OpenAIがworkspace agentsを発表した2日後、同じAPIモデルをセルフホストで再現するOSSが公開された。Claude Managed Agentsで1セッション24時間稼働させると月$57.60かかるのに対し、月$4のVPSで同じことが実現できるプロジェクトだ。

この記事でわかること:

  • openclaw-managed-agentsの概要と設計思想
  • Claude Managed Agentsとの機能・コスト比較
  • Dockerだけで始められるセットアップ手順
  • MCP対応・サブエージェント・パーミッション制御など主要機能

Managed Agentsのコスト問題

AnthropicのClaude Managed Agentsは、トークン費用とは別に$0.08/セッション時間のプラットフォーム費用がかかる。1セッションを24時間稼働させ続けると月$57.60。10セッション並列なら月$576になる。

加えて、使えるモデルはClaudeのみでAnthropicのクラウドに縛られる。OpenAIのWorkspace Agentsも同様にモデルとクラウドが固定される。

openclaw-managed-agentsとは

https://github.com/stainlu/openclaw-managed-agents

2026年4月に公開されたTypeScript製のOSSプロジェクト。Claude Managed AgentsおよびOpenAI Workspace Agentsと同じ4プリミティブ(Agent / Environment / Session / Event)のREST APIをDockerベースのセルフホスト環境で再現する。

MITライセンスで公開されており、GitHubで355スターを獲得している(2026年4月時点)。ベースにはOpenClaw(人気のOSSエージェントフレームワーク)をnpm依存として組み込み、その上にオーケストレーション層を乗せた構造だ。

4つのプリミティブ

Claude Managed Agentsと同じ4プリミティブ構造で構成される。

Agentはモデル・システムプロンプト・ツール・MCPサーバーを束ねた再利用可能な設定単位だ。更新のたびに変更履歴が残る不変バージョン管理を備え、楽観的同時実行制御(versionフィールドで競合を検出)も実装されている。

Environmentはコンテナの実行環境定義だ。pipやapt、npmでのパッケージ追加やネットワークポリシーをここで指定する。

Sessionは1つのAgentに対して開いた耐久性のある会話スレッドで、アクティブ時はDockerコンテナが1セッションに1つ割り当てられる。SQLiteとJSONLで状態が永続化されるため、オーケストレーターが再起動してもセッションは継続する。

Eventはユーザーメッセージ・ツール呼び出し・エージェント応答などをSSEでストリーミングする単位だ。Last-Event-IDヘッダーによる再接続時の再取得もサポートする。

主な機能

MCP対応はClaudeのManaged Agentsと同じmcp_serversフィールドを使うため、既存のSDKからコードを変更せずに移行できる。stdioとHTTPの両方式に対応している。

サブエージェントは、親セッションから子セッションを呼び出すデリゲーション機能だ。Claude Managed Agentsではサブエージェントの実行内容はツール結果として不透明にしか見えないが、openclaw-managed-agentsでは子セッションが独立したAPIエンドポイントを持ち、内部の実行ログまで確認できる。

パーミッションポリシーは3種類から選べる。always_allow(全ツール自動実行・デフォルト)、deny(特定ツールをブロック)、always_ask(特定ツール実行前にクライアント確認を要求)だ。

クォータ設定では、セッション単位でコスト上限(maxCostUsdPerSession)・トークン上限・実行時間上限を設定できる。制限に達した場合はHTTP 429を返す。

OpenAI SDK互換エンドポイントを持つため、base_urlを変更するだけでOpenAI SDKからそのまま呼び出せる。ストリーミングは本物のSSEデルタで実装されており、エミュレーションではない。

コスト比較

インフラコスト(トークン費用は別途)の比較は以下の通りだ。

1セッション24時間 10セッション24時間 100セッション24時間
Claude Managed Agents $57.60/月 $576/月 $5,760/月
Hetzner CAX11($4/月) $4/月 $8/月(2ホスト) $73/月(17ホスト)
AWS Lightsail($24/月) $24/月 $48/月 $408/月
GCE e2-micro(無料枠) $0/月

GCEのe2-microはus-east1などで無料枠が適用されるが、メモリが1GBのためPoC・スモークテスト向けだ。

Hetzner CAX11(月$4、2vCPU/4GB ARM)での実測値は、コールドスタートで78秒、ウォームプール利用時は4秒。1インスタンスで5〜7セッションを並列実行できる。

セットアップ手順

DockerとモデルプロバイダーのAPIキーがあれば動かせる。

git clone https://github.com/stainlu/openclaw-managed-agents
cd openclaw-managed-agents

export ANTHROPIC_API_KEY=sk-ant-...   # OPENAI_API_KEY, GEMINI_API_KEY 等も可
docker compose up --build -d

コンテナが起動したらHTTP REST APIでエージェントを作成し、セッションを開いてメッセージを送るだけだ。Python SDKとTypeScript SDKのほか、OpenAI SDK互換モードもある。

HetznerへのデプロイはAPIトークンを設定して1コマンドで完了する。

export HCLOUD_TOKEN=<your-token>
export ANTHROPIC_API_KEY=sk-ant-...
./scripts/deploy-hetzner.sh

AWS LightsailとGCEも同様に1コマンドのデプロイスクリプトが用意されている。

Claude Managed Agentsとの主な違い

機能面での主な差異をまとめる。

対応モデルの幅が最も大きい違いだ。Claude Managed AgentsはClaudeのみだが、openclaw-managed-agentsはAnthropicに加えてOpenAI、Gemini、DeepSeek、Mistral、xAI、Groq、OpenRouter経由で400以上のモデルをサポートする。

サブエージェントの透明性も異なる。Claude Managed Agentsではサブエージェントの実行はツール結果としてしか見えないが、openclaw-managed-agentsでは子セッションが独立したセッションIDを持ち、同じAPIで実行状況を直接確認できる。

一方、本番実績ではClaude版が上だ。Claude Managed AgentsはNotion・Rakuten・Asana・Sentry・Vibecodeでの利用実績があるが、openclaw-managed-agentsは公開から日が浅く、プロダクション事例はまだない。本番導入の判断にはこの点を考慮する必要がある。

テストは229件が通過しており、再起動耐久性・コスト集計・SQLite永続化・コンテナプール再利用・サブエージェント・ネットワーク制御など広範囲をカバーしている。

まとめ

openclaw-managed-agentsは、Claude Managed AgentsやOpenAI Workspace Agentsと同じAPI形状を持ちながら、月$4から動かせるDockerベースのOSSだ。任意モデルへの対応とプラットフォーム費用ゼロという2点が、商用サービスとの最大の差異になる。

プロダクション実績はこれからだが、229件のテスト・デプロイスクリプト・詳細なドキュメントと、初期プロジェクトとしての完成度は高い。モデルの自由度とコスト最適化を重視する場合は、評価の候補として検討する価値がある。