Windows 11でローカルLLMを動かすなら、Ollamaの入れ方は2通りあります。ネイティブ版とWSL版です。どちらを選ぶかで、セットアップの手間と運用の注意点が変わります。
この記事では、Richard Devine氏によるWindows Centralの検証を軸に、両環境の導入手順・GPU性能・切り替え時の落とし穴を整理します。
この記事でわかること
- Windows版とWSL版の導入手順の違い
- RTX 5090でのトークン生成速度の比較結果
- WSLとWindowsを併用するときのモデル認識の問題と対処法
- どちらを選ぶべきかの判断基準
Windows版はインストーラー1本で完結する
OllamaはWindows向けネイティブアプリとして提供されています。公式ドキュメントによれば、Windows 10 22H2以降で動作し、NVIDIA GPUにはドライバ452.39以降、AMD RadeonにはROCm v7またはVulkan対応ドライバが必要です。WSLのインストールは不要です。
OllamaSetup.exeを実行すれば、バックグラウンドでサービスが起動し、PowerShellやターミナルからollamaコマンドが使えます。APIはhttp://localhost:11434で待ち受けます。管理者権限も不要で、ホームディレクトリにインストールされます。
ローカルLLMを手軽に試したいだけなら、このルートが最短です。
WSL版は手順が増えるがGPU性能は同等
WSL上でOllamaを動かす場合、Ubuntuが最も手順が整理されています。Richard Devine氏の検証では、前提としてWindows側のNVIDIAドライバ更新と、WSL向けCUDAツールキットの導入が必要とされています。MicrosoftとNVIDIAの公式ドキュメントに沿って設定を進めます。
準備が整えば、Linux版と同じインストールスクリプトで導入できます。
curl -fsSL https://ollama.com/install.sh | sh
スクリプト実行中に「NVIDIA GPU installed」と表示されれば、GPUが正しく認識されています。GUIアプリは付きませんが、モデルのダウンロードと推論はWindows版と同じ操作です。
RTX 5090での性能比較
Richard Devine氏はRTX 5090上で4モデルを検証しました。ストーリー生成とPythonコード生成の2タスクで、トークン生成速度を計測しています(参考)。
| モデル | WSL(ストーリー/コード) | Windows 11(ストーリー/コード) |
|---|---|---|
| gpt-oss:20b | 176 / 177 tok/s | 176 / 181 tok/s |
| magistral:24b | 78 / 77 tok/s | 79 / 73 tok/s |
| deepseek-r1:14b | 98 / 98 tok/s | 101 / 102 tok/s |
| gemma3:27b | 58 / 57 tok/s | 58 / 58 tok/s |
数値のばらつきはありますが、実用上ほぼ同じ速度です。NVIDIA GPUのCUDA on WSLは、Windows側ドライバを介してGPU計算をそのまま渡す仕組みで、推論速度への影響は小さいと考えられます。
WSL利用時に押さえる運用上の注意点
メモリ割り当て
WSLは仮想マシンとして動くため、常に一定量のRAMを消費します。Microsoftのドキュメントによれば、.wslconfigファイルでメモリやCPUスレッド数を制御できます。GPU推論が主な用途なら影響は限定的ですが、モデルがVRAMに収まらない場合はシステムメモリとCPUに処理が逃げます。WSLに十分なリソースを割り当てておく必要があります。
Windows版とWSL版の切り替え
WSLのターミナルを開いたままWindows版Ollamaを使うと、モデル一覧が食い違います。ollama listでWSL側のモデルしか表示されず、Windows側にインストール済みのモデルを実行しようとしても再ダウンロードが始まります。
対処はシンプルです。PowerShellで次を実行し、WSLを完全に停止してからWindows版を使います。
wsl --shutdown
Microsoftのドキュメントでは、設定変更を反映するためにもwsl --shutdownの利用が推奨されています。WSLとWindows版を行き来する場合は、この手順を習慣にしておくと混乱を防げます。
どちらを選ぶべきか
| 用途 | 推奨環境 |
|---|---|
| 手軽にローカルLLMを試したい | Windows版 |
| 日常の開発環境がWSL(Ubuntu) | WSL版 |
| Docker ComposeやLinux向けツールと連携したい | WSL版 |
| GUIアプリでモデル管理したい | Windows版 |
Richard Devine氏は、WSLを日常的に使わないユーザーにはWindows版で十分だと指摘しています。一方、開発ワークフローがWSL中心なら、WSL版でも性能を落とさずに運用できます。
AMD GPUでROCmを使いたい場合も、ROCmはLinux専用のためWSL経由が選択肢になります。NVIDIA GPUユーザーは、どちらの環境でも推論速度はほぼ変わりません。
環境選びの結論
OllamaはWindows 11でもWSLでも同じ推論性能を発揮します。違いはセットアップの手軽さと運用の細かさにあります。まず試すならWindows版のインストーラーが最速です。WSLで開発しているなら、Linux版スクリプトで導入し、wsl --shutdownでの切り替えだけ意識しておけば問題なく使えます。