大きなプロジェクトで AI コーディングツールに質問するとき、関係のないコードまで読み込まれてコンテキストが埋まってしまう——そんな経験はないでしょうか。

この記事では、MCP プラグインを使ってコードベース全体を意味検索に変え、AI に必要なコードだけを渡す Claude Context を紹介します。

この記事でわかること:

  • AI コーディングツールが抱えるコンテキスト問題の仕組み
  • Claude Context の主な機能と対応ツール
  • Claude Code や Cursor への導入手順
  • 必要な外部サービスと利用コストの概要

コードが増えるほど AI は迷子になる

Claude Code や Cursor のような AI コーディングツールは、コード補完や質問応答に非常に便利ですが、1 つの弱点があります。コンテキストウィンドウの上限です。

小規模プロジェクトなら全ファイルを渡しても問題ありません。しかし数万行・数十万行規模のコードベースになると、すべてを読み込ませることはできません。関係のありそうなファイルを手動で選んで渡す必要があり、「どのファイルを渡せばよいか」を考える手間が増えます。

Claude Context はこの問題を、ベクトルデータベースによる意味検索で解決します。コードベース全体をあらかじめインデックス化しておき、質問に関連するコードチャンクだけを自動で取得して AI に渡す仕組みです。

Claude Context とは

Claude Context は、ベクトルデータベースの Milvus を開発する Zilliz が公開したオープンソースの MCP プラグインです。2026 年 4 月時点で GitHub に 8,800 以上のスターが付き、GitHub Trending の首位に入っています。MIT ライセンスで公開されています。

対応する AI ツールは Claude Code、Cursor、OpenAI Codex CLI、Gemini CLI、Qwen Code、VS Code(拡張機能)と幅広く、MCP に対応した環境であればほぼ導入できます。

主な機能

セマンティック検索とキーワード検索のハイブリッド

Claude Context は密ベクトル類似度と BM25 キーワードマッチングを組み合わせたハイブリッド検索を実装しています。「認証周りの処理」のような意味的な問いかけも、関数名や変数名での検索もどちらも機能します。

AST ベースのコードチャンキング

単純な行数での分割ではなく、AST(抽象構文木)を使ってコードを解析します。関数・クラス・モジュール単位で分割するため、各チャンクが意味的に完結した単位になります。不完全なコード断片が渡されて AI が混乱するという問題を防ぎます。

多言語・多プロバイダー対応

TypeScript、JavaScript、Python、Java、Go、Rust、C++、C#、PHP、Ruby、Swift、Kotlin、Scala など主要言語に対応します。エンベディングモデルは OpenAI のほか、VoyageAI、Ollama、Gemini から選択できます。Ollama を使うとローカル環境だけで完結させることも可能です。

導入に必要なもの

Claude Context を使うには以下が必要です。

  • Node.js 20 以上(24 未満)
  • Zilliz Cloud のアカウント(ベクトルデータベース用、無料プランあり)
  • OpenAI API キー(エンベディング用。Ollama 使用時は不要)

Zilliz Cloud は個人利用レベルであれば無料プランの範囲で試せます。Milvus をセルフホストする構成も可能で、すべてをローカルで完結させたい場合は Ollama とのセットアップが選択肢になります。

Claude Code への導入手順

ターミナルで以下のコマンドを実行するだけで MCP サーバーが登録されます。

claude mcp add claude-context \
  -e OPENAI_API_KEY=sk-your-openai-api-key \
  -e MILVUS_ADDRESS=your-zilliz-cloud-public-endpoint \
  -e MILVUS_TOKEN=your-zilliz-cloud-api-key \
  -- npx @zilliz/claude-context-mcp@latest

Cursor の場合は ~/.cursor/mcp.json に以下を追記します。

{
  "mcpServers": {
    "claude-context": {
      "command": "npx",
      "args": ["-y", "@zilliz/claude-context-mcp@latest"],
      "env": {
        "OPENAI_API_KEY": "your-openai-api-key",
        "MILVUS_ADDRESS": "your-zilliz-cloud-public-endpoint",
        "MILVUS_TOKEN": "your-zilliz-cloud-api-key"
      }
    }
  }
}

設定後、AI にコードベースのインデックス作成を指示するとベクトルデータベースへの登録が始まります。以降の質問では、AI が自動で関連コードを検索して回答の材料にします。

類似ツールとの位置づけ

コンテキスト問題へのアプローチは複数あります。Context7 はライブラリのドキュメント取得を得意とし、Serena はシンボルベースの静的解析で関連コードを特定します。

Claude Context が異なるのは、コードベース全体をベクトルデータベースにインデックスして意味的に近いコードを検索できる点です。「何を渡せばよいかを考えなくてよい」という体験を提供します。特に事前に構造を把握しにくい他人のコードベースや、長期運用で大きくなったプロジェクトで効果を発揮します。

まとめ

Claude Context は、コードベース全体を意味検索のインデックスに変えることで、AI コーディングツールのコンテキスト制限という根本的な制約に正面から対処するツールです。

Zilliz Cloud と OpenAI API を使う構成が最も手軽ですが、Ollama とセルフホスト Milvus を組み合わせればクラウド依存なしに使えます。大規模プロジェクトで AI コーディングツールの精度に限界を感じているなら、導入を検討する価値があります。