スマホでもイヤホンでもない、新しい形のAI端末が年内に姿を現す見込みです。OpenAIのCFOサラ・フリアーが、ジョニー・アイブとの共同開発端末について「自然で愛おしい」と語り、公開時期を年内と明かしました。

この記事でわかること

  • OpenAI初のAIハードウェアが年内に公開される見込み
  • CFOが語った使用感と、判明している端末の特徴
  • イヤーピース説への公式の答え方と、法廷書類が示す形態
  • 発表と出荷のタイムラインの違い

年内公開がほぼ確実に

OpenAI CFOのサラ・フリアーは、カリフォルニア州で開催されたAll-In Podcast主催のLiquidity Summitでのライブインタビューで、初のAIハードウェア端末について語りました。彼女はすでに実機を試しており、使用感を「とても自然で、とても愛おしい」と表現しています。

公開時期については「今年の終わりまでに」端末をお披露目する方針だと述べました。これは、これまでOpenAIが示してきたスケジュールの中で、読者が最も注目すべき新情報です。一方、法廷提出書類では出荷は2027年2月まで見送られない見込みとされており、発表と販売開始は別の段階として整理する必要があります。

スマホではない、それでも形は未公開

OpenAI CEOのサム・アルトマンは、この端末がスマートフォンではないと明言しています。スマホ代替という筋書きは一度は外れました。

形態については、フリアーは詳細を開示しませんでした。司会者からイヤーピース(耳に装着する端末)かと問われた際、「イヤーピースだと言ったら、ジョニーが私の十代の息子を連れ去りに来る」と冗談を交えて回避しています。デザインの機密保持を重視する姿勢がうかがえます。

ただし、2025年6月の商標訴訟関連の法廷書類では、io共同創業者のタン・タン(元Appleハードウェア責任者)が、試作機は「イヤー内装着型デバイスでもウェアラブルでもない」と証言しています。CFOの発言と法廷記録を併せると、耳元の小型端末という推測は公式には否定方向ですが、最終デザインは未確定とされています。

2025年2月には、アレクサンダー・スカルスガルド出演の球体端末とイヤバッドを示す漏洩広告が話題になり、OpenAIは「完全なフェイク」と否定しました。公式に否定された情報と、法廷で示された事実を切り分けて見る必要があります。

Jony Iveとio買収が背景にある

この端末は、元Appleデザイン責任者ジョニー・アイブとの共同開発が軸です。2025年5月、OpenAIはアイブが立ち上げたAIハードウェアスタートアップioを約65億ドルで買収しました。アルトマンとアイブは「AI製品ファミリー」を構想すると発表しています。

フリアーは、アイブチームが「デバイスに人間味をもたらす」ことに長けていると評価しました。「見れば感じ取れる。うまく言葉にできないが、そういうものだ」と述べ、説明より体験を重視する設計思想を示しています。CNBCの取材(2025年5月)では、フリアーはタッチスクリーンを前提としない新しいプラットフォームの可能性に言及しており、視覚・聴覚・会話を軸にしたAI体験を想定していると読めます。

アルトマンとアイブは以前、消費者が「食べたくなるほど」魅力的なデザインを目指すと語っています。2025年11月のイベントでは、アルトマンがアイブの「舐めたくなる、かじりたくなる」という表現を引き合いに出し、プロダクトへの期待の高さを示しました。

なぜOpenAIは自社端末を作るのか

OpenAIはAppleとのiPhone・Siri連携を進めながらも、自社ハードウェアの必要性を訴えています。フリアーはCNBCに対し、単一のパートナーに依存するとイノベーションが狭まると説明しました。ChatGPTの週間アクティブユーザーは5億人規模で、月間利用者はそれ以上とされています。専用端末は、新規ユーザーの獲得とサブスクリプション成長の起爆剤になる、というのが経営陣の見立てです。

一方、ioブランド名は音声デバイススタートアップIyoとの商標紛争を受け、一時的に公開資料から削除されました。法廷書類では、OpenAI側がイヤー内端末市場を調査し、30種類以上のヘッドホンを購入して検討した経緯も明らかになっています。最終製品の形態は、訴訟資料とCFOの最新発言の両方を参照しながら見守る段階です。

発表と出荷、何がいつ起きるか

現時点で信頼できるタイムラインは次のとおりです。

  • 公開(アンベイル):2026年内(フリアー、Liquidity Summit)
  • 出荷開始:2027年2月以降(法廷提出書類)
  • 試作段階:フリアーは実機を体験済み。タン・タンの証言では、販売まであと1年以上の見込みだった(2025年6月時点)

年内に形が見える一方、手に取れるのは翌年以降になる可能性が高いです。AIハードウェア市場ではHumane AI PinやRabbit R1が先行しており、アイブ自身もこれらの失敗例を批判したと報じられています。OpenAIは「第三のコアデバイス」として、ポケットや机の上に置く常時接続型の体験を目指す構図です。

技術的な仕様や価格は未発表です。フリアーが「シンプルさこそ難しい」と繰り返したように、複雑さを隠した体験設計が売りになる見込みです。年内の発表で、音声中心か、周囲の文脈を読み取る常時接続型か、あるいは別カテゴリかが初めて具体化するでしょう。