Base公式アカウントが紹介した、Base向けオープンソースAIエージェント「BunnyOS」。Base MCPを土台にした初のOSS実装として、2026年5月29日に公開されました。
この記事では、BunnyOSが解く課題と4つのコアシステム、接続できるMCPツール、自前ホストの手順までを整理します。
この記事でわかること
- BunnyOSがBase MCP上で何をするエージェントか
- アクション・タブ・メモリ・MCPの4システムの役割
- 自前ホストに必要な環境とセキュリティモデル
https://github.com/bunnyos/base-agent
BunnyOSとは何か
BunnyOSは、Baseエコシステム向けのオープンソースAIエージェントです。GitHubリポジトリ bunnyos/base-agent で公開されており、Base MCP(Model Context Protocol)をネイティブに利用する初のオープンソース実装と位置づけられています。
MCPは、AIアシスタントと外部ツールを安全につなぐための標準プロトコルです。Base MCPは2026年5月26日にBase公式が公開したゲートウェイで、Base Account(Baseアプリのウォレット)とAIクライアントをOAuth 2.1で接続します。サーバー側は秘密鍵を保持せず、トランザクションはユーザーがBaseアプリ上で承認する設計です。
BunnyOSはこの仕組みの上に、チャット操作・自動監視・メモリ管理・ツール連携をまとめた「エージェント層」を載せています。公式サイトは bunnyos.ai です。
なぜオープンソースで作り直したのか
開発元はシンガポールのAdamとJoeで、過去5年間Web3インフラを手がけてきたチームです。当初は自律型DeFiエージェントとして開発を進めましたが、READMEでは次の2点が課題だと述べています。
1つ目は信頼の壁です。モデル性能が上がっても、鍵を渡す自律システムには慎重になるのが自然だという指摘です。2つ目はコスト構造のズレです。AIエージェントは推論・ツール呼び出し・バックグラウンド監視ごとに実コストが発生し、SaaSの席課金モデルとは合いにくいと説明しています。
実行手数料で収益化すると、ユーザーは開発元の専有スタックを信頼しなければならなくなります。BunnyOSは「非公開・自律・実行課金・カストディに近い」組み合わせを避けるため、ユーザーが実行を制御し、Baseアプリ経由で鍵を保持し、コードを監査・自前ホストできる形に作り直したとしています。
4つのコアシステム
Base Postingの紹介でも触れられた通り、BunnyOSは4つのシステムで構成されます。
アクションシステム
ユーザーが設定した間隔(1分〜24時間)でスキャナーが動き、ツールデータを監視します。出力は2種類です。
- アラート:情報提供やリスク通知(例:USDCボールトのAPYが40%下落)
- レコメンデーション:実行ボタン付きの提案。クリックするとチャットエージェントに指示が渡り、承認用URLが生成されます
スキャナーはチャットと同じエージェントループを使い、書き込みツールは無効化されています。自然言語でスキャナーを定義し、継続実行できる点が特徴です。
タブ管理システム
UIはターミナル型で、各タブが独立したコンテキストを持ちます。チャット、アクション受信箱、メモリ編集、設定、ポートフォリオなどをタブで切り替え、状態はタブごとに保持されます。
メモリシステム
Karpathy氏が広めた「markdown-as-memory」パターンを採用しています。エージェント本体はステートレスで、ユーザーが書いたMarkdownファイルにチェーン設定・リスク許容度・使わないプロトコルなどを保持します。取引のたびに学習内容を書き戻す仕組みです。
MCPとツールシステム
BunnyOSはMCPをネイティブに話し、設定画面の「protocols」で各ソースをオン・オフできます。無効にしたツールはエージェントのカタログから消えます。
| ソース | エージェントが使える機能 |
|---|---|
| Base account MCP | ウォレット、残高、ポートフォリオ、送金、スワップ、EIP-5792バッチ呼び出し |
| Moralis | マルチチェーンEVM履歴、トークン残高、NFT、DeFiポジション |
| CoinGecko | トークン価格、メタデータ、DEXペア |
| GoPlus | トークンセキュリティ・リスクチェック(APIキー不要) |
| DeFi Llama | TVL、イールドプール、ステーブルコイン流入(APIキー不要) |
| Bankr | 直近のトークンローンチ |
| Morpho MCP | レンディング市場、ボールトデータ |
最新リリース v0.5.4(2026年6月21日)では、Zerion・GMGN・CoinStatsなどのマーケットデータプロバイダー、Telegramボット連携、複数の推論プロバイダー選択にも対応しています。
主な機能
チャットと実行:自然言語でウォレット分析、ポジション監視、トランザクション準備ができます。実行は常にBaseアプリでの承認が必要です。
エージェントアクション:設定可能な間隔で動く自律スキャナーが、アラートとレコメンデーションを生成します。
トークンエクスプローラー:任意のトークンを検索し、市場データとセキュリティシグナルを確認。PDFレポートとしてエクスポートも可能です。
bunnyDS(マネージドモード):v0.5.4で追加されたゲートウェイ機能です。デフォルトで有効で、市場データ取得とLLM推論をbunnyOSゲートウェイ経由にルーティングします。Baseアカウントで署名したセッショントークンで認証し、Base上のUSDC許可額で従量課金されます。オフにすれば、自分のAPIキーを使う自前運用(BYO)に切り替えられます。
セキュリティモデル
BunnyOSの設計原則は「秘密鍵をシステムに置かない」ことです。署名鍵はBaseアカウント側にあり、エージェントはトランザクション案を作成するだけです。保存されるAPIキーやOAuthトークンはAES-256-GCMで暗号化され、セッションはHMAC署名されます。
Base MCP公式ブログでも、MCPサーバーは秘密鍵にアクセスせず、エージェントが提案したトランザクションはBase Accountのレビュー画面で資産変動を確認してから承認する流れと説明されています。BunnyOSはこのモデルをエージェント層全体に適用しています。
自前ホストの手順
BunnyOSはAGPL-3.0ライセンスで公開されています。自前ホストには Node.js 24、pnpm、PostgreSQL 18 が必要です。
git clone https://github.com/bunnyos/base-agent
cd base-agent
pnpm install
cp .env.example .env
pnpm --filter @workspace/db run push
# 別ターミナルでそれぞれ起動
pnpm --filter @workspace/api-server run dev # API :3000
pnpm --filter @workspace/interface run dev # UI :5173
ブラウザで localhost:5173 にアクセスして利用します。必須の環境変数は DATABASE_URL(Postgres接続文字列)、SESSION_SECRET(16文字以上のランダム文字列)、BASE_PATH(ローカル開発では /)です。
Base MCP単体との違い
Base MCPはウォレット操作とDeFiプロトコル連携のゲートウェイです。Claude、ChatGPT、CursorなどMCP対応クライアントにインストールし、チャットからスワップや送金を提案させる用途向けです。
BunnyOSはその上に、自律スキャナー・タブ型UI・永続メモリ・複数データソースの統合を備えたフルスタックのエージェント環境です。Base MCPを使いつつ、独自のエージェント体験を自前サーバーで動かしたい開発者向けの選択肢になります。
料金と運用コスト
コード自体はオープンソースで無料です。自前ホストではLLM推論・外部API・サーバー費用を自分で負担します。bunnyDSを使う場合は、Base上のUSDC許可額に対する従量課金となり、APIキーなしでターミナルを試せます。
GitHubリポジトリは2026年5月28日に作成され、執筆時点でスター数は80、最新版は v0.5.4 です。READMEには実験的ソフトウェアである旨の免責事項があり、オンチェーン操作前に権限とリスクを自分で確認する必要があります。
BunnyOSは、Baseが推進するAI×オンチェインの流れの中で、「エージェント層をオープンに保つ」という明確な立場を取ったプロジェクトです。MCP対応クライアントにBase MCPを足すだけでは届かない、監視・メモリ・拡張性まで含めた体験を自前で検証したい開発者にとって、まず触る価値のある実装と言えます。