クラウドに依存せず、手元のPCで完全自律型AIエージェントを動かす時代が来ました。
Nous ResearchのHermes Agentが、AMD Ryzen AI Max+プロセッサとLM Studioの組み合わせでローカル実行できるようになりました。この記事では、セットアップ手順から主要機能まで解説します。
この記事でわかること:
– Hermes Agentの概要と自己学習の仕組み
– AMD Ryzen AI Max+でローカル実行するためのLM Studio設定
– WSL2を使ったHermes Agentのインストール手順
– 実用的な活用パターンと注意点
https://github.com/NousResearch/hermes-agent
Hermes Agentとは
Hermes Agentは、Nous Researchが開発したオープンソースの自律型AIエージェントです。2026年2月25日の公開からわずか数週間で10万を超えるGitHubスターを獲得し、2026年最速で成長するOSSエージェントとなっています。
最大の特徴は「自己改善ループ」を持つ点です。複雑なタスク(おおむね5回以上のツール呼び出しを伴う処理)を完了すると、エージェント自身がそのノウハウをMarkdownのスキルファイルとして保存します。次回以降は蓄積したスキルを参照して効率を上げるため、使い続けるほど精度が上がります。
ライセンスはMITで、モデル費用を除けば無料で利用できます。$5/月のVPSや手元のGPU環境でも動作するため、インフラコストを最小限に抑えられます。
AMD Ryzen AI Max+との組み合わせが有効な理由
AMDは「Agent Computer」というカテゴリを打ち出しており、Ryzen AI Max+プロセッサとRadeon AI PRO GPUを搭載したシステムを、エージェントが常時稼働するための専用プラットフォームとして位置づけています。
Hermes AgentのようなローカルAIエージェントは、推論を繰り返しながら並列サブエージェントを生成することがあります。Ryzen AI Max+はそうしたマルチエージェントのワークロードに対応したアーキテクチャを持ち、190,000トークンのコンテキストを処理できるQwen3.6 35B A3Bモデルをローカルで高速に動かせます。
LM Studioのセットアップ
WindowsでHermes Agentを動かすには、LM StudioでモデルサーバーをローカルLAN上に公開し、WSL2のHermes Agentからアクセスする構成を取ります。
まずAMD Software: Adrenalin Editionの最新ドライバーをインストールしてください。Ryzen AI Max+を使用している場合は、デスクトップを右クリック → AMD Software → Performance → Tuning → Variable Graphics Memoryを「High」に設定してから再起動します。
次にLM Studioをインストールして以下の設定を行います。
- LM Studioを起動し「Developer Mode」と「Start LLM service on login」をオンにします
- モデル検索から「Qwen3.6 35B A3B」を選択してダウンロードします
- Ctrl+Lでモデル選択画面を開き、「Manually choose load model parameters」にチェックを入れます
- Contextを190000、GPU OffloadをMax、Flash AttentionをOnに設定します
- Ctrl+2でDeveloperタブを開き、サーバーを起動します
- Server Settingsで「Serve on Local Network」を許可し、JITモデルの自動アンロードをオフにします
- Qwen 35B A3Bをロードし、ステータスが「READY」になるのを確認します
WSL2とHermes Agentのインストール
PowerShellを管理者権限で開き、WSL2とUbuntu 24.04をインストールします。
wsl --install --no-distribution
wsl --install -d ubuntu-24.04
Ubuntu上でユーザーとパスワードを設定したら、以下を実行します。
sudo apt update && sudo apt upgrade
curl -fsSL https://raw.githubusercontent.com/NousResearch/hermes-agent/main/scripts/install.sh | bash
セットアップウィザードが起動したら「Quick setup」を選択し、プロバイダーとして「Custom endpoint」を指定します。LM StudioのAPI URLに /v1 を付けたアドレスを入力し、APIキーには「lmstudio」と入力します。コンテキスト長は空欄のまま進めると自動検出されます。
セットアップ完了後は hermes コマンドだけで起動できます。
主要機能
Hermes Agentが提供する機能は40以上のツールを内蔵しており、ターミナルのほかTelegram、Discord、Slack、WhatsApp、Signalからも操作できます。1つのゲートウェイプロセスで複数のプラットフォームを同時に管理します。
スケジュール実行機能も標準搭載しています。自然言語でcronタスクを設定でき、「毎朝9時にウェブリサーチして結果をSlackに送る」といった指示をそのまま登録できます。バックグラウンドで動き続けながら、結果は指定したプラットフォームに届きます。
MCP(Model Context Protocol)にも対応しており、外部サービスとの連携を拡張できます。ウェブ検索を追加する場合はBrave Search APIのキーを取得してHermes Agentに渡すだけで設定が完了します。
OpenClawからの移行ツールも内蔵されており、hermes claw migrate コマンドで設定・メモリ・スキル・APIキーを一括インポートできます。
セキュリティ上の注意
AMDは公式ブログで、高度な自律性を持つエージェントのリスクについて明確に注意書きを記載しています。個人データのないクリーンなPCや仮想マシン上で実行すること、個人アカウントへのアクセスを与えないこと、エージェント専用のアカウントを用意することを推奨しています。
有効にするスキルや拡張機能を必要最小限に絞り、外部からアクセスできるインターフェースには適切な認証を設けるようにしてください。
まとめ
Hermes AgentはMITライセンスの自己改善型AIエージェントで、LM StudioとAMD Ryzen AI Max+の組み合わせにより、クラウドAPI不要のローカル完全自律実行環境を構築できます。プライバシーを保ちながらエージェントワークフローを試したい開発者にとって、現時点で最も整った選択肢のひとつです。