WhatsApp Desktopに保存されたチャット履歴を、ターミナルから検索・アーカイブできるCLIツール「wacrawl」のv0.1.0がリリースされました。
この記事でわかること:
- wacrawlが解決する課題と概要
- インストール方法と基本的なコマンド
- 安全性の仕組みと注意点
WhatsApp Desktopのチャット検索には限界がある
WhatsApp Desktopはチャットの検索機能を持っていますが、古いメッセージや特定の日付範囲で絞り込む操作は直感的ではありません。業務用途や個人の記録として大量のチャット履歴を持っているユーザーにとって、「あの日送ったメッセージを探したい」という場面でつまずきやすいツールです。
また、チャット履歴を外部に安全にバックアップする公式の仕組みも限られています。
wacrawlとは
https://github.com/steipete/wacrawl
wacrawlは、macOS上のWhatsApp Desktopが持つローカルのSQLiteデータベースを読み取り専用でアーカイブし、コマンドラインからチャット一覧・メッセージ取得・全文検索を行えるCLIツールです。Go製のオープンソースソフトウェアとして、Peter Steinberger(@steipete)によって公開されました。
WhatsAppのアプリデータを直接書き換えることはなく、あくまでローカルに保存されたデータを読み取って自前のアーカイブに取り込む仕組みです。
主な機能
wacrawlは以下の6つのコマンドを提供しています。
doctor — 環境チェック
wacrawl doctor
WhatsApp Desktopのデータが正常に読み取れるか確認します。データベースのファイルパス、行数、メッセージの日付範囲などをレポートします。
import — アーカイブの取り込み
wacrawl import
WhatsApp Desktopの SQLiteデータベースをスナップショットとして取り込み、wacrawl自身のアーカイブ(~/.wacrawl/wacrawl.db)を更新します。チャット、連絡先、グループ、メッセージ、メディアのメタデータが対象です。
status — アーカイブの状態確認
wacrawl status
取り込んだデータの件数や最終インポート日時を表示します。
chats / messages — 一覧取得
wacrawl chats --limit 20
wacrawl messages --chat 1234567890@s.whatsapp.net --after 2026-01-01
チャット一覧やメッセージを絞り込んで取得します。送受信の方向、日付範囲、メディアの有無などフィルタが豊富です。
search — 全文検索
wacrawl search "請求書" --from-them --after 2026-01-01
SQLite FTS5を使った全文検索が可能です。送信者や日付で絞り込みながら素早くメッセージを見つけられます。
スクリプトから使う場合は --json フラグで JSON 形式の出力に切り替えられます。
インストール方法
Homebrewを使うのが最も簡単です。
brew install steipete/tap/wacrawl
Go環境がある場合はソースからもインストールできます。
go install github.com/steipete/wacrawl/cmd/wacrawl@latest
バイナリはmacOS(Intel / Apple Silicon)のほか、Linux・Windowsも用意されています。
安全性について
wacrawlが読み取るのはmacOSのホームディレクトリ内にあるWhatsApp Desktopのローカルデータです。具体的には ~/Library/Group Containers/group.net.whatsapp.WhatsApp.shared 以下に保存されている ChatStorage.sqlite と ContactsV2.sqlite です。
データの取り扱いに関する主な特徴は次のとおりです。
- WhatsAppのデータベースへの書き込みは一切行わない
- インポート前にSQLiteファイルを一時スナップショットにコピーしてから処理する
- ネットワーク通信なし(データをどこかへ送信しない)
- アーカイブは
~/.wacrawl/wacrawl.dbにローカル保存
プライベートなメッセージデータが含まれるため、~/.wacrawl/wacrawl.db をGitリポジトリや共有ストレージに入れないよう注意が必要です。
まとめ
wacrawlは、WhatsApp Desktopのチャット履歴を安全にアーカイブし、ターミナルから全文検索できるシンプルなCLIツールです。アプリのデータを書き換えず、ネットワーク送信もしないため、プライバシーを保ちながら過去のメッセージを効率的に探せます。
チャット履歴を業務や個人のログとして活用したいMacユーザーにとって、実用性の高い選択肢です。