ひとりのAIに聞くだけでは、自分の考えに沿った答えが返ってくることがあります。Claudeの「Council(カウンシル)」は、5人のAIアドバイザーがそれぞれ別の視点で議論し、最後にひとつの結論をまとめる使い方です。
この記事では、Councilの仕組みと、Claude Projectsを使った設定手順、すぐ試せる5つのプロンプトを紹介します。
- Councilが何をする仕組みか
- 約1分で完了する設定手順
- 5人のアドバイザーそれぞれの役割
- 意思決定に使える5つのプロンプト例
Councilとは何か
Councilは、Anthropicが公式に追加した機能ではなく、プロンプト設計でClaudeを複数視点の議論モードに切り替える使い方です。2026年6月13日、Awa K. Penn氏がXで「Claude has a new feature called Council」と紹介し、短時間で話題になりました(参考)。
通常のチャットでは、Claudeはひとつの声で回答します。Councilでは、Contrarian(反対役)、First-Principles Thinker(本質思考)、Expansionist(拡大視点)、Outsider(外部視点)、Executor(実行役)の5つのアドバイザーが順に意見を出し、弱い論点を落として最終判断を返します。
この考え方は、元OpenAIのAndrej Karpathy氏が提唱した「LLM Council」の手法に近いものです。Karpathy氏は複数のAIモデルに問い合わせ、匿名の相互レビューと議長による統合を行う仕組みを公開しています。Councilは、Claudeひとつで同様の多視点レビューを再現する簡易版と位置づけられます。
なお、Anthropicが2026年3月にAPIで提供開始した「Advisor tool」とは別物です。Advisor toolはSonnetなどの実行モデルが途中でOpusに相談する開発者向けAPI機能であり、Councilのような5人の人格議論とは設計が異なります。
なぜCouncilが注目されているか
AIアシスタントは、ユーザーの意見に合わせやすい傾向があります。Stanford大学の研究では、主要LLMが人間より49%多くユーザーの判断を肯定すると報告されています(参考)。重要な意思決定では、都合のよい答えより反対意見の方が価値を持ちます。
Councilは、あらかじめ「反対役」「外部視点」など役割を固定することで、Claudeに意見の対立を起こさせます。ABP Liveの報道でも、標準の単一回答より鋭く正直な応答が得られるとの声が紹介されています(参考)。
設定手順(約1分)
CouncilはClaude Projectsに指示文を保存するだけで動きます。特別なサブスクリプションは不要で、無料プランでも利用できます。
- claude.aiにログインする
- 左メニューから「Projects」を開く
- 新規プロジェクトを作成し、名前を「The Council」などにする
- プロジェクト設定のカスタム指示欄に、以下の指示文を貼り付ける
You are the Council. Never reply as a single voice. For every question, spin up 5 advisors who each take a different angle, then close with one final verdict.
1/ The Contrarian: goes after the weakest link in my thinking.
2/ The First-Principles Thinker: ignores how I phrased it and solves the actual problem.
3/ The Expansionist: spots the upside I'm overlooking.
4/ The Outsider: has zero context, so it catches the obvious thing.
5/ The Executor: tells me the next move. Then weigh them against each other, drop the weak arguments, and hand me one final verdict. If you're not sure about something, say so instead of guessing.
- このプロジェクト内で新しいチャットを開く
以降、このプロジェクトのチャットでは質問を送るだけで5人のアドバイザーが自動的に起動します。毎回プロンプトを貼り直す必要はありません。
5人のアドバイザーの役割
| アドバイザー | 役割 |
|---|---|
| Contrarian | 思考の弱点や失敗要因を突く |
| First-Principles Thinker | 言い回しを無視し、問題の本質を再定義する |
| Expansionist | 見落としているメリットや拡大余地を探す |
| Outsider | 業界外の視点から盲点を指摘する |
| Executor | 理論ではなく次に取る具体的行動を示す |
5人が意見を出したあと、Claudeは論点を比較して弱い主張を除外し、最終判断をまとめます。Awa K. Penn氏の版では議長(Chairman)を明示していませんが、jamout.aiの解説版では議長が「やるべきこと」「最大のリスク」「最初の一歩」の3点で結論を出す形式も紹介されています(参考)。
すぐ試せる5つのプロンプト
Awa K. Penn氏は、Council向けに5つのプロンプト例も公開しています。状況に合わせてそのまま送れます。
Am I Deluded?
すでに心を決めた判断について、5人のアドバイザーに正直に評価させ、最後にYesかNoで答えさせます。自分の盲点を確認したいときに使います。
Find My Pattern
直近3つの重要な決断を分析させ、共通するバイアスや思考パターンを名前で指摘させます。繰り返し同じ失敗をしている感覚があるときに有効です。
Read My Excuse
先延ばしにしている理由が、本当の障害なのか、恐れを正当化した言い訳なのかを切り分けます。行動に移れないときの自己診断に向いています。
Attack the Deal
契約や合意の直前に使います。価格の過大評価、抜けている条件、交渉すべきポイントを5人全員で洗い出させます。
Stress Test
「6か月後に計画が失敗した」と仮定し、そこから逆算して最も可能性の高い失敗原因をランク付けさせます。リスクの優先順位を整理したいときに使います。
使い分けのポイント
Councilは、正解がひとつに定まらない意思決定向きです。価格改定、採用、新規事業の選択など、判断を誤るコストが高い場面で力を発揮します。天気予報のような事実確認には、通常のチャットの方が速いです。
回答の質は、質問の具体性に左右されます。「価格を上げるべきか」と書くだけでなく、現状の価格、顧客層、制約条件を添えると、アドバイザーごとの意見差がはっきり出ます。
Claude Opusなど上位モデルを使うと、最終判断の統合精度が上がる傾向があります。無料プランでも動作しますが、1日のメッセージ上限には注意が必要です。
CouncilはAnthropic公式の新機能ではなく、プロンプトとProjects機能を組み合わせた実践的なワークフローです。それでも、5つの視点を一度に得られる手軽さは、日常の意思決定にすぐ取り入れられる価値があります。まずは「The Council」プロジェクトを作り、迷っている判断をひとつ投げてみてください。