ブランドの広告は、1枚の良い写真だけでは物語が伝わりません。AIインフルエンサーの顔を揃え、商品ショットを整え、動画まで仕上げる一連の流れが、制作現場で求められています。

2026年7月4日、クリエイター向けにAPOB AIを使った「AI Commercial Creation」ワークフローが紹介されました。コンセプト立案からキャンペーン素材の完成まで、同一プラットフォーム内で繰り返し制作できる点が特徴です(参考)。

この記事では、APOB AIの公式機能説明と発表内容をもとに、ブランド向けAI広告制作の手順と各工程の役割を整理します。

この記事でわかること

  • AI Commercial Creationが解決する制作上の課題
  • 一貫したAIインフルエンサーを作る方法
  • Chat to Generate・Chat to Edit・Image to Video Ultra Sの使い分け
  • 無料枠と商用利用の前提条件

1枚の良いカットではブランドの物語は完結しない

ECやSNS広告では、モデルの顔がシーンごとに変わると信頼感が落ちます。撮影スタジオの手配、衣装変更、再撮影にはコストと時間がかかり、A/Bテスト用のバリエーション量産も負担になります。

AI Commercial Creationは、この課題に対し「同一キャラクターで静止画から動画まで作る」方針で応えます。紹介投稿では、APOB AI上でAIインフルエンサーを一貫して生成し、GPT Image 2.0で商用ビジュアルを作り、Chat to Editで商品画像やスタイリングを調整し、Seedance 2.0搭載のImage to Video Ultra Sでシーンを動画化する流れが示されています。

APOB AIとは何か

https://apob.ai/

APOB AIは、AIインフルエンサーの生成から画像・動画制作までをブラウザ上で行えるプラットフォームです。公式サイトでは140万件超のAIインフルエンサーが作成されたと掲げられています。登録後は毎日80クレジットが付与され、クレジットカードなしで試せます。

左側の作成パネルから、画像生成、Image to Video、動画編集、Talking Avatar、テキストto動画、Video Face Swapなどを切り替えられます。ブランドキャンペーン向けには、同一のAIインフルエンサーを商品紹介、UGC風広告、ショート動画に再利用できる点が強みです(参考)。

ステップ1:一貫したAIインフルエンサーを構築する

ワークフローの起点は、再利用可能なAIインフルエンサーです。APOB AIでは2つの方法があります。

1つ目は参照画像をアップロードする「Pro-Refinement」方式。既存のブランドアンバサダーやモデル写真から顔の特徴を解析し、以降の生成で同一人物を維持します。2つ目は「AI Influencer Generator」で性別・年齢・国籍・目の色・髪型・体型などを指定して新規キャラクターを作る方式です。

Premiumプランでは「Advanced Face-Lock」により、数百枚の投稿をまたいでも顔の一貫性を保てます。長期キャンペーンでは、キャラクターの顔が変わるリスクを抑える重要な機能です(参考)。

ステップ2:Chat to GenerateでGPT Image 2.0を使う

静止画の生成には「Chat to Generate」が使われます。自然言語のプロンプトを入力するだけで画像を生成でき、最大4,000文字まで指示を書けます。紹介投稿では、ここでOpenAIのGPT Image 2.0が選択され、商用クオリティのビジュアルを作ると説明されています。

GPT Image 2.0は2026年4月21日にOpenAIが公開した画像生成モデルです。最大2K解像度、多言語テキスト描画、指示追従の強化が特徴で、広告や商品フロー向けの制作ワークフローを想定して設計されています(参考)。

APOB AIでは、Art Style・Clothing・Landscape・Weatherなどのプリセットタグと組み合わせてシーンを組み立てられます。@Personaの顔ロック機能により、プロンプトを変えてもキャラクターの顔を固定できる点が、ブランド広告では実用的です(参考)。

ステップ3:Chat to Editで商品ショットとスタイリングを調整する

生成直後の画像が要件に合わない場合、「Chat to Edit」で自然言語の指示から修正します。「照明を暖かくして」「背景をネオン街に変更」「キャラクターはそのまま衣装だけ変えて」といった指示に対応します(参考)。

1回のChat to Editは50クレジットを消費します。毎日80クレジットが付与される無料枠の範囲内で試せるため、ゼロから再生成するより低コストにイテレーションできます。商品の配置やスタイリングの微調整に向いた工程です。

Image to Videoの前段階として、終端フレーム(ラストフレーム)をChat to Editで作る使い方も公式ブログで推奨されています。開始フレームと終了フレームを固定すると、動画生成時のモーフィングや破綻を抑えられます(参考)。

ステップ4:Image to Video Ultra SでSeedance 2.0を使う

静止画が固まったら、「Image to Video」で動画化します。最高品質モードのUltra Sは、ByteDanceのSeedance 2.0をベースにした生成エンジンで、肌の質感や動的な照明まで再現する設計です(参考)。

Seedance 2.0はテキスト・画像・音声・動画の4種類の入力に対応し、4〜15秒のクリップを生成します。複数人のシーンや複雑なカメラワークを含む商用コンテンツ向けに位置づけられています(参考)。

Image to Videoの操作では、動作プロンプト(最大2,000文字)、カメラ移動(ズームイン・アウト、キャラクター周回など)、Native audioのオンオフ、尺(4・5・10・15秒)、解像度(FHDやシネマティック4K)を設定できます。「Add element」で最大3つのオブジェクトをシーンに追加する機能もあり、商品配置の広告に直接活かせます(参考)。

料金と商用利用の前提

APOB AIの無料Nanoプランは毎日80クレジットが付与されます。画像生成はFastモードで4枚10クレジット、Bestモードで4枚20クレジットです。動画はFastモードで秒あたり8クレジット、Bestモードで秒あたり20クレジットが目安です(参考)。

商用利用権は有料プラン(Micro・Macro・Mega)に含まれます。無料プランはテストや個人利用向けで、ブランドの有料広告やアフィリエイト収益化を行う場合は有料プランへの移行が必要です。年払いのMicroプランは月額6ドルから利用できます(参考)。

生成物の利用権限やコンプライアンスについては、公開前にAPOB AIの利用規約を確認してください。保護されたブランドや実在人物を無断で使わない点も、公式FAQで注意喚起されています(参考)。

従来の撮影ワークフローとの違い

従来の広告制作は、企画→撮影→レタッチ→編集と工程が分断され、修正のたびに再撮影が発生しがちです。AI Commercial Creationは、同一ダッシュボード内でキャラクター固定→画像生成→編集→動画化を繰り返す設計です。

RunwayやKlingなど複数の動画モデルもAPOB AI内で切り替え可能で、Seedance 2.0はその中でも最終品質向けの選択肢として位置づけられています。ただしUltra Sは高クレジット消費になるため、公式ドキュメントでは画像でアイデアを固めてから動画生成に移ることを推奨しています(参考)。

制作現場で押さえるべきポイント

AI Commercial Creationの価値は、ツールの羅列ではなく「同一ブランドキャラで量産できる」点にあります。まずAIインフルエンサーを1体固定し、Chat to Generateで複数シーンの静止画を作り、Chat to Editで商品や衣装を調整し、最後にImage to Video Ultra Sで動画化する——この順序を守ると、キャンペーン全体のトーンを揃えやすくなります。

顔の崩れや背景の不自然な動きは、入力画像の解像度不足や過度な動作指示が原因になりやすいです。公式FAQでは、高解像度のポートレートと「自然なまばたき」「ゆっくりしたカメラの寄り」といった控えめな指示を推奨しています(参考)。

ブランドの広告制作をAIで内製化したいチームにとって、APOB AIのAI Commercial Creationは、コンセプトから完成シーンまでを一つのワークフローで回せる実用的な選択肢です。