AIエージェントに「自分専用のPC」を与えて、24時間365日動かし続けられる。そんな機能が、誰でも使えるようになりました。
Meta傘下のAIエージェント「Manus」が2026年4月30日、新機能「Cloud Computer」を全ユーザーに一般開放しました。従来のManusはタスクごとに一時的なサンドボックスを割り当てる設計でしたが、Cloud Computerはセッションを閉じてもファイルや環境が消えない常時稼働のクラウドマシンです。
この記事でわかること
- Cloud Computerと従来のサンドボックスの違い
- 具体的にできること(Bot運用・DB管理・定期実行)
- 3つのプランと始め方
- 技術者でなくても使える理由
従来のサンドボックスと何が違うのか
https://manus.im/blog/manus-cloud-computer
Manusにはもともと「Sandbox」というクラウド仮想マシンが備わっていました。タスクを実行するたびに専用のUbuntu環境が立ち上がり、ファイル操作やコード実行が可能です。ただし、セッションが一定期間(無料ユーザーは7日、Proユーザーは21日)使われなければ環境が回収され、中間ファイルは消えます。
Cloud Computerは、この制限を取り払った上位環境です。主な違いは2つあります。
電源が切れない。 従来のサンドボックスはタスク完了後にスリープし、やがて回収されます。Cloud Computerは24時間稼働し続けるため、SlackやDiscordのBotを月曜日にセットアップすれば、金曜日もそのまま応答し続けます。
ファイルと環境が残る。 通常のManusチャットは毎回白紙の状態から始まります。Cloud Computerでは、前回インストールしたツールや作成したファイルがそのまま残ります。先週作ったデータベースに今週データを追加し、来月レポートを生成する、といった継続的な運用が成り立ちます。
できることの具体例
Cloud Computerが想定する用途は、従来のサンドボックスでは難しかった「常時稼働」が必要な作業です。
24時間Bot運用。 Slack・Discord・WhatsApp・TelegramなどのBotを構築し、Cloud Computer上で常駐させられます。顧客対応Botやチーム向けの日次ニュース要約Botなどが典型的な活用例です。
永続データベース。 MySQLなどのデータベースをCloud Computer上に構築し、週次で売上データを蓄積し続けるような使い方ができます。過去のデータがすべて残るため、時系列でのトレンド分析も可能です。
定期スクレイピングとレポート。 毎朝4時に競合サイトの価格をチェックし、スプレッドシートにまとめるといったスケジュール実行もCloud Computerの得意領域です。
OSSツールのセルフホスト。 WordPress、Metabase、Home Assistant、Plausibleなど、オープンソースツールをCloud Computer上にインストールして運用できます。サーバー構築の知識は不要で、Manusに自然言語で指示するだけです。
3つの環境の使い分け
Manusは現在、3つの実行環境を提供しています。
Temporary Sandboxは、Pythonスクリプトの実行やドキュメント作成、Webアプリの構築など一回完結の作業向けです。タスクが終われば環境は回収されます。
Manus Desktopは、ローカルマシン上のファイル操作やアプリ制御に使います。2026年3月にリリースされた機能で、ユーザーの物理PCを直接操作します。
Cloud Computerは、24時間稼働が必要な作業に特化しています。Bot運用、永続DB、定期実行ジョブなどが対象です。
Manusはタスクの内容に応じて、サンドボックスとCloud Computerのどちらを使うかを自動で判断します。ユーザーが手動で切り替える必要はありません。自分でセットアップする場合は、Settings > My Computerから作成できます。
プランと料金
Cloud Computerには3段階のプランがあります。
Basicは、シンプルなPythonスクリプトの常時実行向けです。Standardは、Webサイトの公開やAPIサービスの運用に適しています。Advancedは、チーム向けデータベースなど大規模な用途を想定しています。
リージョンとストレージ容量はプラン選択時に指定できます。Manus自体の料金体系はクレジット制で、Freeプラン(月間クレジット限定)、Proプラン、Teamプランが用意されています。
Cloud Computerへのアクセス方法は、Manusダッシュボードのウェブターミナルか、ローカルターミナルからのSSH接続の2通りです。OSはUbuntuで、GUIデスクトップには現時点で対応していません。
コードを書けなくても使える理由
Cloud Computerの特徴は、技術者でなくても24時間稼働のサーバーを持てる点です。従来、常時稼働のプログラムを動かすにはAWSやVercelでサーバーを借り、OSを設定し、コードを書く必要がありました。
Cloud Computerでは、Manusに「毎朝ニュースを要約してSlackに投稿するBotを作って」と伝えるだけで済みます。Manusがコードを書き、環境を構築し、デプロイまで行います。サーバー管理の知識は必要ありません。
ただし、裏側はUbuntuのコマンドライン環境です。Manusの自然言語指示で大半の操作はカバーできますが、細かいカスタマイズや障害対応ではターミナル操作が必要になる場面も出てきます。
支払いを止めるとどうなるか
支払いを停止すると、Cloud Computer上のファイルは削除されます。ただし、Manusが作成したレポートやスプレッドシートなどの最終成果物は、チャット履歴に残る仕組みです。長期運用を前提にする場合は、重要データのバックアップ手段を別途確保しておくのが安全です。
まとめ
Cloud Computerは、AIエージェントの使い方を「一回きりの作業」から「継続的な運用」へ広げる機能です。AWSの知識がなくても24時間稼働のBotやデータベースを持てるのは大きな変化ですが、コマンドライン限定という制約やデータ永続性のリスクは押さえておく必要があります。常時稼働の自動化を試したい人にとって、最も手軽な選択肢の一つです。