macOSで .7z ファイルを扱うとき、地味にストレスを感じたことはないだろうか。Windowsなら7-Zipを入れれば済む話だが、macOSにはネイティブGUIの7-Zipが存在しなかった。Kekaやコマンドラインで凌いできたユーザーに、新たな選択肢が登場した。
ShichiZip は、Swiftで書かれたmacOSネイティブの7-Zipデリバティブだ。「The missing 7-Zip derivative intended for macOS」を掲げ、2026年4月にv0.0.3をリリース。GitHubでは公開から短期間で579スターを集め、SNSでも注目を浴びている。
この記事でわかること
- ShichiZipとは何か、なぜ注目されているのか
- 既存ツール(Keka・The Unarchiver)との違い
- 導入方法とビルド手順
macOSの7-Zip事情はずっと不便だった
7-Zipは圧縮率の高さで定評がある。LZMA2圧縮を使った .7z 形式は、同等のZIPファイルと比べて30〜70%小さくなることもある。Windowsでは定番の無料ツールだが、macOSでは長らくネイティブGUIが提供されてこなかった。
macOSユーザーがこれまで取れた手段は、大きく3つだった。
- The Unarchiver : 解凍専用。50以上のフォーマットに対応するが、圧縮(アーカイブ作成)はできない
- Keka : 圧縮・解凍の両方に対応。内部でp7zipを利用しており、7z形式も扱える。ただし7-Zipそのものではない
- Homebrew経由の7zz : コマンドラインツール。GUIはなく、ターミナル操作が前提
どれも「macOSネイティブの7-Zip」とは呼べなかった。
ShichiZipが解決すること
ShichiZipは、7-Zipのコードベースをベースにした正真正銘のデリバティブだ。KekaのようにラッパーとしてCLIを叩くのではなく、7-Zipのライブラリを直接組み込んでSwiftのUIで包んでいる。
技術スタック
| 言語 | 割合 | 役割 |
|---|---|---|
| Swift | 76.8% | アプリケーション本体・UI |
| Objective-C++ | 13.1% | 7-Zipライブラリとの統合 |
| Objective-C | 7.3% | macOS固有のAPI呼び出し |
| Makefile | 1.8% | ビルド自動化 |
全体の約77%がSwiftで書かれており、macOSのネイティブ体験を重視した設計であることがわかる。
2つのビルドバリアント
ShichiZipは2種類のビルドを提供している。
- Mainline版 : 標準の7-Zip実装をベースにしたバージョン
- Zstandard版 : 圧縮アルゴリズムにZstandard(zstd)を採用したフォーク版。Facebookが開発したzstdは、圧縮速度と圧縮率のバランスに優れる
用途や好みに応じて選べる構成になっている。
既存ツールとの比較
| 項目 | ShichiZip | Keka | The Unarchiver |
|---|---|---|---|
| 圧縮 | 対応 | 対応 | 非対応 |
| 解凍 | 対応 | 対応 | 対応 |
| 7-Zipベース | 直接統合 | p7zip経由 | 独自実装 |
| ネイティブSwift | はい | 一部 | いいえ |
| ライセンス | LGPL v2.1 | BSD 3-Clause | LGPL v2.1 |
| 価格 | 無料 | 無料(App Store版は$4.99) | 無料 |
ShichiZipの最大の特徴は、7-Zipライブラリを直接統合している点だ。Kekaはp7zipをバックエンドとして利用しているのに対し、ShichiZipは7-Zipのコードをネイティブに組み込んでいる。
導入方法
現時点ではHomebrew等のパッケージマネージャには登録されておらず、ソースからビルドする必要がある。
Mainline版のビルド
make lib-mainline
xcodebuild -project ShichiZip.xcodeproj -scheme ShichiZip -configuration Debug -arch arm64 build
Zstandard版のビルド
make lib-zs
xcodebuild -project ShichiZip.xcodeproj -scheme ShichiZip-zs -configuration Debug -arch arm64 build
Apple Silicon(arm64)向けのビルドコマンドになっている。Intel Macの場合は -arch x86_64 に変更する。
GitHubのReleasesページからビルド済みバイナリが配布されている可能性もあるため、ソースビルドが面倒な場合はそちらを確認するとよい。
まだ若いプロジェクト、だからこそ注目
ShichiZipは2026年4月時点でv0.0.3。コミット数は173、イシューは3件と、まだ初期段階のプロジェクトだ。本番環境で大量のファイルを扱うには早いかもしれない。
ただし、macOSに「ネイティブの7-Zip体験」を持ち込もうとするアプローチは、多くのユーザーが待ち望んでいたものだ。SNSでは「macOSにはずっとまともな7-Zipネイティブ版がなかった」「The Unarchiverは放置気味、Kekaも完璧ではない」といった声とともに拡散されている。
LGPLv2.1ライセンスのオープンソースプロジェクトであり、コントリビューションも受け付けている。Swiftで圧縮ツールを書きたい開発者にとっても、参考になるコードベースになるだろう。