エージェントが同じ失敗を繰り返さないようにする仕組みが、ようやく CLI として形になった。

GBrain 0.19.0 では、OpenClaw や Hermes Agent 上で動くスキルを自動生成・検査・配布するための 4 つのコマンドが追加された。

この記事でわかること:

  • gbrain skillify scaffold でスキルのひな形を一括生成する手順
  • gbrain check-resolvable が AGENTS.md 型ワークスペースに対応した背景
  • gbrain skillpack install で 25 件のキュレーション済みスキルを導入する方法
  • gbrain routing-eval でルーティングの誤りを CI で検出する仕組み

https://github.com/garrytan/gbrain

0.19 で何が変わったか

GBrain はもともと、OpenClaw や Hermes Agent に対してハイブリッド検索と自己配線のナレッジグラフを提供する OSS ツールだ。バージョン 0.18 まではナレッジの蓄積・検索が中心だったが、0.19 からはスキルそのものの生成・管理が主役になった。

リリースノートに掲げられたキャッチコピーは「Your OpenClaw finally learns. Say ‘skillify it!’ and every new failure becomes a durable skill.」だ。エージェントが遭遇した失敗を、次回以降に再発しない永続スキルへ変換するワークフローが CLI として完成した。

背景 — 「スキルが届いていない」問題

gbrain check-resolvable は、スキルがエージェントから実際に到達可能かどうかを検証するコマンドだ。このコマンド自体は以前から存在していたが、RESOLVER.md 形式のワークスペースにしか対応していなかった。

OpenClaw の実際の運用では、AGENTS.md をワークスペースルートに置く構成が広く使われている。0.18 まではこの構成に対して check-resolvable を実行すると「RESOLVER.md not found」でエラー終了していた。要するに、107 件のスキルが入った本番デプロイを検査できない状態が続いていた。

0.19 では AGENTS.md をワークスペースの resolver ファイルとして自動認識するようになった。公開されているリリースノートによると、実際の OpenClaw デプロイ(107 スキル構成)に対して初めて check-resolvable を実行したところ、15 件の到達不能エラーと 108 件のアドバイザリ警告が検出された。スキルの約 15% が「入っているのに届かない」状態だったことになる。

4 つの新コマンド

1. gbrain skillify scaffold

スキルのひな形を 2 秒以内に生成するコマンドだ。

gbrain skillify scaffold webhook-verify \
  --description "Verifies incoming webhook signatures" \
  --triggers "verify webhook,check signature"

実行すると以下の 4 ファイルが生成される:

  • skills/webhook-verify/SKILL.md — スキルの定義
  • スクリプトのスタブ
  • ルーティング評価用フィクスチャ (routing-eval.jsonl)
  • テストのスケルトン

さらに resolver ファイルへのトリガー行の追記もべき等で行われる(重複行は追加しない)。各スタブには SKILLIFY_STUB というセンチネル文字列が埋め込まれており、check-resolvable --strict を実行するとこのセンチネルが残っているスキルはエラーとして弾かれる。「作ったまま放置」のスキルが本番に紛れ込む状態を防ぐ設計だ。

2. gbrain skillify check

作成済みスキルを 10 項目で監査するコマンドだ。

gbrain skillify check skills/webhook-verify/scripts/webhook-verify.mjs

ルーティング設定・ファイリングルール・DRY 違反・スタブの残存など、スキルが本番投入できる状態かどうかを一括で確認する。このコマンドはもともと scripts/skillify-check.ts として存在していたスクリプトを CLI に昇格させたものだ。

3. gbrain skillpack install

GBrain が管理するキュレーション済みスキル(25 件)をワークスペースへ一括コピーするコマンドだ。

export OPENCLAW_WORKSPACE=~/my-openclaw/workspace
gbrain skillpack install --all

ローカルで編集済みのスキルファイルは上書きしない(--overwrite-local フラグを明示した場合を除く)。インストール内容は AGENTS.md のマネージドブロックに記録されるため、何が自動インストールされたかを一目で確認できる。並行して複数の installer が走った場合に備えてファイルロックも実装されている。

4. gbrain routing-eval

ユーザーの発話がどのスキルへルーティングされるかを評価する専用コマンドだ。

gbrain routing-eval          # 構造的チェック(デフォルト)
gbrain routing-eval --llm    # LLM レイヤーも含む評価

各スキルに routing-eval.jsonl フィクスチャを用意しておくと、想定外のスキルへのルーティング・あいまいな衝突・誤検知を CI で検出できる。--strict モードでは警告もエラー扱いにして CI をブロックする。

アップグレード手順

既存の GBrain ユーザーはスキーマ移行不要でそのままアップグレードできる。

gbrain upgrade
gbrain --version        # 0.19.0 以上であることを確認
gbrain check-resolvable # AGENTS.md ワークスペースにも対応

到達不能スキルが検出された場合は、まず gbrain check-resolvable --json で詳細を確認してから gbrain skillify check で各スキルを個別に診断するのが推奨手順だ。

0.18 との違いを整理する

項目 0.18 まで 0.19 以降
check-resolvable の対象 RESOLVER.md のみ AGENTS.md にも対応
スキルのひな形生成 手動作成 skillify scaffold で自動化
キュレーション済みスキルの配布 手動コピー skillpack install で管理
ルーティング評価 非公式スクリプト routing-eval コマンドとして CI に組み込み可能
到達不能スキルの検出 AGENTS.md 構成では未対応 初回実行で 15 件の闇スキルが発見された実績あり

まとめ

GBrain 0.19 は、スキルの生成から検査・配布・ルーティング評価までを CLI で完結させるリリースだ。特に gbrain check-resolvable の AGENTS.md 対応は、実運用で多く使われる構成が初めて検査できるようになった点で実質的に大きい。

スキルを育てるワークフローとして「scaffold → 実装 → skillify check → check-resolvable → bun test」という 5 ステップが公式に整備されたことで、OpenClaw や Hermes Agent のカスタマイズがより体系的に行えるようになった。