AIエージェントを本番で動かし始めると、「どのツールを何回呼び出したか」「どこでトークンを消費したか」「サブエージェントはどう動いたか」が見えなくなる。Comet MLが公開した公式プラグイン opik-openclaw は、OpenClawの全エージェントトレースをOpikに送信し、LLMスパンからコストまでをダッシュボードで確認できるようにする。
この記事でわかること:
opik-openclawが解決する「エージェントのブラックボックス問題」- キャプチャされるイベントの種類と見える情報
- インストールから初回トレース確認までの手順
- Opikのクラウドとセルフホストのどちらにでもつながる設定方法
https://github.com/comet-ml/opik-openclaw
エージェントが「何をしているか」がわからない問題
OpenClawのようなAIエージェントは、LLMへのリクエスト、ツール呼び出し、サブエージェントの生成を連鎖させながら動く。動作が複雑になるほど、どのステップで遅延が起きたか、トークンをどこで使ったか、エラーがどのツール呼び出しで発生したかを追跡するのが難しくなる。
ログを眺めるだけでは全体の流れが把握しにくく、コストの内訳もわからないまま請求だけが積み上がる。この状況を変えるために必要なのが、エージェント専用の可観測性ツールだ。
Opikとは
https://github.com/comet-ml/opik
OpikはComet MLが開発するOSSのLLM観測・評価プラットフォームだ。GitHubで19,000以上のスターを持ち、LLM呼び出しのトレース記録、ハルシネーション検出、RAG評価、プロダクション監視ダッシュボードなどを一つのプラットフォームで提供する。
Comet Cloud経由で無料アカウントをすぐに作れるほか、Docker Composeを使ってセルフホストもできる。1日4,000万件以上のトレースをさばける設計になっており、個人利用から本番環境まで同じツールで対応できる。
opik-openclawが記録するもの
opik-openclaw は OpenClaw のゲートウェイプロセス内で動作し、以下のイベントを自動でOpikに送信する。
| OpenClawイベント | Opikでの記録 | 内容 |
|---|---|---|
llm_input |
trace + llmスパン開始 | リクエスト内容とコンテキスト |
llm_output |
llmスパン終了 | レスポンス内容・使用トークン数・コスト |
before_tool_call |
toolスパン開始 | ツール名と入力値 |
after_tool_call |
toolスパン終了 | 出力値・エラー・実行時間 |
subagent_spawning |
subagentスパン開始 | サブエージェントの起動情報 |
subagent_ended |
subagentスパン終了 | 結果・エラー内容 |
agent_end |
trace確定 | 未完了スパンを閉じてトレースを保存 |
LLMリクエスト・ツール呼び出し・サブエージェントという3層のネスト構造がすべてトレースに反映されるため、エージェントの実行フローを時系列で追いかけられる。
インストールと初期設定
前提条件は、OpenClaw >=2026.3.2 と Node.js >=22.12.0 だ。
1. プラグインをインストールする
openclaw plugins install clawhub:@opik/opik-openclaw
ゲートウェイがすでに起動中の場合は、インストール後に再起動する必要がある。古いバージョン(<2023.3.23)を使っている場合はnpmパッケージ名で直接インストールできる。
openclaw plugins install @opik/opik-openclaw
2. セットアップウィザードを実行する
openclaw opik configure
ウィザードが起動し、Opik Cloudかセルフホストかのどちらにつなぐかをたずねてくる。Opik Cloudを選んだ場合、アカウントがなければ無料サインアップのURLを案内してくれる。エンドポイントとAPIキーを入力するとOpenClawの設定ファイルに自動で書き込まれる。
3. 設定を確認する
openclaw opik status
有効な設定が表示されれば準備完了だ。APIキーは環境変数(OPIK_API_KEY)でも渡せるため、CIや本番環境での利用にも対応できる。
4. 動作確認
openclaw gateway run
openclaw message send "hello from openclaw"
Opikのプロジェクト画面でトレースが届いていれば連携成功だ。
設定ファイルの例
OpenClawの設定JSONに以下のブロックを追加する形でも設定できる。
{
"plugins": {
"entries": {
"opik-openclaw": {
"enabled": true,
"config": {
"enabled": true,
"apiKey": "your-api-key",
"apiUrl": "https://www.comet.com/opik/api",
"projectName": "openclaw",
"workspaceName": "default"
}
}
},
"allow": ["opik-openclaw"]
}
}
plugins.allow にプラグイン名を明示しておくと、OpenClawがコミュニティプラグイン検出時に出す警告を抑制できる。
Opik Cloudとセルフホストの選び方
Opik Cloudは無料で始められ、追加の構築作業が不要だ。手軽に試したい段階ではこちらが速い。
セルフホストはDocker Composeで数コマンドで起動できる。トレースデータを外部に出したくない場合や、チーム内のコンプライアンス要件がある場合に向いている。エンドポイントのURLを自分のサーバーに変更するだけで切り替えられる。
まとめ
opik-openclaw を導入することで、OpenClawエージェントの全実行ログがOpikに集約される。LLMの応答コスト、ツール呼び出しの失敗箇所、サブエージェントの動作結果がダッシュボードから確認できるようになり、デバッグと最適化の起点が明確になる。3ステップで導入でき、Opik Cloudを使えばサーバー構築なしに始められる。