Flipper Zeroで知られるFlipper Devicesが、在宅勤務の「邪魔されたくない」を物理表示で解決する新製品をいよいよ販売します。

2026年6月29日、TechCrunchが報じたとおり、同社の生産性ガジェット「Busy Bar」は7月14日から米国・EU・英国・カナダで一般販売を開始します。LEDマトリクスに作業ステータスを表示し、ポモドーロタイマーやアプリブロック、macOS連携、Matter対応のスマートホーム連動まで備えた、卓上向けのマルチツールです。

この記事でわかること

  • Busy Barが解決する課題と、Flipper Zeroとの位置づけの違い
  • 前面・背面ディスプレイやバッテリーなどのハード仕様
  • タイマー、アプリブロック、通話検知などのソフト連携
  • 7月14日の価格帯と販売スケジュール

在宅勤務で起きる「見えない集中」の課題

リモートワークでは、家族や同居人に「今は話しかけないでほしい」と伝えるのが難しい場面が多くあります。ヘッドホンをつけていても、ドアを閉めていても、相手からは作業中かどうか判断しづらい。自分自身も、スマホの通知やSNSが視界に入ると集中が途切れやすくなります。

Busy Barは、この「集中している状態を周囲と自分に示す」ことを主目的に設計されたデバイスです。卓上時計のような筐体に、72×16ピクセルのLEDマトリクスを前面に据え、「Busy」などのメッセージと解放予定時刻を大きく表示します。Flipper Devicesは2025年4月に発表し、約1年後の2026年7月14日に出荷と販売を開始する予定です(参考)。

同社はこれまで、Bluetooth・RFID・NFC・サブ1GHz無線を扱うハッカー向けガジェット「Flipper Zero」で知られてきました。Busy Barは無線ハッキングではなく、作業管理と通知制御に特化した別ラインの製品です。

Busy Barのハードウェア構成

https://busy.app/products/busy-bar

公式サイトの技術仕様によると、前面は6.35インチのLEDマトリクスで、解像度72×16ピクセル、60Hz、1600万色、最大800ニト、環境光センサーによる輝度自動調整に対応しています。背面には1.54インチのモノクロOLED(160×80ピクセル)があり、バッテリー残量や接続状態、タイマー情報をメイン画面の向きと関係なく確認できます。

操作系は、5段階のモード切替スイッチ、開始・一時停止ボタン(Kailh Choc Switch V2)、スクロールホイール、戻るボタン、RGBステータスランプ2つで構成されます。側面の0.8Wスピーカーは、アラートやカスタム通知音の再生に使います。

通信はWi-Fi 6(2.4GHz、WPA3)、Bluetooth Low Energy 5.4、USB Type-Cに対応。USB接続時は仮想LAN経由でHTTP APIにもアクセスできます。中央プロセッサはSTM32U5(Cortex-M33 160MHz)、無線処理はSiWG917(Cortex-M4 180MHz)が担い、8GBのeMMCストレージを内蔵しています。

バッテリーは18650リチウムイオン3250mAhで、公式仕様ではアクティブ表示で最大8時間、スタンバイで最大2週間の稼働をうたっています。15Wアダプターで約1時間のフル充電に対応します。

タイマーとアプリ連携で集中を守る

Busy Barの中核機能は、ステータス表示とポモドーロ式のインターバルタイマーです。公式説明では、25分の作業セッションと5分の休憩を組み合わせるポモドーロ技法を参考にした設計とされています。ボタン一つで「Busy」表示とタイマーを開始し、周囲に集中中であることを示しながら自分の作業区間を区切れます。

ソフトウェア連携はiOS、Android、macOS、watchOS向けアプリが提供され、Windows版は後日リリース予定です。スマホではBusyモード起動時に選択したアプリの通知をミュートでき、PCとスマホをクラウド基盤のBUSY Appで横断的に制御します。

macOS向けにはマイク連携があり、ビデオ会議への参加や録音・配信の開始を検知すると、Busy Barに「On Call」ステータスを表示し、通知を自動でミュートします。TechCrunchの報道でも、会議や配信中の邪魔を減らす用途として紹介されています(参考)。

カスタムトリガーでBusyモードを自動起動する設定も可能で、特定アプリの起動や通話開始に連動させられます。壁やドアに設置したBusy Barを、デスクトップアプリからリモート操作する使い方も想定されています。

Matter対応と開発者向けオープンAPI

Busy BarはMatter認証を取得しており、Apple Home、Google Home、Amazon Alexaなど主要スマートホーム基盤と連携できます。Busyモードの開始に合わせて照明を暗くする、音楽を一時停止する、ドアを施錠するといった自動化を、ワンボタンで起動できる設計です。Matterはスマートホーム機器の相互運用を標準化するプロトコルで、メーカーをまたいだ連携を可能にします。

開発者向けには、オープンファームウェアとHTTP API、MQTT、公式のPython・TypeScriptライブラリが用意されています。クラウドAPI経由でインターネット越しに制御でき、会議室の予約状況表示や社内スケジューラとの連携など、独自ウィジェットの開発も想定されています。Flipper Zeroの「いじれる」文脈を、生産性ガジェット側にも引き継いだ構成です。

価格と7月14日の販売スケジュール

Busy Barの定価は249ドルです。販売は2026年7月14日に米国・EU・英国・カナダで開始され、ロサンゼルスからの発送で配送までおおむね3〜7営業日とされています。

価格は購入タイミングで段階的に変わります。ウェイトリスト登録者は179ドル、一般販売開始日の先着3000台は199ドル、それ以降は249ドルです。TechCrunchは6月29日の報道で、ウェイトリスト価格と先着割引の違いを追記して整理しています。

アクセサリとして壁掛けマウント、画面保護フィルム、カスタムスイッチの投入も予定されています。30日間の返品対応と保証が付く点は、公式ストアの記載どおりです。

249ドルの生産性ガジェットとしての位置づけ

Busy Barは、LED表示によるステータス共有、ポモドーロタイマー、クロスプラットフォームの通知制御、Matter連携、オープンAPIという5層の機能を1台にまとめた製品です。単なる「Busyランプ」ではなく、在宅勤務の境界線を家族・同居人・自分自身の3方向に引くための卓上ハブとして設計されています。

7月14日の販売開始が近づく中、Flipper Devicesはハッカー向けツールの延長線ではなく、日常の作業環境に置く生産性デバイスという新しい柱を示しました。集中を守りたい在宅ワーカーや、物理的なステータス表示を求めるチームにとって、価格と機能のバランスを検討する材料がそろった段階です。