtsyはOpenAIの「Instant Checkout」のアーリーパートナーとして参加し、チャット内から直接商品を購入できる仕組みを試験した。しかし2026年3月に終了した。TechCrunchの報道によると、Etsyは統合からの販売量が想定を下回っていたと判断したとされる(参考)。

今回のネイティブアプリはその反省を踏まえた設計変更だ。購入をChatGPT内で完結させるのではなく、商品探索とブラウジングに特化し、購入はEtsyのサイトへ誘導する。チャットUIと既存のECサイトを分業させる構造で、ユーザー行動の計測や購買体験の質を両立しやすくなっている。

Etsyが進めるAI施策の全体像

ChatGPTアプリと同時に、Etsyはプラットフォーム内でも会話型ギフト検索のベータテストを開始した。ギフトアシスタントがパーソナルショッパーとして動作し、好みをヒアリングしながら商品候補を絞り込む。

セラー向けにも複数のAIツールが稼働している。商品タイトルと説明文を自動生成する機能、バイヤーへのメッセージ文面を補助する書き込みアシスタント、そしてAI生成コンテンツを示す「Designed」ラベルが2024年に導入済みだ。AI生成アートの増加に対応する透明性確保の取り組みとして注目されている。

ChatGPTアプリエコシステムの現状

ChatGPT内のネイティブアプリは、OpenAIが2025年10月に「Apps SDK」を公開したことで本格化した。SDKはModel Context Protocol(MCP)をベースにしたオープンスタンダードで、開発者が独自のUI付きアプリを構築できる。

現在はAngi、SeatGeek、Tubi、Wixなどがネイティブアプリを公開済みで、当初のパイロットパートナーであるBooking.com、Canva、Coursera、Figma、Expedia、Spotify、Zillow も対応している。Etsyはこの流れに合流した。

OpenAIは8億人以上のChatGPTユーザーへのリーチを開発者に提供するとしており、今後もアプリ数の拡大が見込まれる。

Etsyは2026年Q1で売上6億3100万ドルを達成し、アクティブバイヤー数が2年ぶりに増加して8660万人に回復した。ChatGPTとの連携が新たな検索起点になり、そのトレンドを継続させるかが今後の注目点だ。