複数のAIエージェントがタスクを分担し、互いの成果をレビューしながら進める——そんな開発フローが、Claude Codeに組み込まれました。

この記事では、AnthropicがClaude Opus 4.6とともにリサーチプレビューとして公開した「Agent Teams」の仕組みと、既存のサブエージェントとの違い、有効化の手順、向いている使い方を整理します。

この記事でわかること

  • Agent Teamsが何を変えたのか
  • チームリード・タスクリスト・メールボックスの役割
  • サブエージェントとの使い分け
  • 有効化方法と並列コードレビューの始め方

複数エージェントが直接やり取りする仕組み

2026年2月5日のClaude Opus 4.6発表に合わせ、AnthropicはClaude Code向けにAgent Teamsをリサーチプレビューとして公開しました。開発者向けの投稿でも、チームリードが複数のエージェントを起動し、タスクリストを共有しながら相互にメッセージする機能として紹介されています。

Agent Teamsは、1つのClaude Codeセッションがチームリードとなり、複数のチームメイト(別セッション)を起動して協調作業する仕組みです。各チームメイトは独立したコンテキストウィンドウを持ち、CLAUDE.mdやMCPサーバー、スキルなどのプロジェクト設定を読み込んだうえで動きます。リードの会話履歴は引き継がれません。

チームメイト同士はメールボックス経由で直接メッセージを送れます。リードが仲介しなくても、あるメンバーが調査結果を別メンバーに渡し、疑問を投げかけたり、レビュー観点を突き合わせたりできます。X(旧Twitter)の開発者向け投稿でも、エージェント同士が互いの作業をレビューする点が注目されています。

共有タスクリストで作業を調整する

Agent Teamsの中核は、全員が参照する共有タスクリストです。タスクは「保留」「進行中」「完了」の3状態を持ち、依存関係も設定できます。依存タスクが未完了のままでは、後続タスクは着手できません。複数メンバーが同じタスクを取り合わないよう、ファイルロックで排他制御も行われます。

タスクの割り当ては2通りあります。リードが明示的にメンバーへ振る方法と、メンバーが空いている未割り当てタスクを自分で取る方法です。依存関係のあるタスクが完了すると、ブロックされていた後続タスクは自動で解放されます。

公式ドキュメント(v2.1.178時点)では、チーム設定は ~/.claude/teams/{team-name}/config.json、タスクリストは ~/.claude/tasks/{team-name}/ に保存されます。セッション終了時にチーム設定は削除され、タスクリストはローカルに残ります。

サブエージェントとの違い

Claude Codeにはもともと、1セッション内で補助役を呼び出すサブエージェントがあります。Agent Teamsは、ここから一段踏み込んだ並列協調の仕組みです。

観点 サブエージェント Agent Teams
コンテキスト 独立したウィンドウだが結果は親に返る 完全に独立したセッション
通信 親エージェントへの報告のみ チームメイト同士が直接メッセージ
調整 親が一元管理 共有タスクリストで自己調整
向く用途 結果だけ欲しい単発作業 議論・検証が必要な複雑作業
トークンコスト 結果を要約して返すため低め メンバーごとに別インスタンスのため高め

Anthropicの公式発表でも、コードベースレビューのように独立した読み取り中心の作業を並列化する用途が挙げられています。単純な順次作業や同一ファイルの同時編集には、1セッション運用かサブエージェントのほうが適しています。

有効化と使い方

Agent Teamsは実験機能で、デフォルトでは無効です。settings.json に次の環境変数を追加して有効化します。

{
  "env": {
    "CLAUDE_CODE_EXPERIMENTAL_AGENT_TEAMS": "1"
  }
}

有効化後は、自然言語でチーム構成とタスクを指示します。例えば、プルリクエストをセキュリティ・パフォーマンス・テストカバレッジの3観点に分け、それぞれ別メンバーにレビューさせる、といった依頼が公式ドキュメントで紹介されています。各メンバーは同じPRを見ながら異なる観点で調査し、リードが結果を統合します。

表示モードは2種類あります。「in-process」は1つのターミナル内で Shift+Down でメンバーを切り替え、「split panes」はtmuxやiTerm2で各メンバーを別ペインに表示します。チームサイズの目安は3〜5人で、メンバー1人あたり5〜6タスク程度がバランスよいとされています。

向いている場面と注意点

公式ドキュメントが特に効果的とするのは、次の4類型です。

  • 調査とレビュー — 複数観点を同時に深掘りし、結果を突き合わせる
  • 新規モジュール開発 — フロントエンド・バックエンド・テストなど担当を分ける
  • 競合仮説でのデバッグ — 複数の原因候補を並列検証し、互いに反証を試みる
  • レイヤーをまたぐ変更 — 依存の少ない領域を同時に進める

一方、制約も明記されています。in-processモードでは /resume/rewind でチームメイトを復元できず、タスク完了の記録が遅れると依存タスクが止まることがあります。1セッションにつき1チームのみで、チームメイトがさらにチームを作ることもできません。トークン消費はメンバー数に比例して増えるため、単純作業への適用はコスト面で不利です。

開発フローへの意味

Agent Teamsは、AIコーディングを「1対1の対話」から「複数セッションの編成」へ広げる機能です。人間のレビュー会議のように、セキュリティ担当と性能担当が同時にコードを見るイメージに近い運用が、CLI上でそのまま再現できます。

まずはPRレビューやライブラリ調査など、書き込みを伴わない並列探索から試すのが安全です。同一ファイルの同時編集は競合の原因になるため、ファイル単位で担当を分けるのが鉄則です。実験段階の機能であることを踏まえつつ、複雑なタスクの初動を速めたい開発者にとって、Agent Teamsは新しい選択肢になります。