生成AI市場は「ChatGPT一強」から三強競争へ移りつつあります。2026年4月時点でChatGPTのWeb訪問シェアは54.7%まで落ち込み、GeminiとClaudeが伸びを牽引しています。
この記事では、Similarwebのデータをもとにした最新の勢力図と、各社がシェアを伸ばしている理由、データの読み方までを整理します。
この記事でわかること
- 主要7サービスのWeb訪問シェアと推移
- ChatGPT・Gemini・Claudeの成長パターンの違い
- AppleのSiri連携が配信競争に与える影響
- Web訪問データの限界と注意点
生成AI市場は三強構造へ移行中
2025年2月、ChatGPTは主要7サービスのWeb訪問の76.5%を占めていました。2026年4月には54.7%まで落ち、約22ポイントの低下です。一方Geminiは5.6%から27.4%へ、Claudeは1.4%から8.2%へと伸びています。
米マーケティング分析会社Momenticが2026年6月に公開したレポート(参考)によると、2026年4月の主要7サービス合計Web訪問数は100.7億回でした。内訳は次のとおりです。
| サービス | Web訪問シェア | 月間訪問数 |
|---|---|---|
| ChatGPT | 54.7% | 55.1億回 |
| Gemini | 27.4% | 27.6億回 |
| Claude | 8.2% | 8.24億回 |
| DeepSeek | 4.1% | 4.11億回 |
| Grok | 2.8% | 2.79億回 |
| Perplexity | 1.5% | 1.55億回 |
| Microsoft Copilot | 1.3% | 1.30億回 |
ChatGPTとGeminiの2社で全体の約82%を占め、残り5社で約18%を分け合う二層構造です。ただしChatGPTは依然として首位で、他6社の合計を上回る訪問数を維持しています。
ChatGPTは「急落」ではなく「伸びの取りこぼし」
ChatGPTのシェア低下は、利用者が一気に離れたというより、市場全体の成長を競合が取り込んだ形に見えます。
2025年11月から2026年4月の6か月間、ChatGPTの全世界Web訪問数は約6%減少しました。市場が拡大する中で横ばいに近い動きです。Momenticの分析では、2025年半ばまでは76〜79%台を維持し、2026年に入ってから競合の伸びに押されてシェアが落ちたとされています(参考)。
米国に限るとChatGPTのシェアは58.9%と世界平均より高い一方、Geminiは19.2%、Claudeは12.5%です。Claudeは米国依存度が高く、Geminiはアジアや中南米での伸びが目立ちます。
GeminiとClaude、伸び方の違い
2社ともシェアを伸ばしていますが、成長のドライバーは異なります。
Gemini:配信力で着実に積み上げ
Geminiは2025年11月の13.5億回から2026年4月の27.6億回へ、6か月で約104%増加しました。Google検索、Android、Workspaceなど既存プロダクトとの連携が、新規ユーザーの入口になっています。
Momenticは、GeminiのWeb訪問の一部がGoogleアプリや検索からの流入である可能性を指摘しています。独立したチャットサービスとしての需要だけでなく、エコシステム経由のトラフィックがシェアを押し上げている側面があります(参考)。
Claude:短期間で消費者市場へ拡大
Claudeは2026年1月の2.03億回から4月の8.24億回へ、1四半期で約306%増加しました。開発者向けや企業向けで培った評価が、一般消費者向けチャットへの流入につながっています。
エンゲージメント面では、Claudeの直帰率は26%と主要3社で最も低く、1訪問あたり4.34ページと回遊性も高い水準です。規模はGeminiの約3分の1ですが、成長率では主要サービスの中で最速です。
AppleのSiri連携が配信競争を再編する
生成AIの競争は、チャット画面の中だけでなく、デバイスへの組み込みにも広がっています。
2026年6月8日のWWDCで、Appleは次世代のSiri AIとiOS 27を発表しました。Siri AIはGoogleのGeminiファミリーを活用したApple Foundation Modelsで動作し、画面内容の理解やアプリ横断の操作、Web検索による回答に対応します。
加えて、Bloombergの報道によれば、iOS 27では「Extensions」という仕組みで、ユーザーがChatGPT・Gemini・Claudeなどの外部AIをSiriやWriting Tools、Image Playgroundから選んで使えるようになります(参考)。設定アプリの「Apple IntelligenceとSiri」から有効化し、App Storeで対応アプリをインストールする流れです。
OpenAIとのChatGPT連携はiOS 18から存在しましたが、ClaudeやGeminiが同列の選択肢として加わることで、スマートフォン上のデフォルトAI体験が固定されなくなります。AppleはAIモデルそのものではなく、複数のAIを束ねるプラットフォーム側に立つ戦略を取っています。
Web訪問シェアの読み方と限界
今回の数字は「Web訪問シェア」であり、総合的なAI利用シェアではありません。MomenticもSimilarwebのデータに基づき、次の点を明示しています(参考)。
- ネイティブモバイルアプリの利用は含まれない
- WindowsやEdge内のCopilot、API経由の企業利用は反映されない
- Geminiのように既存プロダクトからの流入でWeb訪問が増える場合がある
つまり、ChatGPTの「実力」が22ポイント落ちたというより、計測できる消費者向けWebチャネルでの相対比率が変わった、と読むのが正確です。企業のAPI利用やアプリ内利用を含めた全体像は、公開データだけでは把握しきれません。
それでもWeb訪問は再現性のある指標であり、消費者がどのチャット画面を開いているかのトレンドを追ううえでは有用です。2026年上半期の傾向は明確で、ChatGPTは規模では依然トップ、Geminiは配信力で2位を固め、Claudeは急成長で3位を確保しています。
プロダクト企画・マーケティングへの示唆
生成AI市場は、モデル性能の差よりも「どこに組み込まれているか」でユーザーが動く段階に入っています。
GeminiはGoogleの既存サービス網、Claudeは開発者コミュニティからの口コミ、ChatGPTは先行者としてのブランド認知がそれぞれの強みです。AppleのExtensionsは、ユーザーが使うAIをデバイス設定で切り替えられる入口を増やし、配信競争をさらに激化させます。
新規プロダクトを企画する際は、単一モデルの性能比較だけでなく、ターゲットユーザーが普段どの画面でAIに触れているかを意識する必要があります。Web、モバイルアプリ、OS組み込み、APIの4層で利用経路が分かれており、チャネルごとにリーダーが異なる可能性があります。