ChatGPTのデフォルト推論モデルがGPT-5.4 Thinkingに切り替わり、小型モデルGPT-5.4 miniがAPI・Codex・ChatGPTへ同時展開された。GPT-5.2 Thinkingは2026年6月5日に廃止済みで、開発者は性能・速度・料金の三軸で次のモデルを選ぶ段階に入っている。

この記事でわかること

  • GPT-5.2 ThinkingからGPT-5.4 Thinking・miniへ何が変わったか
  • GPT-5.4 miniのベンチマーク数値と料金体系
  • API・Codex・ChatGPTそれぞれでの利用方法と移行の注意点

GPT-5.2 Thinkingは6月5日に廃止された

2026年3月5日、OpenAIはGPT-5.4の発表と同時に、ChatGPTのPlus・Team・ProプランでGPT-5.2 ThinkingをGPT-5.4 Thinkingに置き換えた。GPT-5.2 Thinkingはモデルピッカーの「Legacy Models」に3か月間残され、2026年6月5日をもって完全に廃止された。今日(6月20日)時点では、有料ユーザーがGPT-5.2 Thinkingを選ぶ手段はない。

GPT-5.4 Thinkingは、これまで別系統だったGPT-5.3-Codexのコーディング能力をメインライン推論モデルに統合した初のモデルだ。ChatGPT上のコンテキストウィンドウはGPT-5.2 Thinkingと同一のまま据え置かれている。Enterprise・Eduプランは管理画面から早期アクセスを有効化できる。

APIではgpt-5.4(入力$2.50/100万トークン、出力$15/100万トークン)とgpt-5.4-pro(入力$30、出力$180)が提供中だ。GPT-5.2(入力$1.75、出力$14)より単価は上がったが、OpenAIはGPT-5.2比でトークン消費量の削減により実コストが相殺されると説明している。

GPT-5.4 miniは2倍以上の速度で小型モデルを刷新

https://openai.com/index/introducing-gpt-5-4-mini-and-nano/

2026年3月17日、OpenAIはGPT-5.4 miniとnanoを公開した。miniはGPT-5 mini比で2倍以上の推論速度を実現しつつ、コーディング・推論・マルチモーダル理解・ツール利用の各領域で大幅な性能向上を謳っている。

OpenAIが公表したベンチマーク(いずれもreasoning_effortをxhighに設定)では、SWE-Bench Pro(公開タスク)でGPT-5.4 miniは54.4%、GPT-5 miniは45.7%、フルサイズのGPT-5.4は57.7%を記録した。miniは上位モデルに迫る精度を維持している。コンピュータ操作ベンチマークOSWorld-Verifiedでは、miniが72.1%、GPT-5 miniが42.0%、GPT-5.4が75.0%と、前世代miniからの跳躍が顕著だ。

料金は入力$0.75/100万トークン、出力$4.50/100万トークン。コンテキストウィンドウは40万トークン。テキスト・画像入力、ツール利用、関数呼び出し、Web検索、ファイル検索、コンピュータ操作、スキルに対応する。同時公開のGPT-5.4 nano(入力$0.20、出力$1.25)はAPI限定で、分類・データ抽出・軽量サブエージェント向けだ。

開発者が押さえるべき3つの展開先

API

モデル名はgpt-5.4-minigpt-5.4-nano。大量リクエストを回すパイプラインでは、miniの高速推論が1リクエストあたりの計算秒数を短縮し、スループット向上に直結する。一方、トークン単価はGPT-5 mini(入力$0.25、出力$2.00)から入力3倍・出力2.25倍に値上がりしている。速度改善と精度向上が、値上げ分を相殺するかはワークロード次第だ。

OpenAIの廃止スケジュールでは、gpt-5.1-codex-minio4-miniの推奨後継がgpt-5.4-miniに指定されている。2026年7月23日のシャットダウン対象に含まれるモデルを使っているチームは、miniへの切り替え期限が迫っている。

Codex

Codexアプリ・CLI・IDE拡張・Webの全チャネルでGPT-5.4 miniが利用可能だ。GPT-5.4のクォータの30%消費で済むため、単純なコーディングタスクをminiに回すとコストを約3分の1に抑えられる。CodexはGPT-5.4が計画・調整を担い、コードベース検索やファイルレビューなどをminiサブエージェントに委譲する構成も公式に推奨されている。

ChatGPT

Free・Goユーザーは「+」メニューのThinking機能経由でGPT-5.4 miniにアクセスできる。Plus以上のユーザーは、GPT-5.4 Thinkingのレート制限に達した際のフォールバック先としてminiが自動選択される。

移行時に検証すべきポイント

ベンチマーク数値は方向性の指標にとどまる。SWE-Bench Proには公開・held-out・商用の3分割があり、OpenAIが公表しているのは主に公開タスクのスコアだ。商用分割の生データはベンチマーク作者が未公開のため、第三者による再現検証はできない。OSWorld-Verifiedについても、OpenAI独自の検証サブセットをどう構成したかは詳細が限定的だ。

本番移行では、社内の実タスクをGPT-5.4 miniとGPT-5.4 Thinkingの両方に流し、正答率・修正工数・レイテンシを比較するのが確実だ。レート制限・コンテキスト長・ツール呼び出し設定を本番と同条件に揃えたうえで、ピーク時のキュー待ち時間も計測すべきだ。非クリティカルなパスからminiを投入し、高リスク業務はGPT-5.4 Thinkingを維持する段階的移行が現実的だ。

GPT-5.2 Thinkingの廃止はChatGPT利用者への強制移行だったが、APIでgpt-5.2をピン留めしているチームには別の廃止スケジュールが適用される。いずれにせよ、コーディング・エージェント・大量推論の各ワークロードで「大型推論モデルか高速miniか」の棲み分けを決める時期に来ている。