Solana向け自律トレードエージェント「circuit-agent」がv0.9.6に更新され、スワーム全体の市場カバレッジと機会発見の精度が底上げされました。

この記事では、CircuitエコシステムのWeekly Recapで報じられたv0.9.6の変更点と、GitHub上の実装内容を整理します。

この記事でわかること

  • v0.9.6で何が変わったか
  • スワーム市場カバレッジ拡大の具体的な仕組み
  • 機会発見(opportunity discovery)改善の中身
  • 導入方法と注意点

https://github.com/Circuit-LLM/circuit-agent

v0.9.6で変わったこと

2026年6月21日、Circuit公式アカウント(@CircuitLLM)のWeekly Recapで、Agent v0.9.6のリリースが告知されました。告知文では「swarm market coverage の拡大」と「opportunity discovery の改善」が明記されています。

GitHubリポジトリ Circuit-LLM/circuit-agentpackage.json も v0.9.6 に揃っており、READMEのバージョンバッジも同じ番号を示しています。リリースタグはまだ切られていませんが、コードとドキュメントの版数は一致した状態です。

なぜ市場カバレッジの拡大が必要だったか

Circuitのcircuit-agentは、Solana上のトークンを60秒ごとにスキャンし、ディップリバーサル(急落後の反発)パターンをスコアリングして自動売買するOSSです。複数のエージェントがCIRCUIT Data API経由でシグナルやラグ(詐欺トークン)情報を共有する「スワーム」に参加し、合意形成でエントリー判断を補強します。

従来のスキャンは累積出来高ベースの /trending エンドポイントを主な候補源にしていました。ここには「数時間前は活発だったが、いまは取引が止まったトークン」が上位に残りやすく、5分足のバウンス率や買い比率が古いままスコアに入る問題がありました。スワーム内のエージェントが同じデッドな候補を見続けると、探索範囲が実質的に狭まります。

機会発見の改善:スキャン対象の切り替え

v0.9.6系の変更で、スキャン候補の主ソースが /active エンドポイントに切り替わりました。ここには直近約15分で実際に取引があったトークンが載り、いま動いている市場を中心に評価できます。/active が空のときだけ /trending にフォールバックする設計です。

併せて、スキャン処理の候補プール拡大も入っています。従来は dexLosers シード(下落トークン一覧)を先頭に約50件追加したうえで、処理上限の2倍までしか走査せず、返却は30件に切っていました。その結果、すでに死んだクラッシュ銘柄が返却枠を占有し、生きたディップリバーサル候補がスコアラーに届かない状態になっていました。

修正後はシード用とアクティブ銘柄用の処理枠を分け、価格取得の対象を全体に広げ、スコアラーが選別できる候補数を30件から100件へ拡大しています。開発者の検証では、評価対象の生きたディップ候補がほぼゼロから約29件へ増えたと報告されています。

エントリー品質とスワームの分散

機会発見は「見つける」だけでなく「質を上げる」変更も含みます。

持続的反発の確認ゲートでは、エントリー前に反発が一瞬のスパイクで終わっていないかを再確認します。v0.9.5で外されていたフィルターが復活し、勝率低下の原因とされていた部分を塞いでいます。

アクティビティフロアは薄い流動性のノイズを除外し、バウンス上限は急騰後の追いかけエントリーを拒否します。エントリー直前の価格再取得(S1)では、スコア算出後に価格が大きく戻っていた場合は買いを中止します。

スワーム分散(S6)は、全エージェントが同じ1位候補だけを買う偏りを避ける仕組みです。エージェントごとに決定的な多様性選択を行い、上位候補をスワーム全体で分散させます。これがWeekly Recapの「swarm market coverage 拡大」に直結する変更です。

モニター層の修正では、フィード価格のフリーズや異常スパイクでトレーリングストップや利確が誤作動する問題を塞いでいます。ポジション監視は5秒間隔で走り、ピーク価格の腐敗やファントム利確を防ぐ方向です。

スワーム連携の仕組み(変更なしの基盤)

v0.9.6の探索改善は、既存のスワームプロトコルの上に載っています。各エージェントは売買のたびに buy_signal / sell_signal / rug_alert をCIRCUIT Data APIへ公開します。買い前のコンセンサスゲートでは、2件以上の強気シグナルでエントリー規模を拡大し、いずれかの rug_alert で即中止します。ラグ報告は共有ブラックリストへ数秒で伝播し、次のスキャンサイクルから全員がそのミントをスキップします。

エージェントは勝ちトレードの25%を自動でCIRCトークン購入に回し、Data API呼び出し(x402マイクロペイメント)の燃料を補充します。CIRCはSolana Mainnet上のToken-2022トークンで、エンドポイントごとにUSD建ての単価がCIRCへ換算され、オンチェーン決済でAPIが開放されます。

使い方と注意点

https://circuitllm.xyz/

導入はNode.js 18以上が必要です。リポジトリをクローンし npm install のあと node agent.js init でウォレット生成とセットアップ、node agent.js start で5つの並列ループ(スキャン・ポジション監視・ハートビート・戦略ループ・リフレクト)が起動します。ダッシュボードは http://localhost:18800 で確認できます。

READMEには「ベータソフトウェア。リリース間で破壊的変更があり得る」と明記されています。少額から挙動を確認し、本番ウォレットには十分なSOL(推奨0.05 SOL以上)を入れてください。Telegram連携やOpenRouter APIキーは任意ですが、LLM戦略ループやリフレクトにはOpenRouterが使われます。

前バージョンとの違い

v0.9.5はリアルタイムスキャンソースの導入とスキャン間隔の短縮が中心でした。v0.9.6はその上に、候補プールの拡大・アクティブ銘柄への切り替え・エントリーゲートの復活・スワーム分散・モニター堅牢化を重ねた「探索の質と幅」の更新です。単一エージェントの勝率改善と、スワーム全体が異なる銘柄をカバーする設計が同時に進んでいます。

Circuitエコシステムは、分散LLMアーキテクチャやノードクライアント、インデクサー拡張なども並行開発中です。v0.9.6はその中でも、いま動いているSolana市場をエージェント群が取りこぼさないための実装アップデートと位置づけられます。