GitHubが落ちたとき、あるいはアカウントが突然停止されたとき、リポジトリはどこにも残っていない——そんなリスクを抱えたまま開発を続けていないだろうか。
Hitesh Choudharyが公開したOSSデスクトップアプリ「GitBackup」は、GitHubアカウントのリポジトリをワンクリックでローカルまたはクラウドに保存できるツールだ。CLIの知識は不要で、GitHubトークンを貼り付けるだけで動く。
この記事でわかること:
- GitBackupが解決する課題と概要
- 主な機能と対応プラットフォーム
- 導入手順とGitHubトークンの取得方法
- クラウド保存(AWS S3 / Cloudflare R2)の設定
- 既存のバックアップ手段との違い
https://github.com/hiteshchoudhary/gitbackup
GitHubバックアップの何が難しいか
GitHubにはエクスポート機能があるが、全リポジトリをまとめてダウンロードする手段は用意されていない。CLIツール(amitsaha/gitbackupやjosegonzalez/python-github-backupなど)は以前から存在するが、セットアップにコマンド操作が必要で、非エンジニアや普段ターミナルを使わない人には敷居が高い。
GitBackupはこの問題をGUIアプリとして解決した。インストールして起動し、トークンを入力するだけで全リポジトリのバックアップが始まる。
主な機能
ワンクリックバックアップ
Personal Access Token(PAT)を貼り付けると、すべてのブランチを含むリポジトリを一括でクローンする。初回はフルクローン、2回目以降は差分のみ取得する増分更新方式なので、2回目からは処理が速い。
柔軟なリポジトリ選択
自分のリポジトリだけでなく、Organization配下・スター済み・フォーク・コラボレーターのリポジトリもフィルタリングして選択できる。200〜300本以上のリポジトリを持つアカウントでも、APIのレートリミットを自動処理しながら動作する。
クラウド保存対応
AWS S3またはCloudflare R2に.tar.gz形式で自動アップロードできる。クラウドを使わずローカル保存のみという使い方も選べる。
スケジュールバックアップ
日次・週次・月次の自動実行を設定できる。バックアップ中はシステムトレイに常駐して動作し、手動操作なしで定期実行が続く。
セキュリティ面の配慮
GitHubトークンはローカルの暗号化ストレージに保存される。クローン後はリモートURLからトークンを除去する処理も入っており、ログや設定ファイルにトークンが平文で残らないようになっている。
対応プラットフォームとダウンロード
Electron製のデスクトップアプリで、macOS・Windows・Linuxの3プラットフォームに対応している。
| プラットフォーム | ファイル形式 | 補足 |
|---|---|---|
| macOS | .dmg |
初回起動は右クリック→「開く」でGatekeeperを回避 |
| Windows | .exe(インストーラ) |
Windows Defenderの警告が出たら「詳細情報」→「実行」 |
| Linux | .AppImage |
chmod +xで実行権限を付与してから起動 |
最新版は v1.0.0(2026年4月23日リリース)。Releasesページからダウンロードできる。
前提条件としてGitがシステムにインストールされている必要がある。Gitが入っていない場合はgit-scm.comから先に導入する。
使い始め方
1. GitHubトークンを発行する
- GitHubのSettings → Developer settings → Personal access tokens → Tokens (classic)を開く
- 「Generate new token (classic)」をクリック
- スコープで
repo(全リポジトリアクセス)とread:org(Organizationリポジトリ取得)を選択 - トークンを生成してコピーしておく
Fine-grained tokenも利用可能で、その場合は「Repository access → All repositories」と読み取り権限を付与する。
2. アプリを起動して設定する
アプリを開くとセットアップ画面が表示される。GitHubトークンを貼り付けると、アカウント情報を取得してリポジトリ一覧を表示する。バックアップ先のローカルフォルダを選んだら準備完了だ。
リポジトリは owner/repo-name/ の形でフォルダが作られ、すべてのブランチが保存される。
3. クラウド保存を追加する(任意)
AWS S3またはCloudflare R2を使う場合は、バケット名とアクセスキーをSettings画面で入力する。バックアップ実行時に各リポジトリが個別の.tar.gzに圧縮され、クラウドに自動アップロードされる。ローカルとクラウドの二重保存も可能だ。
4. スケジュールを設定する(任意)
Settings画面から自動実行の頻度(日次・週次・月次)を設定すると、システムトレイで常駐しながら指定タイミングにバックアップを実行する。
CLIツールとの違い
amitsaha/gitbackupのようなCLIツールと比べて、GitBackupの強みはGUIのみで完結する点だ。Gitコマンドやシェルスクリプトへの知識なしにバックアップを構築できる。一方、細かい設定の柔軟性やスクリプト組み込みが必要な場合はCLIツールが向いている。
GitBackupはElectron + React + TypeScript製で、ソースからのビルドも可能。Node.js 18以上があればnpm install && npm run devで開発環境を立ち上げられる。ライセンスはMITで、改変・再配布も自由だ。
まとめ
GitBackupは、GitHubリポジトリのバックアップをCLIなしで実現するOSSデスクトップアプリだ。トークンを入れるだけで全リポジトリをバックアップできる手軽さと、S3・Cloudflare R2へのクラウド保存やスケジュール実行という実用的な機能を兼ね備えている。大切なコードを守る手段として、導入のハードルは低い。