ローカルのコードをクラウドに同期してテストを走らせるOSSツール「Crabbox」が、バージョン0.11.0をリリースしました。今回のアップデートで特に大きいのは、Google Cloud(GCP)プロバイダーの追加と、リポジトリ内にジョブワークフローを定義できる jobs: 設定の導入です。
この記事でわかること
- Crabbox 0.11.0で追加された主な機能
- GCPプロバイダーの認証方式と動作の仕組み
.crabbox.yamlによるジョブ定義の使い方- AWS Windows WSL2 ハイドレーションの改善点
Crabbox とは
https://github.com/openclaw/crabbox
OpenClawエコシステムが開発するオープンソースの「エージェントワークスペース コントロールプレーン」です。
ひと言で表すと「crabbox run -- pnpm test の一発コマンドでクラウドマシンを借りてコードを同期し、テストを実行して解放する」仕組みです。背景にあるのは、AIエージェントが並列でタスクを実行する時代に、手元のマシンだけでは計算リソースが足りないという現実です。
アーキテクチャはシンプルで、ローカルのGo CLIがCloudflare Workerのブローカーに要求を出し、ブローカーがプロバイダーにVMをリースします。プロバイダーの認証情報はブローカーが持つため、チームやAIエージェントが同じインフラを共有しながらもプロバイダートークンを直接触る必要がありません。
0.11.0以前のバージョンでは、AWS EC2、Azure、Hetzner Cloud、Proxmox、静的SSHホスト、Blacksmith、Namespace Devboxといったプロバイダーが利用できました。
新機能1: Google Cloud (GCP) プロバイダー
最大の追加機能です。provider: gcp を指定することで、Google Cloud Compute Engine上のLinux VMをリースできるようになりました。
認証方式は2つあります。1つはApplication Default Credentials(ADC)によるダイレクト認証、もう1つはブローカーを経由したサービスアカウント認証です。ブローカーモードでは、チームが認証情報を持つ必要がなく、個人のGCPアカウントも不要です。
SpotインスタンスからオンデマンドVMへのフォールバックにも対応しており、Spotのキャパシティが不足しても自動でオンデマンドに切り替わります。既存の他プロバイダーと同様に、インスタンスのタイプやゾーンを明示指定するか、エイリアスからデフォルトのクラス設定を自動導出することもできます。
新機能2: リポジトリローカルジョブ定義
0.11.0から、.crabbox.yaml に jobs: セクションを追加してリポジトリ固有のワークフローを定義できます。
jobs:
full-ci:
warmup: true
hydrate: true
run: pnpm test
cleanup: always
crabbox job run full-ci とコマンドを打つだけで、ウォームアップ → GitHub Actionsハイドレーション → テスト実行 → クリーンアップという一連のフローが自動で走ります。これまではコマンドの組み合わせを手で組む必要がありましたが、ジョブ定義によってチーム内でワークフローを共有しやすくなりました。
改善点: AWS Windows WSL2 ハイドレーション
AWS Windows WSL2のリースで、LinuxのGitHub Actionsハイドレーションが使えるようになりました。これまでWSL2ターゲットはWindowsとして扱われ、Linuxハイドレーションが適用できなかったため、手作業でセットアップする部分が残っていました。
あわせて scripts/openclaw-wsl2-tests.sh が追加され、AWS Windows WSL2リースでOpenClawのフルテストスイートをワンコマンドで実行できます。
Blacksmith sync-stall ガード
Blacksmith Testboxを使う環境向けに、同期の停止状態を検出して自動終了する「sync-stall guard」が追加されました。Blacksmith CLIの最新のsync開始・完了メッセージに合わせて検出ロジックも更新されています。長時間スタックしたままCIコストが積み上がる問題を防ぎます。
インストールと更新
# Homebrew でインストール
brew install openclaw/tap/crabbox
# 既存インストールの更新
brew upgrade crabbox
crabbox --version
Homebrewを使わない場合は、GitHubのリリースページから macOS、Linux、Windows向けのアーカイブを直接取得できます。
まとめ
Crabbox 0.11.0のポイントは、GCPプロバイダーの追加によって主要なクラウド3社(AWS、Azure、GCP)への対応が揃ったことと、.crabbox.yaml のジョブ定義によって複雑なワークフローをコードとして管理できるようになった点です。AIエージェントをCI/CDや自動テストに組み込んでいるチームには、プロバイダーの選択肢が増えた恩恵が直接届きます。