チームでAIワークフローを作るとき、「誰が今どこを編集しているか」がわからない、という問題がようやく解消されます。
2026年4月29日、Difyがv1.14.0をリリースした。目玉は複数人が同じワークフローをリアルタイムで同時編集できる「Collaboration」機能の追加だ。GitHub上でスター数14万を超えるオープンソースのLLMプラットフォームが、チーム開発の場面でも実用的な選択肢になってきた。
この記事でわかること:
- Collaboration(ワークフロー共同編集)の仕組みと有効化方法
- HITL Service APIが開発ワークフローにどう影響するか
- MCP・プラグイン周辺の修正内容
- Docker Composeでのアップデート手順
Difyとは
Difyは、コードを書かずにLLMを使ったAIアプリケーションを構築できるオープンソースのプラットフォームだ。ビジュアルなワークフロービルダーを中心に、RAG(検索拡張生成)、エージェント、APIエンドポイントの自動生成まで一括で管理できる。
対応LLMはOpenAI、Anthropic、Azure OpenAI、Llama、HuggingFaceなど幅広い。Docker Composeで自己ホスティングすることも、Dify Cloudを利用することも選べる。2023年4月のOSS公開からわずか3年でスター14万超という支持を集め、2026年3月にはシリーズPre-Aで3,000万ドルの資金調達も完了した。
ワークフロー共同編集(Collaboration)が追加
v1.14.0の最大の変更点は、ワークフローのリアルタイム共同編集だ。同じワークスペースのメンバーが1つのワークフローに同時に入り、グラフの変更はリアルタイムで同期される。誰がどのノードを作業しているか(オンラインプレゼンス)も画面上で確認できる。
Dify Cloudでは追加設定なしで利用できる。自己ホスティング環境では、デフォルトで無効になっているため、以下の環境変数を設定する必要がある。
ENABLE_COLLABORATION_MODE = true
SERVER_WORKER_CLASS = geventwebsocket.gunicorn.workers.GeventWebSocketWorker
NEXT_PUBLIC_SOCKET_URL = wss://your-domain.example.com
WebSocketのURLが別途必要になる点に注意。.env ファイルに追記してコンテナを再起動すれば有効化される。
HITL(ヒューマン・イン・ザ・ループ)がService APIに対応
Human-in-the-loop(HITL)は、自動化されたワークフローを途中で一時停止させ、人間の確認・修正・承認を受けてから再開させる仕組みだ。v1.13.0でワークフローに「Human Input」ノードが追加されていたが、v1.14.0ではこれをService APIからプログラムで制御できるようになった。
従来はDifyのコンソール画面から手動で承認・却下を行う必要があった。APIに対応したことで、外部システムやSlackなどのチャットツールと組み合わせ、「AI生成した下書きをSlackで承認したら次のステップに進む」といったフローが実現できる。承認フローを既存の業務ツールに組み込みたいチームにとって、実装の選択肢が広がる変更だ。
MCPとプラグインの修正
MCPサーバーのURL設定で /v1 が二重になってしまう問題が修正された。これまでOAuthや認可フローで404エラーが出ていた場合、アップデートで解消される可能性がある。MCP OAuthのディスカバリー処理でも、不正なJSONが返ってきたときの例外処理が追加されている。
プラグイン周辺では、自動アップグレード戦略の設定が再起動後も保持されるようになった。ローカルインストーラーのファイル入力の動作改善、テナント単位でのエンドユーザールックアップの範囲修正も行われている。
その他の変更点
Goto Anything(Cmd+K)の強化: 最近アクセスしたアイテムを表示し、/go コマンドでアプリのサブセクション(チャット画面やワークフロー編集など)に直接移動できるようになった。Cmd+Kに関わる動的インポートの問題も修正されている。
プロンプトエディタの改善: スラッシュ入力で変数を絞り込んで選択できる機能が追加された。変数が増えてきた大規模なワークフローで探す手間が減る。上下キーで変数リストをナビゲートする操作感も整備された。
インフラの強化: PostgreSQLのデフォルト最大接続数が200に引き上げられ、Celeryワーカーの並行数がデフォルト4になった。高負荷時のスループット改善が見込める。Docker Composeでは api、worker、worker_beat にヘルスチェックが追加されている。
Langfuseとの連携: Time-to-First-Token(TTFT)のレポートがオプションで取得できるようになった。LLMの応答速度を細かく観測したい場合に有用だ。
アップデート手順
Docker Composeで自己ホスティングしている場合は以下の手順でアップデートできる。
git pull origin main
cd docker
docker compose down
docker compose pull
docker compose up -d
Collaboration機能を有効化する場合は、.env に前述の3つの環境変数を追加してから再起動する。設定後は同じワークスペースのメンバーと即座に共同編集を始められる。
料金と始め方
Dify Cloudは無料のSandboxプランがあり、メッセージクレジット200件・最大5アプリまで試せる。本格的な利用はProfessionalプラン(年払いで月$59)から。自己ホスティングはGitHubからクローンして無料で利用できる。
AIアプリの開発基盤を探しているチームにとって、今回の共同編集対応とHITL APIは、Difyを選ぶ具体的な理由になる。