Claude Codeで長期プロジェクトを進めていると、毎セッションのたびに同じ説明を繰り返すはめになる。昨日決めたアーキテクチャ、先週調べたバグの原因、過去に試して失敗したアプローチ——Claude Codeはそのすべてをセッションが終わった時点で忘れる。

claude-mem はこの問題をプラグインで解決するオープンソースツールだ。作業中のすべてのツール実行を自動で観察し、AIを使って圧縮要約を生成し、次回セッション開始時に関連する記録を注入する。公式サイトのキャッチコピーは「One AI takes notes about what another AI does.」で、まさにその通りの仕組みだ。

GitHubスター数は69,000を超え(2026年4月時点)、フォーク数は5,800超。2025年8月の公開から約8か月で急速に普及した。

この記事でわかること:

  • claude-memが解決するClaude Codeのセッション間記憶問題
  • 6つのライフサイクルフックによる自動記録の仕組み
  • npx claude-mem install 1コマンドでの導入手順
  • 観察をタイプ別・ファイル別に絞り込む3レイヤーサーチの使い方
  • プライバシー制御と設定カスタマイズの基本

セッションをまたぐと記憶がリセットされる問題

Claude Codeは会話の文脈をコンテキストウィンドウ内に保持する。セッションを閉じた時点でそのウィンドウは消える。次のセッションでは「このプロジェクトについて教えてください」から始め直す必要がある。

プロジェクトの説明や設計方針は CLAUDE.md に書いておくことで引き継げる。ただし、「先週のあのバグ調査でわかったこと」「試してみて失敗したアプローチ」「ファイルAとファイルBの依存関係についての判断」など、作業の中で生まれた知見は手動で記録しなければ消える。

claude-memはその記録を完全に自動化する。

claude-memとは

Alex Newman(@thedotmack)が2025年8月に公開したClaude Codeプラグインで、現在のバージョンはv6.5.0だ。TypeScriptで書かれており、AGPL-3.0ライセンスのもとで公開されている。Claude Codeのほか、Gemini CLI、OpenClawにも対応している。

仕組み

claude-memは6つのスクリプトを通じてClaude Codeのライフサイクルに割り込む。

SessionStart では過去のセッション記録を取得してコンテキストに注入する。UserPromptSubmitPostToolUse では、入力とツール実行の結果をリアルタイムで観察・保存する。StopSessionEnd では途中経過と最終要約を生成する。

記録はすべてローカルのSQLiteデータベースに保存される。意味的な検索にはChromaベクターデータベースを使ったハイブリッド検索(キーワード+意味的類似性)が使われる。

ローカルの http://localhost:37777 でWebビューアーが起動し、記録の閲覧・検索をブラウザ上で行える。

記録される観察は decision(意思決定)bugfix(バグ修正)feature(機能追加)discovery(発見) の4タイプに自動分類される。

主な機能

永続記憶(Persistent Memory)
セッションを閉じても文脈が保持される。次のセッション開始時に関連する過去の観察が自動注入される。追加のプロンプト記述は不要だ。

プログレッシブ・ディスクロージャー
セッション開始時は軽量なインデックス(1件あたり約40〜100トークン)だけをコンテキストに載せる。詳細は必要なIDについてのみ取得する設計で、詳細取得を最初からすべて行う場合と比べて約10倍のトークンを節約できるとされている(参考)。

ファイル・コンセプトスコープの検索
type:decision file:auth.ts のようなクエリでファイル単位の絞り込みができる。「このファイルに影響した意思決定の履歴を見せて」という問い合わせにも答えられる。意味的な問いかけでも検索できる。

Before/Afterコンテキスト
観察はその前後の出来事とセットで記録される。「なぜこの判断をしたのか」「この修正の後に何が起きたか」を後から追跡できる。

プライバシー制御
会話中に <private> タグで囲んだ内容は記録から除外される。APIキーや認証情報を扱う場面で活用できる。

Endless Mode(ベータ)
生物の記憶アーキテクチャを参考にした長時間セッション向けの実験的機能で、Webビューアーの設定から切り替えられる。

インストール手順

npx claude-mem install

Claude Code内のプラグインコマンドでも導入できる。

/plugin marketplace add thedotmack/claude-mem
/plugin install claude-mem

インストール後はClaude Codeを再起動するだけで、以降のセッションから自動で記録が始まる。npm install -g claude-mem ではプラグインフックが登録されないため、必ず上記の方法で導入すること。

BunとuvのPythonパッケージマネージャーは不足していれば自動でインストールされる。前提条件はNode.js 18.0.0以上だ。

3レイヤーサーチワークフロー

過去の記録を検索するMCPツールは、トークン消費を最小化する3段階設計になっている。

まず search で検索インデックスを取得する(1件あたり約50〜100トークン)。次に timeline で特定の観察周辺の時系列文脈を確認する。最後に get_observations で必要なIDの詳細だけをまとめて取得する(1件あたり約500〜1,000トークン)。

最初にIDを絞ってから詳細取得するこの順序が、コンテキストウィンドウの節約につながる。

料金とライセンス

プラグイン本体は無料で利用できる。ただし記憶の圧縮処理にClaude APIを使用するため、その分のAnthropicのAPI使用料が発生する。データはすべてローカルに保存され、AI処理部分以外がクラウドに送信されることはない。

ライセンスはAGPL-3.0で、修正したコードをネットワーク上で提供する場合にはソースコードの公開義務が生じる。個人利用・開発目的では制限はない。