メール確認、資料の下書き、会議メモの要約、SNS投稿の作成。毎日繰り返す作業を、Geminiに丸ごと任せられるとしたらどうでしょうか。

GoogleのGeminiには「Gems(ジェム)」というカスタム指示の保存機能があります。あらかじめ役割・口調・出力形式を設定しておけば、毎回同じプロンプトを入力する必要がなくなります。さらにGoogle Workspace連携を有効にすると、GeminiがGmail・Googleドライブ・カレンダーなどのデータを直接参照して動きます。この2つを組み合わせた「秘書Gem」が、個人の業務自動化ツールとして注目されています。

この記事でわかること

  • Gemsの仕組みとカスタム指示の設計ポイント
  • Google Workspace連携の有効化手順
  • 「秘書Gem」の具体的な活用パターン4つ
  • 料金プランごとの利用範囲

Gemsとは何か

https://gemini.google/jp/overview/gems/?hl=ja

Gemsは、Geminiに特定の役割を与えて保存する機能です。ChatGPTの「GPTs」やClaudeの「Projects」に近い仕組みで、指示内容をGem単位で切り替えて使います。

通常のGeminiでは、毎回チャットの冒頭で「あなたは○○の専門家です。以下のルールに従ってください」と書く必要があります。Gemsを使えば、その指示を一度保存しておくだけで、以降はGemを選択するだけで同じ設定が適用されます。

Gemごとに設定できる項目は以下の通りです。

  • 名前: Gemの識別名(例:「秘書」「議事録担当」)
  • カスタム指示: ペルソナ・タスク・コンテキスト・出力形式を自然言語で記述
  • 知識ファイル: PDF・Word・Googleドキュメントなどをアップロードして参照させる

指示の記述に迷ったら、指示欄に1〜2文で目的を書いて「Geminiを使用して指示を書き換え」ボタンを押すと、Gemini自身が指示を拡張してくれます。

Google Workspace連携を有効にする

https://support.google.com/gemini/answer/15229592?hl=ja

「秘書Gem」の本領を発揮するには、GeminiとGoogle Workspaceの接続が必要です。接続すると、GeminiがGmail・Googleドライブ・カレンダー・ToDoリスト・Keepの情報を直接読み書きできるようになります。

設定手順は3ステップです。

  1. gemini.google.com を開く
  2. 左下の「設定とアプリ」アイコンをクリックし、「アプリ」を選択
  3. 「Google Workspace」のスイッチをONにする

初期状態ではOFFになっている場合が多いため、最初に確認してください。なお、この連携を使うには「アクティビティの保存」がONになっている必要があります。

連携が有効になると、Geminiのチャット内で「@Gmail」「@ドライブ」「@カレンダー」のようにメンション形式で各サービスを呼び出せます。Gem側の指示文にもこの呼び出しを組み込めるため、Gemを開いてプロンプトを送るだけでGmailの内容確認からカレンダーの予定追加まで一気通貫で実行できます。

「秘書Gem」の作り方

Gemの作成手順は以下の通りです。

  1. gemini.google.com を開く
  2. 左側メニューの「Gemを表示」→「Gemを作成」をクリック
  3. 名前を入力(例:「秘書」)
  4. カスタム指示を記述(後述のテンプレートを参考に)
  5. 必要に応じて知識ファイルをアップロード
  6. 右側のプレビューで動作を確認し、「保存」をクリック

カスタム指示のポイントは、Google公式が推奨する4つの観点で書くことです。

  • ペルソナ: 「あなたは私の業務秘書です。日本語で、ですます調で回答してください」
  • タスク: 「メールの要約、会議準備資料の作成、SNS投稿文の生成を担当します」
  • コンテキスト: 「私はIT企業のマーケティング担当です。主にBtoBのSaaS製品を扱っています」
  • 形式: 「メール要約は箇条書き3行以内。SNS投稿はX向けに140文字以内で作成してください」

この4項目すべてを埋める必要はありませんが、ペルソナとタスクは最低限含めると精度が大きく変わります。

活用パターン4選

パターン1:朝のメール整理

Gemに「@Gmailから未読メールを取得し、重要度順に並べて各3行で要約してください」と指示しておきます。朝一番にGemを開いてプロンプトを送れば、受信トレイを開かずにメールの全体像を把握できます。返信が必要なものだけピックアップして、返信文の下書きまで依頼することも可能です。

パターン2:会議前の資料準備

「@カレンダーから今日の会議予定を取得し、各会議のアジェンダと関連資料を@ドライブから探してまとめてください」という指示を設定します。会議名やプロジェクト名から関連ドキュメントを自動で引き当てるため、資料探しの手間が省けます。

パターン3:議事録の要約

会議後にメモや録音テキストをGemに貼り付けて、「決定事項・アクションアイテム・次回までの宿題」の3項目に整理させます。知識ファイルに議事録テンプレートをアップロードしておけば、毎回同じフォーマットで出力されます。

パターン4:SNS投稿の下書き

「以下のトピックについてX向けの投稿文を3パターン作成してください。トーンはカジュアルだが専門性を感じさせるものにしてください」と指示します。Gem側にブランドのトーン&マナーや過去の投稿例を知識ファイルとして追加しておくと、一貫性のある投稿文が生成されます。

料金プランと利用範囲

2026年5月時点のGemini個人向けプランは以下の通りです。

  • 無料プラン: Gemsの作成・利用が可能。ただしAIクレジットに上限あり(100クレジット)
  • Google AI Plus(月額1,200円): クレジット上限の緩和、Gemini 2.5 Proへのアクセス
  • Google AI Pro(月額2,900円): さらに大容量のクレジットと高度なモデルへのアクセス

無料プランでもGemsの基本機能は使えるため、まず試してみて、利用頻度が増えたら有料プランへの移行を検討するのが現実的です。Google Workspace(法人向け)でもGemini連携が利用でき、Business Standard以上のプランで対応しています。

注意点

Gemsには現時点でいくつかの制限があります。

まず、Gemがアクセスできるのは自分のGoogleアカウントに紐づくデータだけです。他のメンバーのGmailやカレンダーを横断的に参照する機能はありません。

知識ファイルのアップロードにも容量と形式の制限があります。大量のドキュメントを参照させたい場合は、Googleドライブ経由で追加する方が効率的です。

また、GemはGeminiアプリ内でのみ動作します。外部のSlackやNotionなどのツールとは直接連携しません。Google Workspaceの範囲内で完結するタスクに向いている点を理解して使い分けてください。

まとめに代えて

Gemsの本質は「プロンプトの再利用」です。毎回ゼロから指示を書く手間をなくし、Google Workspaceのデータに直接アクセスさせることで、Geminiを個人秘書として機能させられます。設定にかかる時間は10分程度。無料プランでも試せるため、まずは朝のメール整理から始めてみてください。