カンファレンスの公式スケジュールを開いた瞬間、参加枠の選定だけで30分が消える——そんな経験はありませんか。
この記事では、AI Engineer World’s Fair 2026で公開されたComposio製のセッション選定エージェント「aie.sh」の仕組みと使い方を解説します。
この記事でわかること
- AI Engineer World’s Fair 2026の規模と参加者が直面する課題
- Composioエージェントがセッション検索からカレンダー登録まで担う流れ
- aie.shで試せる具体的なプロンプト例と技術的な裏側
567枠・5トラック並行で選べない問題
AI Engineer World’s Fair 2026は、2026年6月29日から7月2日までサンフランシスコのMoscone Westで開催される、AIエンジニア向けの大規模カンファレンスです。公式スケジュール(参考)によると、4日間で567セッションが組まれています。ワークショップからメインステージ、エキスポまで会場が分散し、同じ時間帯に複数のトラックが並行進行します。
ComposioのSarah Simionescu氏は、X(旧Twitter)で「500を超えるイベントが5つの並行トラックに散らばっている。どれに行くべきかどう判断するのか」と課題を提起しました(参考)。興味分野がエージェント構築と評価(Evals)に偏っている参加者なら、候補はさらに絞れますが、それでも同時刻の衝突は避けられません。手作業でスケジュール表を読み比べる方式は、カンファ当日の貴重な時間を消費します。
Composioエージェントが担う解決策
Sarah Simionescu氏とComposioのデザインエンジニアMalay Vasa氏が、Composio上にセッション選定エージェントを構築しました。エージェントは参加者の関心に合うセッションを検索し、選んだ枠をGoogleカレンダーへ直接追加します。公開デモ動画は約51秒で、自然言語の指示からカレンダー反映までの一連の流れを示しています(参考)。
aie.shの画面では、次のようなプロンプト例が提示されています。
- 「Find product-agent talks」——プロダクト・UX・エージェント向けUIのセッションを抽出
- 「Show design engineering」——ビジュアルシステムや生成UIに関する枠を表示
- 「Find Composio sessions」——登壇企業名やセッション詳細からComposio関連を検索
- 「Plan my calendar」——関心に沿った短いリストを返し、Googleカレンダーへ追加可能な形で提示
「Plan my calendar」がこのエージェントの核心です。567枠すべてを人間が読み切るのではなく、関心キーワードから短いリストへ絞り込み、カレンダー連携まで一気通貫で処理します。
Composioがエージェントに与える「実行層」
Composioは、LLMエージェントと外部アプリをつなぐ統合プラットフォームです。公式ドキュメントでは500以上のプリビルトツールキットを提供し、OAuth認証やAPI呼び出しの定型処理を肩代わりすると説明されています(参考)。
aie.shのような構成では、エージェントの「頭脳」部分(どのセッションが適切かの判断)と「手足」部分(検索APIの呼び出し、カレンダーへのイベント作成)を分離できます。Composio SearchツールキットのCOMPOSIO_SEARCH_EVENTは、都市名・日付・イベント種別を指定してカンファレンスや勉強会を検索する機能を持ちます(参考)。ロケーション検索、日付フィルタ(today、next_weekなど)、仮想イベントの絞り込みに対応し、100以上の言語・国コードでも結果を取得できます。
セッション情報の取得に加え、Googleカレンダーへのイベント登録にはComposioのカレンダー連携が使われます。ComposioはLangChain、OpenAI Agents SDK、Google ADKなど複数のエージェントフレームワーク向けにMCP(Model Context Protocol)サーバーを提供しており、Tool Router経由でタスクに応じたツールを動的に読み込めます(参考)。開発者は個別のRESTクライアントを書かずに、エージェントから「検索→判断→カレンダー登録」のパイプラインを組み立てられます。
開発者にとっての示唆
この事例が示すのは、カンファレンス運営側の公式スケジュールPDFやWebページが存在しても、参加者個人の関心に合わせた「自分用スケジュール」は別問題だという点です。567枠を一覧表示するだけでは意思決定コストは下がりません。自然言語で「エージェント評価のワークショップを探して」「木曜夕方の枠を空けて」と指示し、短いリストとカレンダー反映まで自動化する設計が、実用的な価値を生んでいます。
Sarah Simionescu氏自身も7月2日(木)のExpo Stage 2 NWで「Dashboards are dead: AX is the new UX, and how to build for agents.」と題したセッションに登壇予定です(参考)。ダッシュボードではなくエージェント体験(AX)を前提にしたUI設計を語る内容で、aie.shの設計思想とも通じるテーマです。
大規模イベントの参加者、あるいは社内勉強会やミートアップの候補整理に悩む開発チームにとって、Composioの検索ツールとカレンダー連携を組み合わせたエージェントは、すぐに真似できるパターンです。イベントデータの所在と、参加者が本当に欲しい出力(短いリスト+カレンダー反映)を先に定義し、Composioの実行層に委ねる——この順序が、aie.shの成功要因と言えます。