フォトグラファーもデザイナーも、今のワークフローはアプリをまたぐことが前提になっている。Capture Oneで選んだ写真を加工し、DaVinci Resolveで動画に落とし込む——その度にファイルをエクスポートし、再リンクし、ときにはレイヤーを作り直す手間がかかる。
Affinity 3.2はその摩擦を正面から取り除くアップデートだ。2026年4月、Canva Create 2026で発表されたこのリリースには、ツール間の連携強化、ブランド管理機能の統合、そしてClaudeによる自動化が含まれている。
この記事でわかること
- Canva Brand SystemがAffinityに統合された意味
- Capture One・DaVinci Resolveとのシームレスな連携
- Claude AI Connectorでできる自動化の中身
- Cavalryが無料になった経緯と活用場面
ブランドの崩れが生産性を奪う
チームで制作物を量産していると、承認済みのカラーやフォントが途中で崩れることがある。誰かが手元のパレットを使い、別の誰かが異なるフォントファイルを参照する。小さなずれが積み重なり、修正ループに時間を取られる。
Canva Brand SystemをAffinityに統合したのは、この問題への直接的な回答だ。承認済みのカラー、フォント、画像素材、ブランドボイスをAffinity上で直接参照できるようになった。
作成したアセットはそのままCanvaに持ち出せる。Canva側のBrand Kitに入れてテンプレートで管理し、チーム全体に展開する流れが一本化される。ロゴが伸び、色がずれ、毎回同じ確認をする手間から解放される。
ツール間の移動がワンクリックになる
Capture One → Affinity
これまでCapture Oneから画像をAffinityに持ち込むにはエクスポートが必要だった。3.2ではCapture OneがAffinityのネイティブ形式.afをサポートしたことで、ワンクリックでAffinityを開ける。
レイヤー、マスク、メタデータ、アノテーション、ガイドがそのまま引き継がれる。再構築も手直しも不要で、画像の選定から精密な合成・レタッチへ直接進める。
Affinity → DaVinci Resolve
DaVinci Resolveでもネイティブの.afファイルをサポートした。AffinityのデザインをResolveのタイムラインにそのままドロップできる。
さらに、Affinity側でデザインを更新して保存すると、DaVinci Resolveが自動で変更を反映する。再エクスポートも再リンクも不要で、デザインと映像の作業を並行して進められる。
Claude連携で繰り返し作業を自動化する
「バッチ処理」「レイヤーのリネーム」「印刷用プリセットの適用」——これらはどれも手を動かすだけで判断を要さない作業だ。しかしこれらに時間を取られると、クリエイティブな作業への集中が削られる。
AffinityのAI Connector for Claudeはこの問題に対応する。手順を自然言語で説明すると、ClaudeがそれをスクリプトとしてAffinityのスクリプトパネルに保存する。次回からはそのスクリプトを呼び出すだけでいい。
Affinityに標準搭載されていないツールやワークフローをゼロから作ることもできる。現在はベータ期間中のため無料で試せる。
Cavalryが無料になった
モーションデザインツールの「Cavalry」が、Canvaアカウントがあれば無料で使えるようになった。
Cavalryはプロダクション現場で使われてきた2Dモーション・アニメーションツールで、手続き型・システム型のアプローチで知られる。これまでは有料ライセンスが必要だったが、Canvaアカウントがあれば追加費用なしでアクセスできる。
写真編集、ベクターデザイン、レイアウト、モーションをCanvaの1アカウントでカバーできる形になった。
変わるのは個別機能ではなくワークフロー全体
Affinity 3.2の変更点を並べると、個別の機能追加ではなくクリエイティブワークフロー全体を一本化しようとする意図が見える。
Canva Brand System統合でブランドの一貫性が担保され、Capture OneとDaVinci Resolveとの連携でファイルの往復が減り、Claude AI ConnectorでAffinityの操作を自動化できる。Cavalry無料化はモーション領域まで同じアカウントで完結させる布石だ。
Affinityは個人向けには無料で提供されている。詳細な変更点は公式ブログのリリースノートで確認できる。
