Windows 95から変わらなかったあのダイアログが、ついに生まれ変わります。Microsoftは2026年5月1日、Windows 11の新しいモダンRunダイアログをInsiderプレビュービルドで公開しました。

この記事でわかること

  • 新Runダイアログで何が変わったか
  • 表示速度がレガシー版より速くなった理由
  • 有効化の手順と使い方
  • 廃止された機能と追加された機能

30年間変わらなかったRunダイアログが刷新

Win+Rで呼び出すRunダイアログは、パスの入力やツールの起動に欠かせないWindows標準機能です。しかしUIはWindows 95時代のまま据え置かれていました。今回のアップデートで、Fluent Designに準拠した外観に変更され、ダークモードにも対応しています。

開発を担当したのはWindows TerminalとPowerToysのチームです。公式ブログでClint Rutkas氏(Principal Product Manager)は、モダン化にあたって「既存のRunと同じパフォーマンスを維持しつつ、ミニマルなUIを保つ必要があった」と説明しています。

レガシー版より速い94msの表示速度

モダンUIは動作が遅い――そんな先入観を覆す結果が出ています。レガシーRunの表示速度は中央値で103msですが、新Runダイアログは94msです。

高速化を実現した技術的背景は、C#とWinUI 3の採用にあります。.NET AOT(Ahead-of-Time)コンパイルによってネイティブコードとして出力されるため、JITコンパイルのオーバーヘッドがありません。Microsoftはプラットフォーム全体の最適化にも取り組んでおり、この改善はRunだけでなくOS全体の効率向上にも寄与するとしています。

Browseボタン廃止とホームディレクトリショートカット追加

新Runダイアログでは、従来あったBrowseボタンが廃止されました。Microsoftが3500万ユーザーのサンプルで調査したところ、Browseボタンの使用率はわずか0.0038%でした。ほぼ使われていない機能を削ることで、UIをよりシンプルに保っています。

一方で新機能も追加されています。~\と入力すると、ユーザーのホームディレクトリに直接アクセスできます。LinuxやmacOSのターミナルで馴染みのある記法が、WindowsのRunダイアログでも使えるようになりました。また、履歴リストにアイコンが表示されるようになり、項目の識別がしやすくなっています。

PowerToysのCmdPalが土台

新Runダイアログの土台は、PowerToysのCommand Palette(CmdPal)です。CmdPalはもともとPowerToys Runの次世代版としてハッカソンで生まれたプロジェクトで、ネイティブWinUI 3アプリケーションとして開発されました。PowerToysでのコミュニティフィードバックを経て機能が磨かれ、そのコードがそのままWindows本体のRunダイアログに採用されています。

オープンソースのPowerToysに貢献した開発者は、間接的にWindowsの標準機能を作ったことになります。Microsoftはこのアプローチについて「オープンソースの力を強く信じている」と述べています。

有効化の手順

現時点では自動で切り替わることはなく、手動で有効化する必要があります。

前提条件として、Windows InsiderのExperimental Channelに参加し、ビルド26300.8346以降をインストールしている必要があります。その上で、設定アプリから「システム」→「詳細設定(Advanced)」を開き、「Run Dialog」のトグルをオンにします。

モダンRunが合わない場合は、同じ設定からオフに戻せばレガシー版に戻ります。正式リリースの時期は未定で、Microsoftはフィードバックを収集してから段階的に展開する方針です。

地味だが影響が大きいアップデート

Runダイアログはパワーユーザーが日常的に使う機能です。30年分の操作習慣を壊さずに、デザインと速度の両方を改善した点は評価できます。現在はInsiderプレビュー限定ですが、正式リリース後はWin+Rを押すたびに違いを実感できるはずです。