HTML5ゲーム開発IDE「Phaser Editor v5」の組み込みAIチャットが、OpenRouterに対応した。これにより、OpenAI・Anthropic・Geminiなど300以上のモデルへの切り替えが1つのAPIキーで完結するようになった。

この記事でわかること:

  • Phaser Editor v5の組み込みAIチャットでOpenRouterが使えるようになった経緯
  • OpenRouter対応で何が変わったか
  • 無料で始められる設定方法
  • MCPサーバーとの違いと使い分け

https://phaser.io/editor

Phaser Editor v5の2種類のAI機能

Phaser Editor v5は2026年2月にベータ版が公開されたHTML5ゲーム開発IDEで、Phaserフレームワーク向けのビジュアルシーンエディタや各種プロパティ編集ツールを備えている。

v5でのAI統合は、2つの独立した機能として提供されている。1つ目はMCPサーバーで、エディタにビルトインされたModel Context Protocol(MCP)サーバーを通じて、Cursor・Claude Desktop・VS Codeなどの外部AIエージェントをPhaserエディタの機能に接続できる。シーンの変更とコードの変更を組み合わせて、ゲームプレイ機能の実装やリファクタリングをAIに任せることが可能だ。

2つ目が今回アップデートされた組み込みAIチャットだ。エディタのウィンドウ内に常駐するチャットUIで、オブジェクトの命名提案・レイヤー整理・パーティクルエミッターの生成など、エディタ操作に特化した質問が行える。

これまでの制限:APIキーが複数必要だった

アップデート前の組み込みAIチャットは、Google・OpenAI・Anthropicそれぞれの公式APIを個別に設定する仕組みだった。別のモデルを試すには、各社のサイトでAPIキーを取得し、エディタの設定画面で切り替える必要があった。

用途に応じてモデルを変えたいケースでも、複数のAPIアカウントとキーを管理しなければならず、スモールチームや個人開発者にとって手間になっていた。

OpenRouter対応で変わったこと

OpenRouterは、複数のAIプロバイダーのモデルを単一APIエンドポイントで利用できる統合プラットフォームだ。OpenAI・Anthropic・Google・Mistralなど300以上のモデルに、1つのAPIキーだけでアクセスできる。

Phaser Editor v5の組み込みAIチャットがOpenRouterに対応したことで、以下の変化が生じた。

複数プロバイダーのモデルを1つのキーで管理できる。これまで個別に取得・管理していたGoogle/OpenAI/AnthropicのAPIキーが不要になり、OpenRouterのキー1本に集約される。

デフォルトで無料モデルが使える。OpenRouterは名前の末尾が:freeのモデルを無料枠として提供しており、Phaser Editorではこのフリーモデルがデフォルトとしてセットされている。APIキーを登録するだけで課金なしに試せる。

300以上のモデルから選択できる。同じ組み込みチャットのUIを使いながら、タスクの性質に合わせてモデルを柔軟に切り替えられる。

設定手順

OpenRouter対応の組み込みAIチャットを有効化する手順は次のとおりだ。

まずOpenRouterのサイト(openrouter.ai)でアカウントを作成し、APIキーを取得する。無料モデルを使う場合は課金情報の設定は不要だ。

次にPhaser Editor v5のメインメニューから「Settings」を開き、「AI Chat」タブに移動する。フィールドにOpenRouterのAPIキーを貼り付ける。キーはローカルマシンにのみ保存され、エディタから直接OpenRouterのサーバーに接続する設計になっている。

デフォルトのフリーモデルのままAIチャットを起動すれば、即座に使い始められる。有料モデルに切り替えたい場合はモデルIDのフィールドを変更するだけでよい。

MCPサーバーとの使い分け

組み込みAIチャットとMCPサーバーは目的が異なる。

組み込みAIチャットはPhaser Editor自体のウィンドウ内で完結する簡易チャット用途向けで、シーン内容についての質問・オブジェクト名の提案・設定確認など、軽量なやり取りに向いている。

MCPサーバーはCursorやVS CodeといったコードエディタのAIエージェントと連携し、シーンの変更とコード変更を組み合わせた複雑な操作を自動化するためのものだ。プロトタイプシーンを完成版に仕上げる・レイヤー構造をまとめて整理するといった、長い処理が必要なタスクに向いている。

両機能は独立して動作するので、片方だけを使うことも、場面に応じて使い分けることも可能だ。

Phaser Editor v5の現状

Phaser Editor v5はPhaser 4(大幅な WebGLレンダラー刷新を含む)への完全対応と、Phaser 3との後方互換性を維持している。AIチャット機能は現時点では実験的と位置づけられているが、公式はゲーム開発の生産性向上において重要な方向性だとしており、継続的に開発が進む見込みだ。

有効なサブスクリプションがあれば、v5ベータは現在すでに利用可能だ。