AIツールをまたぐたびに、同じ説明を繰り返していませんか。Remember.mdは、その断絶をMarkdownベースの知識庫で埋めるOSSです。OpenClawとClaude Codeの会話から、人物、決定、タスク、日報を構造化して保存し、セッションをまたいで参照できる状態にします。
まず何を解決するのか
LLMの「記憶」は、実際には保存された断片の寄せ集めです。ツールを切り替えると文脈は途切れ、過去に決めたことも、誰と何を話したかも、また説明し直すことになります。Remember.mdはこの問題に対して、会話をその場限りのログではなく、再利用できる知識に変えます。
単にメモを残すだけではありません。人名、決定事項、未完了タスク、日次の記録を分けて書き出し、wikilinkで結びます。つまり、AIの記憶を「検索できるファイル群」に変えます。これが効くのは、後から読み返せるからではなく、次のセッションでAIがそのまま読めるからです。
仕組みの核
Remember.mdの考え方は明快です。保存先はローカルのMarkdownです。外部の閉じたデータベースに閉じ込めず、Obsidian互換の構造で持ち出せる形にします。公式サイトでも、人物ページ、決定メモ、ジャーナル、タスク一覧のように、用途ごとにファイルを分ける例が示されています。
この設計の利点は3つあります。
- 監査しやすい
何が保存されたかを人間がそのまま確認できます。ブラックボックスの要約ではなく、差分を追える記録になります。
- 移植しやすい
Markdownとwikilinkなので、Obsidianでもgitでもgrepでも扱えます。特定ツールの中に閉じません。
- 再利用しやすい
会話の断片ではなく、プロジェクトや人物ごとのページとして積み上がるため、次のAIセッションが文脈を拾いやすくなります。
使い方はシンプル
公式ページでは、OpenClawとClaude Codeの両方に対応した導入が案内されています。インストール後は初期化コマンドを実行し、過去セッションを処理して、今後の会話も継続して保存する流れです。
ここで重要なのは、「今から使う会話だけ」を保存する設計ではない点です。過去ログを後追いで処理できるため、導入前にため込んだ会話資産も回収できます。AIツールを使い始めた時点で履歴を失っていた人にとって、これは実務上かなり大きい差です。
OpenClawやClaude Codeとの違い
OpenClawにはメモリ機構があります。Claude Codeにも記憶に関する仕組みがあります。ただし、どちらも基本は各ツール内部の状態です。Remember.mdはそこを一段上げて、ツール横断の知識レイヤーとして扱います。
この違いは地味に見えて大きいです。ツール内メモリは、そのツールを離れた瞬間に価値が落ちます。Markdownの知識庫は、別のエディタ、別のLLM、別のワークフローでもそのまま使えます。記憶を「機能」ではなく「資産」として扱うなら、後者の方が筋が通っています。
どんな人に向くか
向いているのは、AIとのやり取りが長期化している人です。たとえば、案件ごとに設計判断が増える開発者、顧客情報や会議メモを積み上げる運用担当、調査結果を再利用したい編集者です。毎回ゼロから説明するコストが高いほど、効きます。
逆に、短い単発質問だけを投げる使い方なら、導入効果は薄いです。Remember.mdの価値は、会話が蓄積されるほど上がります。少ない入力を少し賢くする道具ではなく、長い仕事の文脈を保つ道具です。
まとめると
Remember.mdは、AIの記憶を「閉じた状態」から「持ち運べる知識」に変えるOSSです。OpenClawとClaude Codeをまたいで、会話の中で出た人物、決定、タスクをMarkdownに落とし込み、Obsidian互換の形で残します。
AIに仕事を任せるほど、文脈の継続が重要になります。その問題に対して、Remember.mdはかなり素直で、実装も運用も説明しやすい解を出しています。