MCPを使うたびに「どのサーバーを使えばいいか」「認証の仕組みをどう整えるか」で詰まった経験はないでしょうか。Google CloudはCloud Next 2026(2026年4月)で、自社サービスをリモートMCPサーバーとして整備し、管理基盤を一元化すると発表しました。

この記事でわかること:

  • Google CloudがどのサービスをMCPサーバーとして公開しているか
  • Agent Platformで有効化する手順
  • リモートMCPサーバーがローカル型と何が違うか

Google Cloud Next 2026で発表された変化

Google Cloudは2026年4月23日、従来の「Vertex AI」を「Gemini Enterprise Agent Platform」に移行すると発表しました。Vertex AIが提供していたモデル選択・トレーニング・デプロイ機能はそのまま引き継がれますが、エージェントの構築・スケール・ガバナンス・最適化を一元管理できる基盤として再設計されています。

その中核の一つが、Google CloudサービスへのMCPサーバー対応の拡大です。Steren Giannini(Google Cloud Runプロダクトマネージャー)は「MCPサーバーのリストは毎日増えている。Agent PlatformでワンクリックでONにでき、GCP・Workspace・Gemini Enterprise全体で組織のエージェントから使える」と発信しました。

利用できるMCPサーバーの全体像

2026年4月時点で、Google CloudのMCPサーバーは3つのグループに分かれています。

Google Cloud MCPサーバーはインフラ・データ系を中心に30以上のサービスが揃っています。BigQuery、Cloud SQL、AlloyDB for PostgreSQL、Spanner、Firestore、Bigtableなどのデータベース系、Cloud Run、GKE、Compute Engineのコンピュート系、Cloud Logging・Cloud Monitoring・Cloud Traceのオブザーバビリティ系、Google Security Operationsのセキュリティ系などが含まれます。

Google MCPサーバーは、Maps Code Assist(地図統合)、Developer Knowledge API(Googleドキュメント検索)、Design MCP(デザイン操作)、Google Pay and Wallet(決済)など、Google全体のサービスが対象です。

Google Workspace MCPサーバーはGmail・Drive・Calendar・Chat・People APIの5つがDeveloper Previewとして公開されています。AIエージェントがメール送受信や予定管理、Driveのファイル操作を直接実行できるようになりました。

ローカルMCPとの違い

一般的なMCPサーバーはローカルマシン上で動作し、stdioを介してクライアントと通信します。これに対しGoogle Cloudのリモートサーバーは、Googleのインフラ上で稼働しHTTPエンドポイントを公開します。

主な違いは4点あります。IAM(Identity and Access Management)ポリシーでツール単位のアクセス制御が可能です。Model Armorによるプロンプトインジェクション対策と機密データ漏洩の防御も組み込まれています。すべての操作が集中監査ログとして記録されます。さらに、Toolsetsという機能で「BigQueryのクエリ実行のみ」のように公開ツールを絞り込めます。エージェントに過剰なツールを渡すと推論が遅く高コストになりますが、これを防ぐ設計です。

Agent PlatformでMCPサーバーを有効化する手順

Gemini Enterprise Agent Platform APIを有効にすると、Agent PlatformのリモートMCPサーバーも自動で有効化されます。その後の基本的な流れは次のとおりです。

  1. Google CloudコンソールでGemini Enterprise Agent Platform APIを有効化する
  2. IAMロール roles/mcp.toolUser(MCPツール呼び出し)と roles/aiplatform.user(Agent Platformリソース管理)を付与する
  3. AIクライアント(Claude、Gemini CLI、VS Code、Cursorなど)のMCP設定に各サービスのHTTPエンドポイントを追加する

接続先の例として、BigQueryは https://bigquery.googleapis.com/mcp、Cloud Runは https://run.googleapis.com/mcp、GmailはDeveloper Previewとして https://gmailmcp.googleapis.com/mcp/v1 です。認証にはGoogleアカウントの資格情報、またはエージェント用のサービスアカウントを使います。

ClaudeやVS Codeからも接続できる

Google CloudのMCPサーバーはGemini CLIだけでなく、Claude(Anthropic)、VS Code、Cursor IDEといった外部クライアントからも接続できます。公式ドキュメントには「AI applications including Gemini CLI, ChatGPT, Claude, and custom applications」と明示されており、Google以外のツールでも利用できます。

これはAnthropicが開発したオープンなプロトコルであるMCPの特性によるものです。Google CloudはそのMCPを採用することで、特定のクライアントに依存しない接続性を確保しています。

現時点の制約

Google WorkspaceのMCPサーバー(Gmail・Drive・Calendar・Chat・People API)はいずれもDeveloper Previewです。本番環境での利用には追加の安定性確認が必要です。一部のGoogle CloudサービスもPreviewステータスのため、本番利用前にドキュメントでステータスを確認することが推奨されます。

Cloud Next 2026発表時点でGemini Enterprise Agent Platformの新機能は段階的なロールアウトが予定されており、すべての機能が即日利用可能なわけではありません。

まとめ

Google Cloudは2026年4月、Vertex AIをGemini Enterprise Agent Platformとして刷新し、30以上のクラウドサービスとGoogle WorkspaceをMCPサーバーとして整備しました。Agent PlatformのUIからワンクリックで有効化でき、IAMやModel Armorによる企業向けのセキュリティ・ガバナンスも標準で備わっています。Claude・VS Codeなど外部クライアントからも接続できるため、既存のAI開発環境に組み込みやすい構成です。