AIエージェントにWebスクレイピングを任せたいのに、API連携用のコードを毎回書くのは手間です。MCP(Model Context Protocol)なら、エージェントと外部ツールを標準プロトコルでつなげます。David Ondrej氏は2026年6月15日の投稿で、ApifyのMCP接続によりHermes Agentが「10倍パワフル」になり、「no glue code(接着剤コード不要)」でApifyコネクタがそのまま差し込めると紹介しています。

この記事では、Hermes AgentとApify MCPサーバーの接続方法と、何が変わるのかを整理します。

この記事でわかること

  • MCPでHermes AgentとApifyをつなぐ仕組み
  • Apify MCPサーバーとMCP connectorsの違い
  • config.yamlへの具体的な設定手順
  • 接続後にエージェントが使えるツールの範囲
  • 運用時に押さえるべきセキュリティと制限

なぜMCP接続が必要か

Hermes AgentはNous Researchが公開するオープンソースのAIエージェントです。ターミナル操作やファイル読み書きなどの組み込みツールを持ちますが、Web上のデータ取得は別途の仕組みが要ります。

従来は、ApifyのREST APIを叩くラッパーを自作し、エージェントから呼び出す形が一般的でした。入力スキーマの把握、認証、実行結果の取得まで、連携ごとにコードを書く必要があります。

MCPはAnthropicらが提唱するオープン標準で、AIクライアントと外部ツールをRPC層で接続します。Hermes Agentは起動時にMCPサーバーからツール一覧を自動取得し、組み込みツールと同列で使えます。公式ドキュメントでも「Hermes coreを変更せずにマルチシステム連携ができる」と説明されています。

Apify MCPサーバーとMCP connectorsの違い

ApifyにはMCP関連の機能が2系統あります。混同しやすいので先に整理します。

Apify MCPサーバーhttps://mcp.apify.com)は、Apify StoreのActorをAIエージェント側のツールとして公開します。Actorの検索・実行、ストレージ参照、ドキュメント検索などがMCPツールとして呼び出せます。公式サイトでは4万以上のツールにアクセスできると案内されています。

MCP connectorsは逆方向の機能です。Apify上のActorが、Notion・Slack・GitHub・Supabaseなど外部MCPサーバーのツールを呼び出すための仕組みです。認証情報はApify側のプロキシが保持し、Actorには渡しません。

David Ondrej氏の投稿で言う「Apify connectors plug straight in」は、Hermes AgentのMCPクライアントにApify MCPサーバーのURLを登録するだけで連携が完了する、という文脈と読めます。カスタムのAPIラッパーが不要になる点が「no glue code」の意味です。

Hermes Agentへの設定手順

https://hermes-agent.nousresearch.com/docs/guides/use-mcp-with-hermes

Hermes Agentの設定ファイル ~/.hermes/config.yaml に、HTTPトランスポートのMCPサーバーを追記します。標準インストールでMCPサポートは同梱されています。未導入の場合は uv pip install -e ".[mcp]" で追加します。

Apify APIトークンを使う場合の設定例は次のとおりです。

mcp_servers:
  apify:
    url: "https://mcp.apify.com"
    headers:
      Authorization: "Bearer <YOUR_APIFY_TOKEN>"
    tools:
      include: [search_actors, fetch_actor_details, call_actor]
      prompts: false
      resources: false

OAuthを使う場合は headers を省略し、初回接続時にブラウザでApifyアカウントへの認可を行います。Apify公式ドキュメントではStreamable HTTP接続が推奨され、旧SSEエンドポイント(mcp.apify.com/sse)は2026年4月1日に廃止済みです。

設定後はHermesを再起動するか、チャット内で /reload-mcp を実行します。hermes mcp test apify で接続確認も可能です。

接続後に使えるツール

https://docs.apify.com/platform/integrations/mcp

デフォルトで有効になる主なツールは次のとおりです。

  • search-actors:Apify Storeから目的のActorを検索
  • fetch-actor-details:Actorの入出力スキーマや料金を取得
  • apify/rag-web-browser:Webページの閲覧とデータ抽出
  • search-apify-docs / fetch-apify-docs:Apify公式ドキュメントの検索・取得

call-actor でActorを実行し、結果をデータセットから取得できます。URLパラメータ ?tools=actors,docs,apify/rag-web-browser のように、読み込むツールを絞るとトークン消費を抑えられます。

動的ツール発見にも対応しており、会話の途中で新しいActorを検索してツールとして追加できます。AIコンサルティングのOrchestrai.euは、Apify MCPサーバー導入後にクライアント向けダッシュボード構築までの時間が10分の1に短縮されたとApify公式ブログで報告しています(参考)。

活用イメージ

接続が完了すれば、自然言語の指示だけでスクレイピングワークフローを組めます。例えば「競合のTrustpilotレビューを収集して傾向を要約して」といった依頼に対し、Hermesが search-actors で適切なActorを探し、実行して結果を返します。

Hermes公式ガイドが示すGitHub連携と組み合わせれば、ローカルリポジトリの調査とWebデータ取得を1つの会話で回せます。ファイルシステム用MCPとApify MCPを同時に登録するパターンが想定されています。

注意点

MCPサーバーは起動時に接続し、設定変更には再起動か /reload-mcp が必要です。Apify MCPサーバーのレート制限は秒あたり30リクエストで、超過時は429が返ります。

セキュリティ面では、Hermesの tools.include で許可ツールをホワイトリスト化するのが推奨です。公式ガイドも「危険なシステムにはallowlistを使え」と明記しています。Apify APIトークンは headers に直書きするため、設定ファイルの権限管理に注意してください。

MCP connectorsをActor側で使う場合は、Actor入力フォームからコネクタを手動で割り当てる必要があります。Actorはユーザーの他コネクタにアクセスできず、実行中のみプロキシ経由で外部ツールを呼べます。

MCP接続1つで、Hermes Agentは数千のスクレイピングActorへ直接アクセスできるようになります。カスタム連携コードを書かずに済む点が、David Ondrej氏が強調する実用面の核心です。