Claude利用者が急増する中、Anthropicは次のスケールアップに向けて前例のない規模のインフラ投資を決断しました。
2026年4月、AnthropicはGoogleとBroadcomとの間で複数ギガワット規模の次世代TPU容量を確保する契約を締結しました。さらに5月5日、The Informationの報道によって全体像が明らかになります。Anthropicは今後5年間でGoogle Cloudに計2000億ドル(約28兆円)を支払う見込みです。
この記事でわかること:
- Anthropicがこれほど大規模なインフラ投資に踏み切った理由
- Google・BroadcomとのTPU契約の具体的な内容と稼働時期
- 業界全体を動かす「AI資金の循環構造」の仕組み
- AnthropicのAWS・Azureとの関係と複数クラウド戦略
急増するClaude需要が背景にある
AnthropicのCFOクリシュナ・ラオ氏によると、2026年の年換算売上高は2025年末の約90億ドルから300億ドルを超えるペースに達しています。「前例のない成長スピード」が、今回の大規模投資を促しました。
年間100万ドル以上を支出するビジネス顧客数は、2026年2月時点の500社から4月時点で1,000社超に倍増しました。わずか2ヶ月での倍増です。これほどの需要増を支えるには、訓練・推論ともに計算基盤の大幅な拡充が必要になります。
Google・Broadcomとのコンピュート契約
https://www.anthropic.com/news/google-broadcom-partnership-compute
2026年4月6日の公式発表によると、AnthropicはGoogleとBroadcomと新たな契約を締結しました。2027年以降に稼働予定の次世代TPU容量を複数ギガワット規模で確保するものです。確保する容量の大半は米国内のデータセンターに充てられます。
この契約はAnthropicが2025年11月に公表した「アメリカAIインフラへの500億ドル投資」計画の延長線上にあります。さらにTechCrunchの報道では、Broadcomが次世代TPUの供給を2031年まで保証する長期条項も含まれているとされています(参考)。
5年間で2000億ドルの規模
Engadgetの報道によると、この契約はGoogleが投資家に開示した「収益バックログ」の40%以上をAnthropicだけが占める規模です(参考)。Anthropicが単一のクラウドプロバイダーに支払う金額として、前例のない規模となります。
2000億ドルの内訳はクラウドサービスの利用料だけでなく、TPUチップへのアクセス費用も含まれています。AlphabetはAnthropicに最大400億ドルを出資するとも発表しており、両社の結びつきはさらに強まっています。
AIを動かす「資金の循環構造」
この規模の契約はAnthropicだけの話ではありません。AnthropicとOpenAIを含むAIスタートアップが、AWS・Google Cloud・Microsoft Azure・Oracleに約束した収益バックログは合計2兆ドルに達するとされています。
クラウドプロバイダーがAIスタートアップに出資し、スタートアップはその資金をクラウド利用料として還流する——そうした構造がAIブームを支える一因です。持続可能性については議論が続いていますが、現時点ではClaude需要の実態がこの構造を正当化しています。
Anthropicの複数クラウド戦略
AnthropicはGoogleだけに依存しているわけではありません。同社はAWS・Google Cloud・Microsoft Azureの3大クラウドプラットフォームすべてでClaudeを提供している唯一のフロンティアAIです。
計算リソースも分散させており、Amazon Web ServicesのTrainium、GoogleのTPU、NvidiaのGPUをワークロードの特性に合わせて使い分けています。さらにCoreWeaveとの複数年契約も締結し、Amazonのチップによる追加容量を2026年末までに確保する計画もあります。複数プロバイダー戦略が、大規模な障害リスクへの備えにもなっています。
2027年以降に稼働する次世代TPU容量が本格化するにつれ、Claudeの性能と提供スケールがどう変化するか。AI業界を動かすインフラ競争の行方に注目が集まります。