OpenClawのアップデートでは「小さな改善のみ」で終わらないことがあります。v2026.5.9はまさにそのケースで、WeChat正式対応・iMessageキャッチアップ・Discord音声エージェントの刷新という3つの柱に加え、BlueBubblesを使っているユーザーには見逃せない破壊的変更が含まれます。
この記事でわかること:
- WeChat(微信)がOpenClawのデフォルトカタログに追加された経緯と有効化方法
- オフライン中に届いたiMessageを遡って処理するキャッチアップ機能の仕組み
- Discord音声エージェントで使えるようになった3つのモード
- BlueBubbles廃止という破壊的変更と移行手順
https://github.com/openclaw/openclaw/releases/tag/v2026.5.9-beta.1
v2026.5.9 の位置づけ
OpenClawのバージョン管理はYYYY.MM.DD形式を採用しています。v2026.5.9は2026年5月のリリースで、現在はベータ段階(v2026.5.9-beta.1)です。変更箇所はチャンネル系・音声系・プラグイン系に広がっており、マイナー扱いですが実際の影響範囲は大きめです。
WeChat(微信)が正式対応
OpenClawはTelegram、Discord、Slack、WhatsApp、iMessageなど多数のメッセージングチャンネルに対応してきました。今回のv2026.5.9では、中国の主要メッセージアプリ「WeChat(微信)」向けの外部プラグイン@tencent-weixin/openclaw-weixinがデフォルトカタログに追加されました。
バージョンは2.4.1に固定されており、以下のコマンドで導入できます。
openclaw channels add tencent-weixin
WeChat(微信)は月間アクティブユーザーが13億人を超える中国発のメッセージアプリです。中国国内のビジネスコミュニケーションでほぼ必須のプラットフォームとなっており、これまでOpenClawユーザーが自前でプラグインをセットアップする必要がありました。公式カタログへの追加によって、インストール手順が大幅に簡略化されます。
iMessageキャッチアップ機能
OpenClawのゲートウェイがオフライン中(クラッシュ・再起動・macのスリープ)に届いたiMessageは、従来はそのまま読み捨てられていました。v2026.5.9では「キャッチアップ機能」がオプトイン形式で追加され、次回起動時にオフライン中のメッセージを再生できるようになります。
設定ファイルに以下を追記すると有効になります。
channels:
imessage:
catchup:
enabled: true
maxAgeMinutes: 60
perRunLimit: 50
firstRunLookbackMinutes: 30
maxFailureRetries: 3
再生されるメッセージは通常の受信と同じ経路を通るため、許可リスト・グループポリシー・重複排除フィルターが同様に適用されます。オフライン中に自分が送ったメッセージがエージェントへの入力として再び流れ込む誤作動も防がれています。スタックしたメッセージはmaxFailureRetriesを超えると強制スキップされるため、起動のたびに同じメッセージが詰まることもありません。
iMessageのプライベートAPIアクション
imsg rpcコマンド経由で、以下のアクションがネイティブで実行できるようになりました。
- リアクション(絵文字リアクション)
- メッセージの編集
- 送信取り消し(unsend)
- リプライ
- 添付ファイル付きのリッチ送信
- グループ管理
これらはimsg status --jsonがプライベートAPIブリッジの接続を確認できた場合のみ利用できます。ゲートウェイ再起動後にブリッジが切断されている場合は、~/.openclaw/logs/openclaw.logに警告が出力されます。以前はログを確認しないと気づけなかった無応答が、明示的なWARNとして可視化されます。
Discord音声エージェントの刷新
Discordの音声チャンネル向け機能が大幅に強化されました。/vcコマンドで起動できる音声モードが3種類になっています。
- STT/TTS: 音声をテキスト変換してAIが応答し、TTSで返す
- リアルタイムバッファ: OpenClawのエージェントと双方向でリアルタイム通信
- bidiリアルタイム:
openclaw_agent_consultとの完全な双方向セッション
デフォルトの音声モードはstt-ttsからagent-proxyに変更されました。agent-proxyはマイク・スピーカーをOpenClawのエージェントセッションの延長として機能させるモードで、従来のstt-ttsも明示的に指定すれば引き続き使用できます。
ElevenLabsのTTSをDiscordの音声ストリームに直接出力する機能も追加されています。レイテンシ最適化パラメーターが自動で付与されるため、返答が始まるまでの待ち時間が短縮されます。またvoice.realtime.minBargeInAudioEndMsの設定で、スピーカーのエコーが音声を不自然に切ってしまう問題にも対応しています。
破壊的変更:BlueBubblesチャンネルの廃止
v2026.5.9で最も注意が必要な変更がこれです。BlueBubblesチャンネルサーフェスが完全に削除されました。
BlueBubblesはmacOS以外の環境からiMessageを操作するために使われてきたサードパーティ製のサーバーアプリです。channels.bluebubblesの設定を使ってOpenClawのiMessageチャンネルを構成していたユーザーは、v2026.5.9への更新後に設定が無効になります。
移行先はchannels.imessageです。Macに直接サインインした環境でimsgコマンドラインツールを使う方式に切り替える必要があります。macOS以外のサーバーからiMessageを使いたい場合はSSHラッパー経由の接続が公式ガイドに記載されています。
「Update wrong and your iMessage may cry」とJulian Goldie氏がXで警告しているように、移行手順を確認せずに更新すると、iMessageのエージェント連携が止まります(参考)。BlueBubblesを使っていないユーザーは影響を受けません。
安定版リリース前に確認しておくこと
現時点ではv2026.5.9-beta.1の段階です。安定版リリース前にBlueBubblesを使用しているかどうかを確認し、使っている場合はimsgを使ったchannels.imessageへの移行を済ませておくと、安定版がリリースされた時点でスムーズに更新できます。WeChatを使う環境があれば、安定版リリース後すぐにopenclaw channels add tencent-weixinを試せる状態になっています。