画像はFluxで、動画はRunwayで、音声はElevenLabsで——一つのコンテンツを作るだけで、異なるサービスを渡り歩く手間を強いられていた。2026年3月24日、そのフラストレーションを丸ごと引き受けるAIエージェントプラットフォーム「Glif 2.0」が公開された。

この記事でわかること:

  • Glif 2.0が旧バージョンから何を変えたか
  • 100種以上のAIツールを自動で選んで動かす仕組み
  • スキル機能と費用管理の使い方
  • 料金体系と無料での試し方

https://glif.app/changelog/2026-03-24-glif-2

旧Glifは何が問題だったか

旧バージョンのGlifはノードベースのワークフローエディターが中心だった。AIモデルをグラフ状に接続し、複数のボットを組み合わせて自動化を組み立てる設計だ。強力ではあったが、目的のワークフローを一から設計する必要があり、使い始めるまでの学習コストが高かった。

数百万件の利用データを分析したチームが気づいたのは、「複数のボットを調整するより、一つの賢いエージェントに全部任せたい」というユーザーの声だった。Glif 2.0はその学習をもとに、複数エージェントの協調を捨て、単一の「クリエイティブスーパーエージェント」に完全移行した。

チャット一本で100種以上のツールを横断する

Glif 2.0の核心は、エージェントが100種以上のネイティブツールにアクセスできる点だ。画像生成ではFlux・BFL・Fal、動画生成ではRunway・Kling・Seedance・Veo、音声合成ではElevenLabs TTS、テキスト処理ではClaude・GPT・Gemini、さらにFFmpegやRemotionによるメディア処理、Webの検索・ページ取得まで網羅している。

「短い動画を作りたい」と入力するだけで、エージェントが必要なツールを判断し、順番に呼び出し、結果を組み合わせる。ツール選択もパイプライン設計も不要だ。ツールはコンテキストに一括で読み込まれるのではなく、リクエストの内容に応じてセマンティック検索で動的に選ばれる。100種以上を保有しながら応答速度を維持できるのはこの仕組みのためだ。

スキルで制作フローを再現する

Glif 2.0には「スキル」という概念がある。特定のクリエイティブワークフローに特化した指示のパッケージで、音楽ビデオ制作、キャラクターデザインの反復、ポッドキャスト構成といった用途向けに、あらかじめ実績あるスキルが用意されている。

スキルは旧バージョンの「ボットごとの設定」に代わるものだ。チャット開始時に選択でき、会話の途中でエージェントが自動で追加スキルを有効化することもある。自分の制作スタイルや好みをスキルとして保存しておけば、次回以降の作業にそのまま引き継げる。

インタラクティブな出力と費用管理

エージェントの応答はテキストだけではない。画像ギャラリー、動画プレーヤー、音声プレーヤー、比較ビューなどがチャット内に直接レンダリングされる。生成した動画をその場で確認し、修正を依頼するまでの流れが一つの画面で完結する。

費用の管理機能も整備されている。ツール実行前の承認フローを「すべて自動承認」「毎回確認」「閾値設定(指定クレジット未満は自動承認、以上は確認が入る)」から選べる。AIツールで予期せず費用が膨らむ事態を防ぐ設計だ。

料金

クレジット制を採用しており、1クレジット = 0.01ドル。クレジットパックは1.99ドル(200クレジット)から購入できる。未使用クレジットは翌月に繰り越せず、有効期限は購入から6か月だ。無料クレジットは毎日リセットされるため、まず試してみることができる。サブスクリプションプランは今後追加予定で、エンタープライズ向けの見積もりはcontact@glif.xyzまで問い合わせる形になっている。

旧ユーザーのデータについて

旧バージョンのワークフロー・スペルはJSONでエクスポートできる。チャット履歴もテキストでエクスポート可能だが、新システムには引き継がれない。2026年3月24日以前に購入したクレジットは、希望すれば返金を受けられる。

a16zの投資が示すポジション

2026年4月23日、Andreessen Horowitz(a16z)がGlifのシードラウンドを主導したと発表した。a16zはGlifを「クリエイティブ作業のためのClaude Code」と位置づける。「ツールを使う」から「エージェントに指示する」へのシフトをコーディング領域で実現したのがClaude Codeなら、Glifはその転換をクリエイティブ制作全体に持ち込もうとしている。

創業者はFabian Stelzer(AI視覚注意研究会社EyeQuant元CEO・AIフィルム制作者)とJamie Wilkinson(Know Your Meme共同創業者・エミー賞受賞)。旧プラットフォームはすでに数百万人のクリエイターに使われており、そこで蓄積したデータがV2の設計に反映されている。