AIエージェントに「今日のタスクは?」と聞いても、セッションをまたいだ記憶は残りません。人間用のToDoアプリをブラウザ操作で無理やり触らせる方法も、壊れやすく遅いです。

FocusClawは、人間とエージェントが同じタスク台帳を共有するためのオープンソース・タスクマネージャーです。2026年6月23日に開発者Emilio Johann氏が公開し、同日にv2026.6.22をリリースしました。OpenClawやHermesなど、HTTPでAPIを叩けるエージェント環境と組み合わせやすい設計です。

この記事でわかること

  • FocusClawが解決する課題と基本構成
  • エージェント連携の仕組み(Agent Automation API)
  • v2026.6.22の主な変更点
  • 類似ツールとの違いと料金

https://github.com/emiliojohann/FocusClaw

エージェントにタスク文脈を渡す課題

OpenClawやHermesのような自律型エージェントは、コード実行やWeb検索、メッセージ連携まで担えます。一方でタスク管理は別問題です。Hermesにはセッション内のtodoツールや、複数エージェント向けのkanbanボードがありますが、人間が普段使うToDoリストとは別系統になりがちです。

FocusClawは「人間が見るWeb UI」と「エージェントが叩くREST API」を、同じSQLiteデータベース上に載せます。UIのスクレイピングではなく、構造化されたJSONで読み書きする点が設計の核です。公式ドキュメントでも、エージェントはブラウザ操作よりAPI利用を推奨しています。

FocusClawの概要

FocusClawはローカルファーストのタスク管理アプリです。データはdata/focusclaw.dbのSQLiteに保存され、MITライセンスで公開されています。技術スタックはフロントエンドがReact 19・Vite・Tailwind CSS、バックエンドがFastify・Drizzle ORMです。

プロジェクト、タスク、サブタスク、コメント、タグ、期限、優先度に加え、所有者ラベル(User/Agent/Unassigned)を付けられます。ラベルは「誰の担当レーンか」を示すだけで、バックグラウンド実行や自律ワークフローは起動しません。公式FAQでも、Agentに割り当てても自動実行はされないと明記されています。

起動はNode.js(^20.19.0または>=22.12.0)が必要で、リポジトリをクローンして./start.shを実行すればローカルで動きます。デフォルトURLはWebアプリがhttp://127.0.0.1:5173、APIがhttp://127.0.0.1:3001です。Tailscale Serveを使えば、同一tailnet内の別端末からプライベートにアクセスできます。

Agent Automation APIでエージェントと同期する

エージェント連携の中心はAgent Automation APIです。ベースURLはhttp://127.0.0.1:3001/apiで、ワークスペース・プロジェクト・タスク・タグ・バックアップをJSONで操作します。ローカル開発ではAPIキーなしでも動作し、本番運用ではAPI_KEY環境変数とx-api-keyヘッダで保護できます。

代表的な操作は次のとおりです。

  • GET /api/tasks/project/:projectIdでプロジェクト内タスクを取得
  • POST /api/tasksでタスク作成(assignee: "agent"など)
  • PATCH /api/tasks/:idで優先度や所有者を更新
  • POST /api/tasks/:id/completeで完了処理

OpenClaw向けには専用プラグインパッケージ(packages/plugin)が同梱されています。Hermesはプラグイン不要で、同じREST APIを直接呼び出します。公式のHermes連携ガイドでは、スキル定義に「ブラウザ自動化よりAPIを優先する」と書く運用を推奨しています。

チャット経由では、focusclaw todayfocusclaw overdueといったプレーンテキストコマンドで当日・期限超過タスクを確認できます。タスク追加や完了は自然言語でエージェントに依頼し、API経由で反映する流れです。

v2026.6.22で整えられた繰り返しタスクとUI

2026年6月23日付けのv2026.6.22は、v2026.6.18以降の変更をまとめたリリースです。バグ修正と繰り返しタスク周りの設計見直しが中心です。

主な変更点は次のとおりです。

  • タスク詳細の説明文が保存後も消えないよう修正
  • 保存後のタスク一覧のちらつきを、局所更新で抑制
  • APIの自然言語による繰り返し検出を廃止し、明示的なRepeatsコントロールを追加(毎日・毎週・隔週・毎月)
  • 「by Friday」のような平日表現が誤って繰り返し扱いされないようAPIを調整
  • グリッド・リスト表示の繰り返し表示をアイコン化

リリースノートでは、API・Web・ランディング・プラグインのビルドとテストが通過したと記載されています。公開直後の「SHIPPING day」投稿と合わせ、実運用に耐える品質へ寄せたアップデートと読めます。

類似ツールとの違い

OpenClaw周辺には、タスク管理の選択肢がいくつかあります。

oc-tasksはCLIベースで、KanbanワークフローやSLA追跡、エージェント別キューに強みがあります。ターミナル中心の運用向けです。

Hermes Kanban~/.hermes/kanban.dbに永続化され、複数エージェントの協調作業向けです。FocusClawはエージェント基盤に依存せず、人間向けUIとAPIを一体で持つ点が異なります。

TaskClawはKanbanとAIチャット、Notion連携、MCPサーバーを備えた別系統のOSSです。FocusClawは「エージェントと人間の共有台帳」に特化し、外部SaaSに依存しないローカルSQLite設計を前面に出しています。

LinearやAsanaのような人間向けSaaSと比べると、FocusClawはクラウド同期ではなく自己ホストとAgent Automation APIを売りにしています。エージェント運用を主戦場にする開発者には、後者の方が文脈の一貫性を保ちやすいです。

料金と今後の展開

自己ホスト版は無料で、プロジェクト数・タスク数・API利用に制限はありません。公式サイトでは月額9.99ドルのマネージドCloud版が「Coming soon」と案内されていますが、現時点では未提供です。データを手元に置きたい個人や小規模チームには、無料の自己ホストが現実的な選択肢です。

プロジェクトは早期開発段階とREADMEに明記されています。本番投入前に、バックアップ(ローカルスナップショットと暗号化エクスポート)の手順を確認しておくと安心です。

エージェント運用のタスク台帳として試す価値

FocusClawは、エージェントに「何を・いつまでに・誰担当で」やるかを構造化して渡すためのOSSです。UIスクレイピングや都度のメモ頼りから脱却し、OpenClaw・Hermes・自作スクリプトが同じレコードを読み書きできます。

v2026.6.22で繰り返しタスクと保存まわりが整い、日次運用の摩擦は下がっています。エージェントと人間のToDoを一本化したいなら、リポジトリをクローンしてローカルで動かし、Agent Automation APIから接続するのが最短ルートです。