Claude Proを使っていて、ピーク時間帯の速度低下や利用上限に不満を感じていたなら、2026年5月6日の発表は見逃せない内容だ。
AnthropicはSpaceXとの計算資源提携を締結し、Claude CodeのレートリミットをPro・Maxプランで即日2倍に引き上げた。ピーク時間帯の制限も同日撤廃されている。
この記事でわかること:
- AnthropicとSpaceXが結んだ計算資源契約の規模と詳細
- Claude Pro・Max・Team・Enterpriseで変わった具体的な制限値
- Claude Opusモデルを使う開発者向けAPIレートの変更
- Anthropicが並行して進める複数のコンピュート拡張計画
- 宇宙空間での計算資源開発という長期ビジョン
https://www.anthropic.com/news/higher-limits-spacex
今回の利用制限の変更点
まず、Claude Codeの5時間あたりレート制限が倍増した。Pro・Max・Team・Enterprise(シートベース)の全プランが対象で、同じ時間帯により多くのリクエストを送れるようになった。
次に、ピーク時間帯の制限が撤廃された。これまでProとMaxアカウントは、利用が集中する時間帯に制限が強化されていた。この措置がなくなり、時間帯を問わず一定の上限で使える。
さらに、Claude OpusモデルのAPIレート制限が大幅に引き上げられた。Claude Opusを呼び出す開発者向けのAPIレートが増加しており、具体的な数値はAnthropicの公式ドキュメントで確認できる。
なぜ今、制限を緩和できたのか
背景にあるのは、Claude Codeを中心とした利用需要の急増だ。2026年4月にAnthropicは「Claudeへの需要が避けがたいインフラの負荷を生んでいる」と公表し、ピーク時の信頼性と応答速度の低下を認めていた。この問題に対応するために、同社はこの数週間で複数の大規模な計算資源確保に動いており、今回のSpaceXとの提携もその一環だ。
SpaceXとの提携の中身
Anthropicが確保したのは、SpaceXのColossus 1データセンター(テネシー州メンフィス)の全計算容量だ。同センターには22万台超のNVIDIA GPUが設置されており、Anthropicはここから300MW超のコンピュートを1ヶ月以内に利用開始できる。
なお、SpaceXは今年にElon MuskのxAIと合併しており、Colossus 1はxAIが建設した最大規模の施設にあたる。Anthropicはこの追加容量をClaude ProおよびClaude Maxの利用者に直接反映させるとしている。
今回の契約には将来的な連携への関心表明も含まれている。AnthropicはSpaceXと協力して、複数ギガワット規模の軌道上AIコンピュート容量の開発を検討すると明かした。地上データセンターとは独立した宇宙空間での推論インフラだが、現時点では具体的なスケジュールは示されていない。
Anthropicのコンピュート拡張戦略
SpaceXとの提携はAnthropicが進める大規模なインフラ確保戦略の一部だ。
Amazonとの契約は最大5GWで、2026年末までに約1GWが稼働開始する。アジアとヨーロッパでの推論用インフラも含む。Google・Broadcomとの合意は合計5GWで、2027年から稼働予定だ。Microsoft・NVIDIAとはAzureで300億ドル規模の戦略的提携を結んでいる。さらにFluidstackを通じて米国内AIインフラに500億ドルを投資する計画も公表済みだ。
Anthropicは現在、AWS Trainium・Google TPU・NVIDIA GPUという複数のハードウェア上でClaudeを学習・運用しており、特定プラットフォームに依存しない体制を取っている。
MuskとAnthropicの関係が一転
今回の提携は、両者の関係が急転した点でも注目される。MuskはAnthropicに対して「西洋文明を嫌っている」「反人道的な会社だ」と公の場で批判を重ねてきた。ところが提携発表と同じ5月6日、MuskはX上でAnthropicのシニアメンバーと先週時間を過ごし「感銘を受けた。高い能力と正しい行動への強い意志を感じた」と投稿し、姿勢を大きく転換させた。
なお、Muskはその同週に、OpenAIおよびSam Altmanとの裁判でカリフォルニア州オークランドの連邦法廷に立っており、その最中での異例の提携発表となった(参考)。
Claude ProとMaxのユーザーへの影響
ピーク時の制限撤廃と、Claude CodeレートリミットのPro・Max向け即日倍増は、すでに適用されている。SpaceXのColossus 1から1ヶ月以内に300MW超の計算資源が稼働を始めれば、Claude ProとMaxの応答品質がさらに安定する見込みだ。
大規模なAmazon・Google・Microsoftとの複数年契約が控えていることを考えると、利用上限のさらなる拡大は継続的に進んでいくとみてよい。