金融アナリストが毎週繰り返す調査業務を、AIが代わりにこなす時代が来た。

2026年5月5日、PerplexityはAIエージェントプラットフォーム「Computer」の金融特化版「Computer for Professional Finance」を正式リリースした。Morningstar、PitchBookなどの機関投資家向けデータと40以上のライブツールを組み合わせ、アナリストが繰り返す業務を35種類の専用ワークフローで自動化する。

この記事でわかること:

  • Computer for Professional Financeがどんな課題を解決するか
  • ライセンスデータ接続と40以上のツールの仕組み
  • 35の専用ワークフローで自動化できる業務の例
  • Excelネイティブ統合と1Password連携のセキュリティ設計
  • Bloomberg Terminalなど既存ターミナルとの違い

毎週繰り返す調査業務がボトルネックになっている

金融業界のアナリストが費やす時間の多くは、繰り返しの作業だ。決算発表後の財務分析、競合他社との比較、ウォッチリスト銘柄のニュース監視——いずれも毎週発生し、データを複数のプラットフォームから手動で収集してレポートにまとめる。

Perplexityが解決しようとしているのはこの問題だ。Computer for Professional Financeは、データ収集から文書出力までをAIエージェントが一貫して担う。

https://www.perplexity.ai/hub/blog/computer-at-work

ライセンスデータをそのまま持ち込んで使える

最大の特徴は、チームがすでに持つデータ契約をそのまま活用できる点だ。

Morningstar、PitchBook、Daloopa、Carbon ArcといったデータプロバイダーをMCPコネクタ経由で接続できる。自社でライセンス契約済みのデータを使うため、新たに購入する必要がない。FactSet、S&P Global、Nasdaqなどの市場データや、SnowflakeやDatabricksといった社内データ基盤とも連携する。

SalesforceやHubSpotとも接続でき、CRMデータを自然言語でクエリすることも可能だ。新しいプロバイダーと独占契約を結ぶのではなく、すでにある契約を束ねて使う設計になっている。

35種類の専用ワークフローで繰り返し業務を自動化

40以上のライブツールに加え、35種類の金融専用ワークフローが組み込まれている。

決算後分析: 決算発表から数分以内に、利益率の変化や周辺銘柄への影響を網羅したレポートを自動生成する。

カタリスト追跡: ウォッチリスト銘柄のニュース、規制当局の決定、臨床試験の結果を24時間監視して変化を通知する。

投資文書の自動作成: 調査スレッドを構造化された投資メモ、ピッチブック、財務モデルへ変換し、Word、PowerPoint、Excelで出力する。

すべての数値はSEC提出書類などの一次ソースへリンクされており、AIの回答の根拠をたどれる。

ExcelとTeamsの中から操作できる

Computer for Professional Financeは、既存のツールを離れずに使える設計になっている。

Excelのネイティブサイドパネルとして動作するため、スプレッドシートを開いたまま自然言語で分析を依頼できる。Microsoft TeamsにもComputerを追加でき、チャット画面からそのままAIエージェントに業務を委任できる。

各タスクは隔離されたクラウド環境のサンドボックスで実行される。ローカルの環境構築なしに安全に動く。

セキュリティと認証管理の仕組み

機関投資家向けのため、セキュリティ要件は厳格に設計されている。

SOC 2 Type IIに準拠し、SAML SSOと全セッションの監査ログに対応する。1Passwordとの連携により、エージェントはユーザーの資格情報を直接扱わずに代理操作できる。認証情報がモデルやエージェントに触れることなく、操作が承認・管理・監査可能な形で記録される。

20以上のモデルが自動で使い分けられる

Computerは単一のAIモデルではなく、20以上のフロンティアモデルのオーケストレーション層として機能する。タスクの性質に応じてモデルを自動選択する仕組みで、コーディングタスクにはClaude 4.6、深い調査にはGemini 3.1 Proが使われる。ユーザーはモデルを意識せず、目的を指示するだけでよい。

料金と対象プラン

現時点でComputer for Professional FinanceはEnterprise向けの提供となっている。公開されている具体的な料金表はなく、導入を検討する場合はPerplexityへの問い合わせが必要だ。

個人向けの「Personal CFO」機能(Plaid連携による資産管理)はProプラン以上の加入者に提供されており、Computerの金融機能を個人の資産管理に転用したものだ。

Bloomberg TerminalやFactSetとの違い

Bloomberg TerminalやFactSetは、データへのアクセスと可視化が主な役割だ。アナリストはデータを確認し、自分で解釈・文書化する。

Computer for Professional Financeはこの工程を変える。AIエージェントがデータを収集し、解釈し、レポートを作成するまでを一貫して実行する。アナリストは出力を確認・判断する側に回れる。データは既存の契約プロバイダーから取得するため、BloombergやFactSetの契約を置き換えるものではなく、その上に乗るオーケストレーション層として位置づけられる。

Perplexityは「Terminalの次の形態はエージェントだ」という立場を明確にしており、ただデータを表示するだけでなく、ジュニアアナリストの業務を実行するシステムを目指している。