マレーシア向けアプリを作るとき、決済・請求・物流のAPI情報は公式サイトや個別ドキュメントに散らばっています。2026年6月14日、開発者コミュニティKrackedDevsがPasar APIを公開し、この問題を一つのディレクトリで解消しました。
この記事では、Pasar APIの概要と、開発者・AIコーディング利用者にとってのメリットを整理します。
この記事でわかること
- Pasar APIが何を集約しているか
- 541件のカタログ構成と2つのティア
- REST APIとMCPサーバーによるAIエージェント連携
- 既存の政府系APIポータルとの違い
https://pasarapi.krackeddevs.com
Pasar APIとは
Pasar APIは、マレーシアでアプリやサービスを開発する際に必要なAPIを横断検索できるディレクトリです。サイトのキャッチコピーは「Every API you need to build in Malaysia. Search it. Copy it. Ship it.」と掲げられています。
開発者のDanial氏(@masterofnone)が2026年6月14日にXで公開を告知しました。投稿では、FPX、DuitNow、Billplz、e-invoicing(電子請求)、物流など、通常はバラバラに探す実務情報を一か所にまとめた点が強調されています。名称はマレーシアの夜市「pasar malam(パサール・マラム)」をもじったものです。
運営はKrackedDevs。マレーシアのvibe coder(AI支援で自然言語からコードを組み立てる開発スタイル)向けコミュニティが、開発者同士の「共通の市場(pasar)」として提供しています。
なぜ必要か
マレーシアで決済連携を始めると、次のような壁にぶつかります。
- FPXやDuitNowの仕様はPayNetの開発者ポータルに載るが、商用ゲートウェイごとの料金や認証方式は別サイト
- 電子請求(MyInvois)はLHDN(内国歳入庁)のSDKと、民間ミドルウェアのドキュメントが混在
- 物流APIは事業者ごとにエンドポイントが異なる
Aboutページでも「どの決済ゲートウェイがFPXに対応しているか」「政府データセットはまだ更新されているか」「ベースURL・認証・料金は何か」と、開発者が何時間も探す課題が明示されています。Pasar APIは、この散在を解消するための索引です。
カタログの中身
2026年6月15日時点の公開REST API(GET /api/catalogue)によると、登録件数は541件、カテゴリは38種類です。大きく分けると、政府オープンデータと商用APIの2系統があります。
政府・公共データ
data.gov.my、OpenDOSM、MET Malaysia(気象局)、BNM(中央銀行)、保健省など、政府系ソースから取得できるデータセットが多数含まれます。例として、週次の燃料価格(fuelprice)、PriceCatcherの物価記録、日次の出生数、Prasaranaの交通データなどが挙げられます。
決済・請求・物流
商用カテゴリでは、開発者が実務で触れるサービスが整理されています。
- 決済: Billplz、PayNet DuitNow、toyyibPay、HitPay、GrabPay、Stripeなど(Paymentsカテゴリ13件)
- 電子請求: LHDN MyInvois、Bukku、ClearTax Malaysia、Storecoveなど(E-invoicing & taxカテゴリ12件)
- 物流: EasyParcel、Shippoなど(Logistics & deliveryカテゴリ12件)
Billplzの検索結果には「payment collection & FPX bill API」、PayNet DuitNowには「national real-time payments (QR, Transfer, Request)」と、用途が短く記載されています。
2つのティア
各エントリは次の2段階に分類されます。
| ティア | 内容 |
|---|---|
| open | 無料・認証不要。curlスニペットをそのまま実行可能 |
| commercial | APIキーが必要。公式ドキュメントURL、認証方式、料金情報を掲載 |
商用エントリは「動くふりをした偽のAPIコール」を載せず、プロバイダー公式ドキュメントへのリンクを優先します。公開APIが存在しない事業者は載せない方針です。リンク切れやリブランドも自動監視し、最終確認日を記録します。
無認証かつ無料のopen APIは、2026年6月15日時点で301件。全体の約55%を占めます。
REST APIとMCPサーバー
Pasar API自体もAPIとして公開されています。ベースURLは https://pasarapi.krackeddevs.com で、認証不要・CORSオープン・読み取り専用です。レスポンスは24時間エッジキャッシュされ、政府カタログは日次更新されます。
主なエンドポイントは次のとおりです。
GET /api/catalogue— 全件一覧GET /api/search— キーワード・カテゴリ・ティアで絞り込みGET /api/apis/:id— 個別詳細(実行可能なsnippet、docsリンク、AI向けprompt付き)GET /api/categories— カテゴリ別件数
Claude DesktopやCursorから使えるMCPサーバーも /mcp で提供されています。npx mcp-remote https://pasarapi.krackeddevs.com/mcp で接続し、エージェントが search_malaysian_apis、get_malaysian_api、list_api_categories の3ツールでマレーシア向けAPIを検索・取得できます。エディタを離れずに「無料の天気APIを教えて」と聞くだけで、エンドポイントとスニペットまで返る設計です。
政府系ポータルとの違い
マレーシア政府の公式オープンデータAPI(developer.data.gov.my)は、政府が公開するデータセットへのアクセスに特化しています。APIトークン不要で https://api.data.gov.my から燃料価格や統計データを取得できます。
Pasar APIはこの政府データに加え、BillplzやEasyParcelといった商用サービス、StripeやMapboxなどマレーシア開発者がよく使うグローバルツールも同一カタログで扱います。政府ポータルが「公開データの窓口」なら、Pasar APIは「マレーシアでアプリを作る人が最初に開く索引」に近い位置づけです。
誰向けか
- マレーシア市場向けにECサイトやSaaSを構築する開発者
- FPX・DuitNow・MyInvois連携の調査段階にいるチーム
- Claude CodeやCursorでvibe codingするビルダー
Danial氏の公開投稿では278件のいいねが付いており、ローカルAPI情報の整理ニーズの高さがうかがえます。カタログはSubmit機能でコミュニティからの追加も受け付けており、AI、デザイン、新カテゴリへの拡張も予定されています。
マレーシア特化のAPI調査に毎回数時間かけていたなら、Pasar APIをブックマークして検索から始めるのが最短ルートです。