ChatGPTの利用者構成が、英語中心の初期から大きく変わりました。OpenAIが2026年6月30日に公開した消費者向け利用データでは、英語以外を主に使う利用者がアクティブユーザーの過半数を占めると報告されています。

この記事では、OpenAI Signalsの最新データが示す利用者の変化と、多言語化が進む一方で残る英語依存の課題を整理します。

この記事でわかること

  • 非英語利用者が過半数になった背景と地域別の伸び方
  • スペイン語・ポルトガル語・アラビア語など主要言語の動き
  • 英語圏向けコンテンツ戦略への影響と検索レイヤーのギャップ

非英語利用者が過半数に達した

https://openai.com/index/how-chatgpt-adoption-has-expanded/

OpenAIの公式ブログ「How ChatGPT adoption has expanded」によると、ChatGPTで英語以外の言語を主に使う利用者は、アクティブユーザーの過半数を超えています。英語以外で最も多い言語はスペイン語、ポルトガル語、アラビア語です。

対象は個人向けプラン(Free、Go、Plus、Pro)に限られ、Codex、Enterprise、教育向け製品は含まれません。職場や教室での利用はこの数字に反映されない点に注意が必要です。

言語の判定は、各ユーザーが送ったメッセージのうち最も多い言語を主言語とする方法で行われています。18歳未満のユーザーは除外され、月次の集計は各月1日の7日前までにメッセージを送ったユーザーを対象にしています。

アフリカとアジアで相対成長が最も速い

2023年7月を基準にすると、ChatGPTの週次アクティブユーザーは全大陸で増加しています。相対的な伸びが最も大きいのはアフリカとアジアです。人間開発指数(HDI)が低い国ほど、週次アクティブユーザーの相対成長が速い傾向も示されています。OpenAIはFreeとGoプランによる低価格アクセスを継続していると説明しています。

100万人以上のアクティブユーザーがいる言語の中では、2023年7月以降のシェア増加率が最も大きかったのはウズベク語、カザフ語、ビルマ語でした。2026年6月時点のデータです。大きな言語圏の伸びに加え、中規模言語でも利用が広がっていることがわかります。

使い続けるほど利用が深まる

別の分析では、登録から6か月経つと、1日あたりのメッセージ数が登録直後比で約50%増え、試したタスクの種類は約2倍になると報告されています。これは2025年10月15日から2026年5月1日に作成されたアカウントの0.1%サンプルに基づくもので、2026年5月31日までの活動を含みます。

利用が単発の質問から日常ツールへ移りつつあることを示す数字です。地域が広がるだけでなく、既存ユーザーがより多くの用途でChatGPTを使うようになっている側面も読み取れます。

英語依存の検索レイヤーが課題になる

利用者が非英語圏中心へ移る一方、回答の根拠を集める検索処理には英語偏重が残っています。AI検索分析企業Peec AIの調査では、非英語で質問してもバックグラウンドの検索クエリ(ファンアウトクエリ)の約43%が英語で実行され、非英語セッションの約78%で少なくとも1回は英語検索が走ると報告されています(参考)。

ChatGPT Searchは、ユーザーの質問を複数の検索クエリに分解し、検索パートナーへ送って情報を集めます。OpenAIのドキュメントでもクエリの書き換えと追加検索が説明されていますが、言語選択のルールは公開されていません。スペイン語やアラビア語で質問しても、裏側では英語ソースを参照してから回答が組み立てられる場面があるのです。

このギャップは、英語圏向けに最適化したコンテンツだけを用意している事業者にとっても、非英語市場だけを見ている事業者にとっても影響します。前者は「英語圏以外の読者」が増えているのに気づきにくく、後者は自国語のコンテンツがAIの引用候補に入りにくい可能性があります。

コンテンツ戦略への示唆

OpenAI Signalsは継続的なデータ公開プログラムです。2025年9月にはハーバード大学との共同研究として大規模な消費者利用データが発表され、性別格差の縮小や低所得国での成長が報告されていました。今回の公開は、その流れを言語と地域の軸で補強するものです。

実務面では、次の3点が押さえどころになります。

  • 非英語ユーザーが過半数であることを前提に、多言語での情報提供を検討する
  • ChatGPT Searchの裏側で英語検索が走ることを踏まえ、主要コンテンツの英語版整備を検討する
  • 地域ごとの成長差(アフリカ・アジア、低HDI国)を見て、市場優先度を見直す

AIプロダクトの利用実態は、英語圏のテックメディアが伝えるイメージと大きくずれつつあります。ChatGPTの「標準的なユーザー」は、もはや英語ネイティブの早期採用者ではありません。データに基づいて多言語対応と検索レイヤーの特性を理解することが、これからのAI時代のコンテンツ設計では欠かせません。