企業のExcelが、ついにAIエージェントの操作対象になりました。
WorkatoはEnterprise MCPカタログにMicrosoft ExcelとMicrosoft OneDriveの2本のMCPサーバーを2026年4月27日に追加しました。カタログは合計31本の本番対応サーバーになり、AIエージェントが企業内のExcelワークブックを直接読み書きできるようになっています。
この記事でわかること:
- ExcelとOneDriveのMCPサーバーが解決する課題
- 各サーバーに含まれるツールの詳細
- ファイナンスチームやナレッジワーカーへの具体的な使い方
- Workatoが組み込んだ安全設計の仕組みとMCPカタログ全体像
https://www.workato.com/product-hub/microsoft-excel-and-microsoft-onedrive-join-the-catalog/
AIエージェントが触れなかった「実際の数字」
企業のデータはSaaSデータベースだけに存在するわけではありません。財務チームは月次決算をExcelで管理し、営業オペレーションはパイプラインの進捗をExcelで追い、FP&Aは人員計画や売上予測のシナリオをExcelでモデリングしています。意思決定の最前線で使われているのは、依然としてExcelです。
これまでAIエージェントはSalesforceのCRMデータを取得し、JiraのチケットやGongの通話録音を呼び出せました。しかし実際の業務数字が入ったExcelワークブックに触ることはできませんでした。Excel MCPサーバーはこの空白を埋めます。
ExcelとOneDriveの各MCPサーバーの詳細
Microsoft Excel MCPサーバー(8ツール)
Microsoft 365に保存されたExcelワークブックを読み書きするためのサーバーです。OneDrive for BusinessとSharePoint OnlineのExcelファイルに直接アクセスし、以下の操作に対応します。
- ワークブックの構造とタブ一覧の取得
- セル範囲のデータの読み取り
- テーブルやトラッカーへの行追加
- 特定のセル範囲の値更新
- 複数の変更を1回のアトミック操作で適用
数式やテーブル構造、Excelのネイティブな権限モデルを維持したまま操作します。対象はOneDriveとSharePointの.xlsxファイルで、オンプレミスのSharePoint・デスクトップのExcelファイル・旧形式(.xls、.xlsm)には対応していません。
Microsoft OneDrive MCPサーバー(14ツール)
OneDrive for Business上のファイルとフォルダを探し・整理するためのサーバーです。14のツールで以下の操作を担います。
- ファイルとフォルダの検索
- ファイルの内容取得
- フォルダの作成と整理
- 共有設定とアクセス権の管理
- ファイルのコピー・移動・名前変更
OneDriveサーバーが「発見と整理」を担い、ExcelサーバーがExcelファイルへの「読み書き」を担います。2つを組み合わせると、AIがOneDriveでワークブックを見つけ、構造を読み取り、データを更新し、結果を正しいフォルダに保存するまでを1つのエージェントセッションで完結できます。
実際の使い方
財務チームでのExcel活用例
財務モデルのactualタブのMarch収益行を特定の数値に更新し、G列の数式は残したままにしたい——このような指示をエージェントに自然言語で伝えるだけで対応できます。人員データを人員計画テーブルに追記したり、行の追加・数式の更新・タブの名前変更を1つのアトミック操作でまとめて適用したりすることも同様です。
ナレッジワーカー・プロマネでのOneDrive活用例
「先週作っていた提案書を見つけて、誰がアクセスできるか確認して」「プロジェクト用のフォルダを作って標準テンプレートをコピーして」——これらの指示でOneDrive上の操作が完結します。共有設定の変更や、古いドラフトをArchiveサブフォルダに移す作業にも対応します。
エンタープライズ向けの安全設計
WorkatoのMCPサーバーが他の実装と異なるのは、企業運用を前提とした安全機能です。
Verified User Access(VUA):すべてのツール呼び出しは、セッションを開始したユーザーのMicrosoft 365 IDで実行されます。AIが行う読み書きは特定の人物に明確に紐づき、監査証跡が自動で残ります。
権限継承:エージェントはそのユーザーのM365ロールが許可するファイルにしかアクセスできません。権限の昇格はありません。
楽観的排他制御(Excelのみ):すべての書き込み操作は、直前の読み取り時に取得したsession_idを必要とします。読み取りと書き込みの間にセッションが期限切れになった場合、書き込みは部分的変更なしで失敗します。ワークブックの破損や行の半書き込みが起きません。
安全な削除(OneDriveのみ):削除操作はファイルをごみ箱に送るだけで、即時の完全削除ではありません。AIが誤ってファイルを完全に消すことはありません。
マネージドインフラ:WorkatoがMicrosoft Graph APIのバージョン追跡・レート制限管理・インフラの維持を担います。APIバージョンの管理をユーザー側で行う必要はありません。
Microsoft 365連携全体の位置付け
今回の追加により、WorkatoのMicrosoft 365カバレッジは大きく広がりました。Outlook Email、Outlook Calendar、そして今回のExcelとOneDriveが揃い、Microsoft中心の企業で日常的に使われる生産性スタック全体がエージェントから操作できるようになっています。
ExcelとSalesforce Sales Cloud Explorerを組み合わせれば、Salesforceの商談データを取得してExcelのパイプライントラッカーに書き込むフローをコード不要で構築できます。ExcelとGoogle Sheetsを組み合わせれば、SheetsとExcelが混在するハイブリッド環境でのデータ移動も対応します。ExcelとOutlookを組み合わせれば、財務モデルから実績値を取得してOutlookで予算更新メールを作成する、エンドツーエンドの報告フローを1つのセッションで完結できます。
ExcelとOneDriveのMCPサーバーはWorkato Enterprise顧客向けに即日提供されており、カスタム開発は不要でワンクリックで有効化できます。Workato Enterprise MCPのカタログ全体はドキュメントで確認できます。
https://docs.workato.com/en/mcp/registry/excel-mcp-server.html