Claude CodeやCodex、Google Antigravityのようなエージェント型コーディングツールが増える一方で、多くの開発者は依然としてVS Codeをメインのエディタに使い続けています。Microsoftはこのギャップを埋めるため、Agents view(Agents window)というエージェント専用のワークスペースをVS Codeに組み込みました。
この記事では、Agents viewの概要と具体的な使いどころ、Plan agentの活用法、複数エージェントの並列運用、ブラウザ連携までを整理します。
この記事でわかること
- Agents viewが従来のCopilotチャットと何が違うか
- Plan agentで実装前に設計を固める手順
- 複数エージェントを並列で動かす具体的な場面
- 統合ブラウザと組み合わせたWebアプリの検証方法
- Claude CodeやCodexとの位置づけの違い
https://code.visualstudio.com/docs/copilot/agents/agents-window
Agents viewとは何か
Agents viewは、VS Code内でコーディングエージェントを管理するための専用ウィンドウです。エディタ右上の「Open in Agents」ボタン、コマンドパレットの「Chat: Open Agents Window」、またはターミナルからの code --agents で起動できます。現在はプレビュー段階で、Microsoft公式ドキュメントでもフィードバックを募集中と明記されています。
従来のCopilotチャットは、開いているワークスペースの横に小さなパネルが付くコードファーストのUIでした。Agents viewはこれと対照的に、チャットとセッション一覧を中心に据えたエージェントファーストの画面です。複数のワークスペースにまたがるセッションを1つのウィンドウから扱えます。
画面は大きく4つのエリアに分かれます。左サイドバーにセッション一覧、中央にチャット、右側にChangesパネル(ファイル差分の確認用)、下部にカスタマイズパネルが配置されます。メインのVS Codeウィンドウとセッションを共有するため、Agents viewで始めた作業をエディタ側で続けても、会話の文脈は途切れません。
従来のCopilotチャットとの違い
Copilotのオートコンプリートや基本的なチャットは、単一ファイルの補完や短い質問応答に向いています。Agents viewのエージェントは、プロジェクト全体を調査し、複数ファイルの作成・変更、ターミナルコマンドの実行、テストの実行とエラー修正までを一連の流れで担います。
VS Code公式ドキュメントでは、作業画面を2つに分けています。コードに近い作業はChat view(メインウィンドウ内)、高レベルのタスク割り当てや複数プロジェクトの横断管理はAgents viewに向くと説明されています。どちらも同じセッションを参照するため、用途に応じて自由に行き来できます。
Plan agentで実装前に設計を固める
複雑な機能をいきなりコード生成に入ると、要件の取りこぼしや設計ミスが起きやすくなります。VS CodeのPlan agentは、ファイルを変更する前に実装計画を立てるための組み込みエージェントです。
Plan agentのワークフローは4段階です。Discovery(コードベースの調査)、Alignment(曖昧な点の確認)、Design(実装計画の起草)、Refinement(フィードバックに基づく修正)を繰り返し、計画が承認されるまでコード変更は行いません。承認後は通常のAgentに引き継ぐか、計画を保存して後から再開できます。
MSNに掲載されたParth Shah氏の検証記事でも、実装前にPlan agentへ作業を分解させ、方針の誤りを修正してからコードに入る使い方が紹介されています(参考)。Agents windowではエージェント選択ドロップダウンにPlan agentが直接は載っていませんが、Copilot CLIやClaude agentセッション内で /plan コマンドを使えば起動できます。
複数エージェントの並列運用
Agents viewの強みのひとつは、複数のエージェントセッションを同時に走らせられる点です。2026年1月リリースのVS Code 1.109では、GitHub Copilotに加えてClaude agentとCodex agentを同じAgent Sessions viewから扱えるようになりました(参考)。
セッション一覧では、ローカル・バックグラウンド・クラウドの各エージェントの状態を一覧できます。Agents windowでは、セッションリストから「Open to the Side」で複数セッションを並べて表示し、結果を比較することも可能です。同じワークスペース内では、サブセッションを作成して親セッションと並行して別タスクを進めることもできます。
さらにVS Code 1.109では、メインエージェントがサブエージェントを並列起動する機能も追加されました。セキュリティ・パフォーマンス・アクセシビリティの分析を同時に走らせるなど、調査系のタスクを並列化してコンテキストの肥大化を抑えられます。
エージェントの使い分けも柔軟です。Parth Shah氏の体験記では、シンプルなランディングページはCopilotで、複数機能が絡むWebアプリはClaude agentに切り替えたと報告されています(参考)。タスクの難易度に応じてエージェントとモデルを選べるのが、単一ツールに縛られない利点です。
統合ブラウザでWebアプリを検証する
VS Code 1.110(2026年2月リリース)では、エージェントが統合ブラウザを自律的に操作するブラウザエージェントツールが実験的に追加されました。workbench.browser.enableChatTools を true に設定すると、エージェントはページの読み取り、クリック、テキスト入力、スクリーンショット取得、Playwrightコードの実行などをMCPサーバーなしで行えます。
開発ループは次のようになります。エージェントがHTMLやCSSを生成し、統合ブラウザでアプリを開き、UIの動作を確認し、コンソールエラーを検知して修正する。ウィンドウを行き来せずに、実装と検証を閉じたループで回せます。
ユーザーが手動で開いたブラウザタブをエージェントに渡す場合は、ブラウザツールバーの「Share with Agent」ボタンを使います。共有前に確認ダイアログが表示され、共有中はタブに視覚的なインジケーターが付きます。エージェントが自分で開いたタブは隔離されたエフェメラルセッションで動作し、既存のログイン状態とは分離されます。
Agents windowからも統合ブラウザを起動できます。コマンドパレットの「Browser: Open Integrated Browser」、localhostリンクのクリック、右上の実行メニューからアクセス可能です。現時点ではエージェントがブラウザを直接開く操作は未対応で、ユーザー側での起動が必要です。
Claude CodeやCodexとの比較
Claude Code、OpenAI Codex、Google Antigravityは、それぞれ独立したエージェント型開発環境として設計されています。VS CodeのAgents viewは、これらと正面から競合するのではなく、既存のVS Code環境の中にエージェントファーストのワークフローを組み込むアプローチです。
実際、VS Code 1.109以降はCodex agentとClaude agentをVS Code内で直接実行できます。Claude agentはAnthropic公式のClaude Agent harnessを使うため、他のClaude実装と同じプロンプト・ツール構成が適用されます。Copilot Pro+やEnterprise契約者はクラウドエージェントとしても利用できます。
Agents viewが特に価値を持つのは、拡張機能・設定・キーバインドをそのまま活かしながらエージェント開発に移行できる点です。エディタで細かい修正が必要になったときは、Agents viewからメインウィンドウへ戻り、通常のコード編集に切り替えられます。エージェントにすべてを任せるのではなく、エージェントファーストとコードファーストを使い分ける設計が意図されています。
使い始めるための前提条件
Agents viewを使うには、VS CodeのインストールとGitHub Copilotのサインインが必要です。エージェント機能は chat.agent.enabled 設定で有効化します。Claude agentは github.copilot.chat.claudeAgent.enabled で個別に制御できます。CodexのローカルエージェントにはCopilot Pro+契約とOpenAI Codex拡張機能が必要です。
ブラウザエージェントツールを試す場合は、チャットのツールピッカーでBuilt-in > Browserグループのツールが有効になっているかも確認してください。統合ブラウザ自体も実験的機能であり、今後のリリースで仕様が変わる可能性があります。
エージェント型コーディングの導入を検討しているなら、エディタを丸ごと乗り換える前にAgents viewを試す価値はあります。慣れたVS Codeの延長線上で、Plan agentによる設計レビュー、複数エージェントの並列運用、ブラウザ連携による検証まで一通り体験できます。