AIエージェントのWeb調査を完全自動化するツールが登場しました。
Sciraの開発者Zaid Mukaddam氏が2026年5月8日、Scira CLIハーネスをリリースした。GUIなしで動くヘッドレス実装で、質問を受け取ってから調査計画・Web検索・選択的な本文取得・引用付き回答の生成まで、すべてをコマンドラインで完結させる。OpenClawなどのAIエージェントとの組み合わせを前提に設計されている。
この記事でわかること:
- Scira CLIハーネスの動作フローと特徴
- OpenClawとの連携の仕組み
- Scira Research Benchmarkの結果(Parallel vs Exa)
- Sciraが持つ17モード・28ツールの全体像
https://github.com/zaidmukaddam/scira
Sciraとは
元々「MiniPerplx」の名で2024年8月に公開されたオープンソースのAI検索エンジンだ。PerplexityのOSS代替として注目を集め、2026年5月時点でGitHubスター11,600超を獲得している。TypeScript製、AGPL-3.0ライセンスで公開されており、セルフホストにも対応する。
コアの仕組みはシンプルだ。ユーザーが質問を入力すると、エージェントがそれをサブタスクに分解し、複数のWebソースを並行して検索・照合したうえで、引用付きの回答を返す。Vercel AI SDKを用いてモデルオーケストレーションと回答ストリーミングを行い、EvaやFirecrawl、Parallelなど複数の検索プロバイダーを内部で使い分ける設計になっている。
CLIハーネスとは何か
今回リリースされたCLIハーネスは、SciraのWeb UIを使わずに同じ調査フローをコマンドラインから呼び出すためのコンポーネントだ。「ヘッドレス Scira スタイルのWeb Q&A」と説明されており、次のステップを自動で実行する。
- Plan(計画) — 質問をサブタスクに分解し、何を調べるかを決定する
- Search(検索) — 計画に沿ってWeb検索を実行し、関連ソースを収集する
- Selective fetch(選択的取得) — 関連性の高いページの本文だけを選んで取得する
- Answer with sources(引用付き回答) — 収集した情報を統合し、出典を明記した回答を出力する
すべてのソースが記録された状態で出力される点が特徴で、回答の根拠を後から検証しやすい。Web UIを経由せずに動作するため、CLIベースのワークフローやバッチ処理にも組み込みやすい。
OpenClawとの連携
CLIハーネスはOpenClawとの連携を前提に設計されている。OpenClawはターミナル上で動作するAIエージェントで、スキルとして外部ツールを追加できる仕組みを持つ。Scira CLIハーネスをスキルとして登録することで、エージェントが自律的にWeb調査を実行し、引用付きの情報を取得できるようになる。
これにより、「コードのデバッグ中に関連ドキュメントを自動検索して文脈として渡す」といったフローが、エージェント内で完結するようになる。
Scira Research Benchmark
同日、Scira Research Benchmarkも公開された。Sciraが内部で使用するWeb検索プロバイダーの品質を定量的に比較したものだ。
対象はParallel(@p0)とExa(@ExaAILabs)。ペアワイズ比較をすべてのマッチで行った結果、ParallelがスコアでExaを上回った。独立したベンチマークでもParallel Advancedは87%の精度を記録しており、Exaと同水準の精度をより低コストで達成している(参考)。
Sciraは既にWebサーチツールでExa・Firecrawl・Parallel・Tavilyを組み合わせているが、このベンチマーク結果はプロバイダー選定の透明性を高める取り組みとして注目される。
17モードと28ツールの現状
Sciraは現在17種類の検索モードを持つ。ユーザーはモードを指定するか、Sciraに自動判断させることもできる。
- Web / Chat / Academic — 汎用Web検索、チャット、学術論文検索
- Extreme — 複数ソースを並行調査し、詳細なレポートを生成する深掘りモード
- X / Reddit / GitHub — 各プラットフォームに特化した検索
- Stocks / Crypto / Prediction — 株価・暗号資産・予測市場のデータ取得
- YouTube / Spotify — 動画・音楽の検索と要約
- Connectors / Memory / Voice / XQL — Proプラン以上で使えるGoogleドライブ連携、個人メモリ、音声会話、X SQLクエリ機能
内部ツールは28種類あり、コード実行、PDFや表形式ファイルのセマンティック検索、リアルタイムの天気や地図データの取得なども含む。対応モデルはGrok・GPT・Claude・Gemini・DeepSeek・Qwenなど119以上で、会話の途中でも切り替えられる。
まとめ
Scira CLIハーネスは、Web UIを必要としないヘッドレスの調査エンジンだ。計画から引用まで一気通貫で動き、CLIエージェントのツールとして使える設計になっている。Research Benchmarkでは検索品質の比較も定量化されており、AIエージェント向け検索プロバイダーの選定指針としても参考になる。GitHubリポジトリはAGPL-3.0ライセンスで公開されており、セルフホスト環境でも利用できる。