英語の技術書や洋画の字幕を日本語で読みたいのに、翻訳ツールが途中で止まったり書式が崩れたりして困ったことはないでしょうか。
TranslateBooksWithLLMs は、EPUB・SRT・DOCX・TXTファイルをLLMで丸ごと翻訳するオープンソースツールです。書式を完全に保ったまま、どんなサイズのファイルでも翻訳できます。
この記事でわかること:
- TranslateBooksWithLLMs の主な機能と対応フォーマット
- 使えるLLMプロバイダーと選び方
- インストールから翻訳実行までの手順
- 類似ツールとの違い
ファイルサイズ制限なし、書式も崩れない
従来の翻訳ツールでは、長い文書を扱うと途中でエラーになるか、書式が失われるかのどちらかでした。TranslateBooksWithLLMs はこの問題を2つの仕組みで解決しています。
インテリジェントチャンキングで、文書をトークン単位で分割しながら翻訳します。分割境界では前後の文脈が保持されるため、章や段落をまたいでも自然な翻訳が続きます。ページ数が1000を超える長編小説でも処理できます。
チェックポイントシステムで、翻訳の進捗を自動保存します。途中でネットワークが切れたり、PCを再起動しても、中断した箇所から再開できます。
対応フォーマットは以下の4種類です。
- EPUB — 電子書籍。スタイルやタグを含む構造をそのまま保持
- SRT — 字幕ファイル。タイムコードがずれない
- DOCX — Word文書。段落スタイルや書式を維持
- TXT — テキストファイル
7つのLLMプロバイダーに対応
ローカルで動かすか、クラウドAPIを使うかを自由に選べます。
| プロバイダー | 種類 | 特徴 |
|---|---|---|
| Ollama | ローカル / クラウド | 無料でローカル実行できる |
| Poe | クラウド(推奨) | 複数モデルに対応、設定が簡単 |
| OpenRouter | クラウド | 200以上のモデルを選べる |
| OpenAI | クラウド | GPT-4oなど、LM Studioとも互換 |
| Mistral | クラウド | 多言語に強い |
| DeepSeek | クラウド | コスト効率が高い |
| Gemini | クラウド | Google AI Studio から API キーを取得 |
プロバイダーは .env ファイルで切り替えます。LM StudioやLLaMA.cppのようなOpenAI互換サーバーも --provider openai と --api_endpoint を指定するだけで使えます。
翻訳品質のベンチマークはGitHub Wikiで公開されており、言語別に最適なモデルの比較結果を参照できます(参考)。
インストールと使い方
実行ファイルで試す(Python不要)
Windows・macOS向けに実行ファイルが配布されています。最新版はv1.0.21(2026年4月12日リリース)です。
- GitHubのリリースページからOSに合うzipをダウンロードする
- 解凍して
TranslateBook.exe(Windows)または./TranslateBook(macOS)を実行する - ブラウザで
http://localhost:5000を開く
macOSでは初回起動時に「システム設定 → プライバシーとセキュリティ」から「このまま開く」をクリックする手順が必要です。
Pythonからインストールする
git clone https://github.com/hydropix/TranslateBooksWithLLMs.git
cd TranslateBookWithLLM
ollama pull qwen3:14b # ローカルモデルをダウンロード
# Mac/Linux
chmod +x start.sh && ./start.sh
Webインターフェースが http://localhost:5000 で起動します。
コマンドラインで翻訳する
# 基本(英語 → 日本語)
python translate.py -i book.epub -sl English -tl Japanese
# OpenRouterでClaude Sonnet を使う
python translate.py -i book.txt --provider openrouter \
--openrouter_api_key YOUR_KEY -m anthropic/claude-sonnet-4 -tl Japanese
# ローカルのLM Studioを使う
python translate.py -i book.txt --provider openai \
--api_endpoint http://localhost:1234/v1/chat/completions -m your-model -tl Japanese
出力ファイル名は {元ファイル名} (Japanese).epub のように自動で付けられます。
既存ツールとの違い
DeepL などのサービスと比べたときの差は2点です。
モデルを自分で選べる点が最も大きな違いです。高精度が必要なら GPT-4o、コスト重視なら DeepSeek、完全オフラインにしたいなら Ollama と、用途に合わせて使い分けられます。
ファイルを外部サーバーに送らなくて済む点も、機密性の高い文書を翻訳する場合には重要です。Ollamaを使えばすべての処理がローカルで完結します。
一方、Webインターフェースはシンプルな設計のため、プロ向け翻訳ソフトのような細かいセグメント編集機能はありません。翻訳精度の調整は主にモデル選択と、--refine(2回目の文学的推敲パス)と --text-cleanup(OCR補正)の2オプションで行います。
まとめ
TranslateBooksWithLLMs は、書式保持・途中再開・マルチプロバイダー対応の3つを備えた実用的な翻訳ツールです。英語の技術書や字幕ファイルをローカルLLMで翻訳したい場合の選択肢として、導入のハードルが低く、すぐ試せます。
GitHubスター数は913(2026年4月時点)で、継続的にメンテナンスされています。