外出先からCopilotの作業を確認したい。席を離れている間にエージェントが止まっていた——そんな経験はないでしょうか。

2026年4月29日にリリースされたVisual Studio Code 1.118では、Copilot CLIセッションのリモート制御が実験機能として追加されました。スマートフォンやブラウザから進行中のセッションを操作でき、エージェント作業の中断を減らせます。さらに、6月の従量課金制移行を見据えたトークン効率化も複数導入されています。

この記事でわかること

  • Copilot CLIリモート制御の仕組みと使い方
  • エンタープライズ向けAI機能制限の内容
  • トークン消費を抑える5つの改善
  • 全ワークスペースで使えるセマンティック検索
  • チャット履歴を活用するChronicle機能

Copilot CLIをスマホから操作できるリモート制御

これまでCopilot CLIのセッションは、起動したマシンでしか操作できませんでした。エージェントが承認待ちで一時停止しても、PCの前に戻るまで作業が進みません。

1.118で追加されたリモート制御機能は、この制約を取り払います。GitHub.comまたはGitHubモバイルアプリから、進行中のCopilot CLIセッションの進捗確認・承認応答・作業の方向修正が可能です。

使い方は3ステップです。設定で github.copilot.chat.cli.remote.enabled を有効にし、Copilot CLIのチャットで /remote on と入力します。あとはGitHub.comやモバイルアプリからセッションにアクセスするだけです。/remote で状態確認、/remote off で無効化できます。

PCの前を離れても長時間タスクを止めずに済むため、エージェントにテスト実行やリファクタリングを任せる使い方と相性がよい機能です。

エンタープライズ向けAI機能の制限ポリシー

企業のIT管理者向けに、AI機能へのアクセスを組織単位で制限するポリシーが追加されました。ChatApprovedAccountOrganizations というデバイスポリシーを設定すると、承認されたGitHub組織のアカウントでサインインするまでチャットやCopilot機能が有効になりません。

従来は端末ごとの制御が中心でしたが、今回のポリシーはGitHub.com側のアカウントベースのルールをVS Codeに適用します。フェイルクローズ方式を採用しており、ポリシーの確認が完了するまでAI機能は表示されません。社外アカウントでの意図しないAI利用を防ぎたい組織に向けた機能です。

従量課金に備えるトークン効率化

2026年6月1日から、GitHub Copilotは従量課金制に移行します。VS Code 1.118では、トークン消費を抑えるための改善が複数まとめて導入されました。

プロンプトキャッシュの最適化

システムプロンプト・ツール一覧・会話履歴のキャッシュ再利用率が向上しました。キャッシュのブレークポイントをシステムプロンプ末尾・ツール末尾・直近のツール呼び出し・会話ターンの境界に固定し、セッション中のリクエストの93%以上がキャッシュから再利用されます。Anthropicモデルの場合、キャッシュヒット分は約10分の1の料金で課金されるため、長いエージェントセッションほど効果が大きくなります。

ツール検索ツール

常時読み込むツールを約30個のコアセットに絞り、残りは必要に応じて tool_search 経由で動的に取得する方式に変わりました。ツール定義がコンテキストを圧迫しなくなり、Anthropicモデルで最大20%のトークン削減が確認されています。今回のリリースでOpenAIモデル(GPT-5.4、GPT-5.5)にも対応が拡大されました。

エージェント専用の検索・実行ツール

新たに2つの専用ツールが追加されました。検索ツールはコードベースの探索を専用の小型モデルで処理し、メインのエージェントのコンテキストを消費しません。実行ツールはターミナルコマンドの実行と出力のフィルタリングを担当し、冗長なログ出力がトークンを浪費する問題を解消します。どちらも最大20%のトークン節約効果があると報告されています。

セマンティック検索が全ワークスペースに拡大

Copilotにコードの質問をしたとき、テキスト検索では用語の違いで関連コードを見逃すことがあります。たとえば「認証処理はどこ?」と聞いても、コード上の変数名が signInverifyCredentials であれば一致しません。

セマンティックインデックスは意味ベースで検索するため、この問題を解決します。これまではGitHubまたはAzure DevOpsのリポジトリに限定されていましたが、1.118からすべてのワークスペースで利用できるようになりました。初回のインデックス構築に数分かかる場合がありますが、以降は自動で維持されます。

加えて、githubTextSearch ツールも追加されました。GitHub上のリポジトリや組織全体に対してgrep形式の正確な文字列検索を実行できます。既存の githubRepo(セマンティック検索)と組み合わせることで、ワークスペース外のコードベースからも効率的に情報を取得できます。

Chronicleでチャット履歴を資産に変える

Copilotとの会話履歴は、作業記録としての価値があります。しかし過去のセッションを遡って「昨日何をしたか」を確認するのは手間がかかります。

Chronicle(実験機能)は、チャットのやり取りをローカルのSQLiteデータベースに記録します。セッションのメタデータ(ブランチ、リポジトリ、タイムスタンプ)、会話ターン、ツール経由で操作したファイル、参照したPR・Issue・コミットが保存されます。

3つのコマンドが用意されています。/chronicle:standup は直近24時間のセッションからスタンドアップレポートを生成します。/chronicle:tips は7日間の利用状況を分析してプロンプトやツールの使い方を改善するヒントを提示します。/chronicle [質問] は自由な自然言語でセッション履歴を検索できます。

利用するには github.copilot.chat.localIndex.enabled を有効にします。

その他の注目変更

OpenAIモデルでWebSocket接続に対応し、従来のHTTPリクエストと比べて12%の速度向上が確認されています。設定不要で自動的に適用されます。

サンドボックスのデフォルト読み取り権限も強化されました。これまで $HOME 配下のパスに自動で読み取りアクセスが付与されていましたが、実行するコマンドが必要とするファイルだけにアクセスが限定されるようになりました。

6月の従量課金前に確認しておくこと

1.118の変更の多くは、6月1日の従量課金制移行を意識した内容です。トークン効率化の設定は大半がデフォルトで有効になっていますが、chat.experimental.symbolTools.cacheStablegithub.copilot.chat.anthropic.cacheBreakpoints.lastTwoMessages など一部はオプトインが必要です。従量課金の影響を受けるチームは、移行前に設定を確認しておくことを推奨します。