同じ条件でChatGPT・Claude・GeminiにChrome拡張を作らせたら、説明の分かりやすさと完成度のバランスが大きく異なりました。

この記事では、HowToGeekのRich Hein氏が行った実践比較の内容を整理します。プロンプト管理用のChrome拡張を題材に、無料枠で使える各サービスの上限モデルでどこまで作れるかを追います。

この記事でわかること

  • 3製品に課した共通の開発条件と評価基準
  • ChatGPT・Gemini・Claudeそれぞれの強みと弱み
  • 実用ツールとして最も近づいたのはどれか
  • 読者が自分で試すときの判断ポイント

なぜプロンプト管理のChrome拡張なのか

AIチャットを日常使いするほど、データ分析やリサーチ、文章整形などで使い回したいプロンプトが増えます。過去の会話履歴から探し直すのは手間がかかり、ブラウザ上で保存・整理・再利用できる仕組みが必要になります。

Rich Hein氏はこの課題を解決するため、Chrome拡張の自作に3大AIチャットを使いました。新機能の発表ではなく、実際に手を動かして比較したレビューです。

3製品に課した共通条件

公平な比較のため、3製品すべてに同じプロジェクト概要を渡しました。条件は次のとおりです。

  • ChromeのManifest V3形式を使う
  • HTML・CSS・JavaScriptとブラウザのローカルストレージのみで構成する
  • アカウント連携、サーバー、Chrome Web Store公開は不要
  • 最低限、タイトル付きでプロンプトを保存し、ポップアップに一覧表示、クリップボードへコピー、編集、削除ができること

Manifest V3は、Chrome拡張の設定を記述するmanifest.jsonを起点に動く現行の仕様です。HTML・CSS・JavaScriptで作れるため、AIチャット上でも比較しやすい題材になります。

評価はコードが動くかどうかだけではありません。初回回答の有用性、初心者への案内、ファイル一式の完成度、細部の処理、指示に従えるかという安心感も見ました。

使用したモデル

有料版をすべて契約していないため、各サービスで無料利用できる上限のモデルでテストしています。

  • ChatGPT:GPT-5.5(無料枠)
  • Claude:Claude Sonnet 4.6
  • Gemini:Gemini 3.5 Flash

ChatGPT:5分で動く試作品が手に入る

https://chat.openai.com/

ChatGPTは、プロンプトから動く拡張機能まで約5分で到達しました。必要なファイル構成の提示、手順の説明、プロトタイプ化の速さが際立っています。

保存・一覧表示・コピー・削除は問題なく動作しました。一方で、各コード断片が何をしているかの技術解説は薄めです。拡張機能の仕組みを理解しながら作りたい初心者には、もう一段の説明があるとよかったとRich Hein氏は述べています。

保存したプロンプトをアクティブな入力欄へ直接挿入する機能は、3製品とも初版では未実装でした。ChatGPTはコピーとペースト前提のワークフローです。ただし、セキュリティや使い勝手を踏まえた将来の改善案は具体的に示されています。

総合すると、最初の一歩を最も速く踏める印象です。

Gemini:構成説明が最も読みやすい

Geminiも速く応答し、色分けされたコード表示がエディタに近い見た目でした。ファイルごとの役割を追いやすく、ディレクトリ構成の説明は3製品の中で最も丁寧です。

Chromeへ未パッケージ拡張を読み込む手順も、専門用語を避けた平易な説明になっています。拡張機能を初めて触る人にとって、この部分は大きな助けになります。

基本機能は要件どおり動作しました。改善提案の「何を・なぜ・どう変えるか」という説明も明快です。一方、ChatGPTほど踏み込んだ改善案は少なく、入力欄への直接挿入やセキュリティ面の提案も控えめでした。

プロジェクトの全体像を掴む用途では、Geminiが最も整理された回答を返したと評価されています。

Claude:説明は少ないが、完成度は最高

https://claude.ai/

Claudeは3製品の中で最も時間がかかりました。回答形式も異なり、個別ファイルのコードを並べるのではなく、拡張機能一式をZIPで渡すアプローチです。ファイル構造の段階的な解説は、他2製品より少なくなります。

ただし、求められた保存・表示・コピー・削除に加え、検索とタグ付けまで実装されています。プロンプトが増えたあとに困る「探す・分類する」問題まで先回りしている点が大きいです。

ポップアップの案内文、UIの整理、ダークモードも備わっており、デモ止まりではなく実際に使いたくなる完成度に近いとRich Hein氏は評価しています。説明量は最も少なく、出力を信頼して進める必要があります。追加改善を尋ねると、長い改善リストと理由付きの解説が返ってきて、セットアップ時の不足は一部補われます。

総合評価:課題は「作る」より「使い続ける」

今回の課題は、Chrome拡張の仕組みを学ぶことだけではありません。プロンプトを保存して日常使いできるツールの第一版を作ることでした。

製品 強み 弱み
ChatGPT 初回から動く試作品まで最短(約5分) コードの技術解説が薄い
Gemini 構成説明と読み込み手順が分かりやすい 改善提案の踏み込みが控えめ
Claude 検索・タグ・UIまで備えた完成度 セットアップ説明が少ない

Rich Hein氏の勝者はClaudeです。ChatGPTは初心者向けの案内が最も追いやすく、Geminiはプロジェクトの見通しを立てやすい一方、実用ツールとして残したいのはClaudeの成果物でした。

Claude版も課題は残ります。ストレージ処理の改善、削除確認ダイアログのアクセシビリティ、プロンプトのエクスポート・インポートなどが挙げられています。それでも、基本機能だけの演習課題ではなく、保存数が増えたあとの運用まで見据えた設計になっています。

読者が試すときの判断基準

3製品の「最強」を一つに決めるより、目的で選ぶほうが近道です。

  • とにかく早く動くものを作りたい → ChatGPT
  • ファイル構成を理解しながら進めたい → Gemini
  • そのまま使える完成度を優先したい → Claude

AIコーディング支援は、コードが生成できるかどうかの勝負から、依頼した問題をどれだけ理解して解くかの勝負へ移っています。今回の比較でも、動くコードを返すだけでは差が出にくく、検索・タグ・UIといった運用面の設計で差が開きました。

Chrome拡張の開発自体は、Google公式ドキュメントでもHTML・CSS・JavaScriptで構築できると説明されています。未パッケージ拡張として読み込めば、ストア公開なしで手元のブラウザですぐ試せます。

同じプロンプトを3製品に投げ、出力の完成度と説明の質を並べて見る。それだけでも、次にどのAIチャットを開くかの判断材料になります。